野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

尾瀬沼から七入りへ

2018-06-24 15:14:13 | トレッキング

 今朝方起床時に、不意に”魔女の一撃”に襲われた。急性腰痛いわゆるぎっくり腰を

ドイツ語ではそう言うらしい。20年ほど前に襲われて以来久しく無かったので、

すっかり油断していた。布団を出るときに捻ったのか、脳天を突き刺すような激痛が

突然走った。いったん痛みを味わうと、その後は痛みを恐れて極度に慎重に

ならざるを得ない。ゆっくりと登攀性起立(手を使ってよじ登るように起き上がる

ことをこう言うらしい)して朝のお勤めを済ました。それからはとりあえず湿布を貼り

痛み止めを飲んで、再び布団にもぐりこんで暫く安静にし回復を待った。

 二度寝から覚めて、再びそろそろと登攀起立して軽く食事をとったのが現在…。

とりあえず今日明日は仕事がないので助かったのだが……。

 

 大江湿原に咲くハクサンチドリ

 

 前夜宿泊した尾瀬沼ヒュッテ。 何回か止まったことのある山小屋だが、今回は

一人個室で一万円と言われた、高い!確か9000円だったはずだが(後で調べると

4,5畳は9000円で6畳は1万円ということのようだ。)

食事はそこそこ良かったが、村営施設のせいか愛想は悪かった。

 

 左に大江湿原のシンボル三本唐松が見える。

 

 

 まだ時刻は午前6時半を過ぎたばかり。細かい霧雨が降っている。

 

 リュウキンカ

 

 三本唐松と尾瀬沼の絵になる風景。

 

 山にはガスが低く垂れこめている。

 

 木道沿いには咲きだしたレンゲツツジが目を奪う

 

 既に実をつけていたクルマバツクバネソウ 

 

 ゴゼンタチバナ

 

この日は土曜日、沼山峠から尾瀬入りしたハイカーと挨拶が煩わしい位ひっきりなしに

すれ違った。一時間ほどで バス停のある沼山峠に到着。

 

 天候もさほど荒れていないので、予定通りに旧街道を歩くことにする。土産物屋の傍らを

降りていくと、目の前にはうっそうとした原生林が待ち構えていた。

 

 ナナカマドの花

 

 至る所に発生していたギンリョウソウ

 

 途中、抱返の滝の標識があったので立ち寄った。

 

 滝壺付近は倒木や落石が多く近寄ることが出来なかった。

 

  渓谷沿いに咲くヤマハコベ

 

 トチバニンジン。夏の終わりには真っ赤な実となる。

 

 沼山峠から七入りまでは、道行沢という小沢に沿って下っていく。道行沢は桧枝岐川となり

やがては只見川に合流し、方向を変えていくつかの支流をあわせ阿賀川(新潟では阿賀野川)

となって日本海にそそぐ。

 

 あれほど多かったハイカーもここでは全く見かけることがない。 静かな山行を

楽しむにはもってこいのコースだ。

 

  この時期ブナの天然林では、林床にひっそりと控えめに咲く花が多い。

うっかりしていると見過ごしてしまうような小さな花が殆どだ。

アカネ科のオククルマムグラが群生している。

 

 谷筋で見かけることが多いタニギキョウ。いずれも小さい花だ。

 

 2輪並んで咲いていたオオバミゾホオズキ

 

 昔、人に教わるまでは大きな葉の下に花が咲いているとは気づきもしなかった。

 葉の下に釣り下がって咲くオオバタケシマラン

 

 コケイランにも再び会えた

 

 ウワバミソウ

 

 

 ラショウモンカズラ

 

 バス時間に合わせて、何時もよりゆっくりと沢沿いに下った。2時間過ぎた

辺りでいったん小沢を離れた。

高圧線の下を歩いていると雨はすっかり上がり陽射しが戻ってきた。

 道沿いに出迎えるようにたくさん咲いていたオドリコソウの花。

 

 ヤマオダマキの花はこれからといったところ。

 

 ツクバネソウ

 

 ヤグルマソウの大きな花

 

 葉を白化させて虫を呼ぶマタタビの花

 

 道沿いの大きな葉の上ではたくさんの虫たちが日向ぼっこをしていた。

 

 

  やっと広い林道に出た。

 

 七入りのバス停はここからほんのすぐの所だった。

 この辺で。


尾瀬沼の朝

2018-06-22 06:16:52 | 散歩

  最近のエピソードを一つ。先だって知人の古希を祝う会に出たのだが、その席上で

思いもよらぬことがあった。その席を設えた人が突然、私には縁もゆかりもない人の

書いた書物を買ってくれと言い出した。しかも買うのが当然の義務であるかのように言う

一体どういうつもりなのか知らないが、私は勿論買う理由も意志もないので

断ったのだが、それによって相手も無論私も嫌な気持ちになってしまった。

どうしてそんなことをいきなり言い出したのか…、今もって私には全くわからない。

長年の付き合いのある人なのだが、暫く付き合いをやめなくてはと思うと

何かいたたまれない思いになる。

 

