野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

多摩森林科学園

2015-12-30 16:45:25 | 散歩

 春の桜で有名な多摩森林科学園を、年末の休園(12月26日から1月15日までと非常に長い)

 の迫った12月下旬に訪ねた。入園料は300円と安い。

 入り口を入ったすぐに森の科学館がある。

 

 木造の立派な建物で、ここで旬の情報を手に入れることができる。

 すぐ近くにはモクゲンジの大木があってたくさんの実を付けていた。

 

 こちらはメタセコイアの大木、紅葉の終わり、少しの風にも静かに落葉していた。

 

 沢に架かった倒木は園内の動物の通り道になっている。入園者のいなくなった夜にはタヌキやイノシシ、キツネなどが通っているのだろうか。

 

 森の管理室

 

 以前は冬に訪ねることはなかったのだが、ここ数年ミヤマホオジロがやってくるということで

むしろ人の少ない冬に来ることが続いている。

 

 今日も数人のカメラマンが集まっている。どうやらこの日やっとミヤマホオジロが姿を見せたらしい。

私が駆けつけた時はどうもお披露目の最後だったようで、遠くから数カット撮れただけ。いずれもやぶの中の真ん中付近にいるのだが……。

 わかるだろうか。

 

 次が♂

 

 もう少しいい条件で出合いたかったが、この日は一時間ほど粘ったがこれでおしまい。

あきらめて付近を散策することにした。コアジサイの黄葉がきれいだ。

 

ムラサキシキブの実

 

センボンヤリの綿毛

 

実はミヤマホオジロ以外にももう一つ目的があった。それがキジョランに産み付けられたアサギマダラの

幼虫の観察。

 木に巻き付いているのはキジョランの青々とした大きな葉。奥多摩の低山では普通によく見られる。

 

 虫食いのある葉を丁寧に裏返していたら何とか幼虫に出会えた。

 

 もう少しだけアップで。どちらが頭か尻尾かわからないのは、天敵を惑わすためらしい。

 幼虫は一齢から五齢まで脱皮を繰り返して成長し、立春頃には蛹になるそうです。

そのころにはまた観察に来ることにしよう。詳しくはここ

 

 秋日にきらめくススキがきれいだ。

 

 園内を歩いてもこの時期花を見る楽しみはないが、実を見ることはできる。

 冬にみられる実には赤いものが多いのはどういうわけかだろう。

フユイチゴ

 

 ヤブコウジ(十両)

 

サネカズラ

 

 頭上高くにぶら下がっているのは色褪せてはいるがイイギリの実

 

 周りは赤いが実は濃い紫色のクサギの実

 

そのほかではナンテンやマンリョウなどの赤い実もたくさん見られた。

 

 冬桜も幾種類か咲いていた。これは不断桜だったか、四季桜だったか……。

 

 

 園内にはたくさんの案内板がある。そのうちの一つがムササビスポット。樹洞や食痕などが紹介されている。

 

  日当たりのよい崖で見かけた枯れたリンドウの花

 

 遠目ではネコヤナギの花と勘違いした イセリアカイガラムシの卵のう。

 

 終わりはまだ残されていた楓の紅葉。中央の白い幹はモミジバフウの大木。

 

 10時入園して3時間、静かな時間を味わえた。

この辺で。

 

 

 


蕪栗沼

2015-12-23 18:09:24 | 散歩

 伊豆沼のマガンの塒たちを見た後は、朝食を済ませ対岸のサンクチュアリを訪ねた。

 

室内はこんな感じ。床面には一帯の地図が描かれていた。

 

建物の下から見た伊豆沼。水鳥たちはすでに飛び去っていてがらんとしている。

 

 蕪栗沼へ行く途中の水田。水の張られた田圃にいるのはマガンのようだ。

 

途中大崎市の化女沼ダムにもよってきたので、蕪栗沼についたのは一時過ぎ。

 

 蕪栗沼は面積150haの湿地帯。マガンの越冬地としては国内最大級を誇る。

 

 沼のほとんどはヨシやマコモでおおわれている。

 

 マガンだけでなく、この周辺だけで何と219種の野鳥の観察記録があるという。その数は国内で

観察された記録の半分近くにもなる。

 

 中央で身じろぎもしないでいるのはアオサギ

 

 湿地の中央部は遊歩道となっている。が鳥たちを驚かさないように両側は背の高いヨシで遮られ、

見晴らしのきくのはごく一部のところだけ。 前方の枝に止まっているのはトビ。

 

 囲いの隙間から覗くとヒシクイやオナガガモなどの水鳥たちが休んでいるのが見えた。その密度は、

マガンのいない日中でさえ濃い。

 

 時折猛禽類が近寄ると、カモたちは一斉に飛び立つ。

 

 

 3時を過ぎてあたりは暗くなってきた。対岸にいるのはノスリだろうか。

 

 この日は日差しの乏しい一日だったが、それでも時折太陽が顔をだして、周辺を茜色に染めてくれた。

 

いち早く戻ってきた白鳥。

 

 マガンたちも少しずつ帰ってきた。

 

 

 その描く隊列の形は様々。

 

 

 午後4時を過ぎてさらに暗くなってきた。

 

 越冬するマガンの数は年にもよるが、平均4万羽以上にもなるという。日没後30分間ぐらいが塒入りのピークとなる。

 

それまで整然とした隊列を組んで飛んでいたマガンたちは、着水寸前それぞれの舞を踊るかのように乱れる。

 

 

 マガンたちの姿もやがては青い闇の中へと消えて行くのだが、悲しげな鳴き声だけは途切れることがなかった。

この辺で。


伊豆沼マガンの塒立ち

2015-12-18 20:05:37 | 旅行

 翌朝起きたのは6時少し前。暗い中を沼に急ぐ。辺りはまだ暗く、頬切る風は冷たい。

踏切を東北本線の列車が通り過ぎていく

 

 

 まだ陽は登らない。鳥たちも眠ったまま、静寂があたりを支配している。

 

しばらく待っていると、夜明け前に飛び出す群れが出始めた。

 

 次第に日が昇り始め、周囲の風景に色がともり始めた。

 

雲間からの一すじの光を受け、水面が輝く。

 

 

東の空がようやく明け始めた

 

茜色に染まった空を気の早いマガンたちが餌場へと向かっていく。

 

 

周囲が騒がしくなり、次第に飛び立つ群れが増えてきた。

 

 

彼方に見えるのは冠雪した奥羽山脈の峰々

 

 

間断なく群れは飛び立つ。

 

 

 その羽音につられるかのように次から次へと飛び立っていく。

 

 

 

 

 

残されたのは朝寝坊の白鳥だけ。

 

 よく見ると近くにカワアイサもいた

 

5年前の圧倒的な塒立ちには立ち会えなかったけど、それでも自然の中に生きる命の躍動を十分感じることができた。

本当にいい時間に立ち会えた、来てよかった。

 

 茜さす空を雁たちの群れが覆っていく

 

 

おまけの音風景もどうぞ

https://youtu.be/6x4jurAAxco

 

 この辺で。


日の暮れた伊豆沼

2015-12-15 17:47:05 | 旅行

 久しぶりに宮城の伊豆沼を訪ねた。前回来たのは2011年の一月、震災の起きる2か月前の冬だ。

静まり返った冬の未明、数万羽の雁たちの飛び立ちの光景と醸し出す音に

心が思わず震えたものだった。

 新田駅に降りたのは午後3時半、日暮れまではあと一時間足らずしかない。

駅から10分ほど歩いて観察舎が見えてきた。

 

手前の小さな池で、母子連れが白鳥やカモに餌をあげている。

 

 

 沼のほとりまで来た。水面は早や茜色に染まり始めている。

 

 北西の方に見えるのは東北の背骨奥羽山脈の栗駒山や焼石岳の峰々だ。

 

 

塒入りは次第に佳境に入ってきたようだ。

 

 

 黄昏のこの時刻、視線を少し変えると別の色を持った沼に変身していくのが面白い。こちらは北東側。

 

 北西側では全く別の世界が見られた。

 

 黄金色の夕景に変貌していく。

 

 

 

 あっという間に冬日は山の奥に消えていった。沼の向こうには宮城県の伊豆沼サンクチュアリセンターが見える。

 

 これが最終の塒入りだろうか。

 

 

 

 不出来だが、 伊豆沼・内沼のマガンの塒入りの後の動画をつけておこう。

日の暮れた伊豆沼

 

 

 

日が落ちたばかりの伊豆沼

 

 

 人家にも灯がともり始めた。

 

 さっきの母子連れはもう帰っていない。ハクチョウたちもそろそろ眠りに付こうとしている。

 私も今夜の宿に帰ることにしよう。

 


山口貯水池夕景

2015-12-08 21:22:08 | 散歩

 夕方 、山口貯水池まで出かけてきた。

 波ひとつ立たない、おさまりかえった湖面に白い雲が映っている。

 貯水池の中ほどには水鳥たちが早々と眠りに付こうとしているようだ。

 

取水塔。雲がなければ森の向こうには富士山が見えるのだが……。

 

大勢のマガモが休んでいるところに、オオバンの群れがやってきた。

 

 

 人影に驚いて水鳥たちが一斉に飛び立った。

 

 

冷たい風が吹き出し、辺りは茜色に染められていく。

 

遠くを一羽で泳いでいるのはカンムリカイツブリ

 

メスを追いかけているのはハジロカイツブリのようだ。

 

もっと奥に固まっているのはカンムリカイツブリの群れ

 

 夕闇はまず森に生まれ、そして水面へと伝わっていく。

 

 やがて熱と光を失って全てが闇に溶け込んでいく。

冬の短い夕暮れは本当にあっという間だ。