  さて、尾瀬沼に泊った翌朝5時、ようやく外は明るくなり始めた。

前夜からの雨で木道は湿って滑りやすい。

 

 長蔵小屋の岸に繋がれたボートがやけに寂しげだ。

 

 もう陽は上がった時刻なのだが……。湖面はまだ深い霧でおおわれている。

 

 人の気配は全く感じられない、一幅の墨絵の中を歩いているようで不思議に心地良い。

 

 聞こえるのは目覚めたばかりのカッコウとホトトギスの鳴き声。そして時折ウグイスや

アカゲラのドラミングが混じる。

 その声も音もたちまち深い霧の向こうに消え失せていく。

 

 前方を歩いているのは先ほど、挨拶を交わした老人だ。今年85歳になるという御老人は、

もう尾瀬に100回以上も来ているのだという。しかも3泊した今回で尾瀬は打ち止めだという……

 その声はきっぱりとしていたものの、寂しさは拭い去れなかった。

人は否応なく老いてゆくのだ。私にも近い将来そんな時が訪れるのだろう。

 その時私は御老人のように晴れやかに顔を上げていられるのだろうか。

 

 

 湖面と空が溶け合った白一色の世界。

 

 雨に濡れたミネカエデの花が吹き始めた風に小さく揺れている。

 

 この辺りはミズバショウの絶景ポイントなのだが……。

 

 少しだけガスが薄まってきたようだ。

 

  夜が明けたのだろうか。

 

 何事もなかったかのように今日も一日が始まる。

 

 

 再びカッコウが近くの枝先に止まり、鳴き始めた。自然の営みのように

何度も何度も同じ調べを繰り返している。

 

 生まれた喜びを謳歌するかのように、コバイケイソウの花が

雨にうたれながら煌めいている。

 

  朝の光を浴びたオオカメノキの花

 

 しばらく歩いていたら気合の入った枯れ株に出会った。生も死も超越した

 随分と年輪を感じさせる風貌だ。

 

 再び深い霧が湖面に立ち込めてきた。

 

 じっと開花の時を待っているハクサンチドリやコバイケイソウ

 

 

 

 

 早朝に深い霧が立ち込める日は晴れるという。今日はいい天気になるのだろうか。

 

 今日はこの辺で。

 


三平下から尾瀬沼一周

2018-06-21 06:49:48 | トレッキング

<前回からの続き>

 三平下に着いたのは13時を過ぎたころ。ここで軽い昼食をとって

南岸周りに歩き始めた。陽射しは見えないが雨は今のところ上がっている。

 

 木道脇に見えるミズバショウはあらかた終わっていた。それにしても野の花の

生命力を感じさせる巨大な葉だ。

 

 チングルマ

 

 ナガバノモウセンゴケの花はまだ見られない。

 

 湿原にポツリポツリと咲いているヒメシャクナゲ

 

ワタスゲの花穂。花は探したのだがもう見られなかった。

 

沼尻が近くなってくると湿原がみられる。イワカガミだ。

 

 まだほとんど開いていなかったハルリンドウ

 

 これはオオタチツボスミレ

 

 前方に沼尻の休憩舎が見えてきた。15年の9月に焼失していた休憩小屋が

 いつの間にか再建されていた。

 

とはいってもまだ完成してはおらず、中はこんな感じ。

 

 はしけも壊れたまま

 

 見晴らしへの分岐。向こう側に見えるはずの燧岳はガスの中だ。

 

 白い点々はワタスゲ。

 

 

 分岐を右折して尾瀬沼北岸をあるく。

コバイケイソウの花が輝いていた。

 

 湿地には少しずつミツガシワの花も見られる。

 

 背丈ほどの大きさのコヨウラクツツジ

 

 

 おそらく交尾中のダイセンヤマナメクジ。15cmにもなる大きなナメクジだ。

 

 木道脇には色鮮やかな花が咲いている。

雪解け始まりのころからミズバショウとともにみられるリュウキンカ

 

 もう一つはこれから咲き出すのだが、大きな花弁のレンゲツツジ

 

 

 まだ花を咲かせていないユキザサ

 

 ハクサンチドリ

 

 浅湖湿原を過ぎたあたりで、待望のキヌガサソウに出会えた。木道のすぐそばで

大きい葉のズバショウとともに咲いていた。

 

 キヌガサソウは深山に生えるユリ科の多年草。ということは毎年同じ付近で

お目にかかることが出来るといいうこと。

 

 花の大きさも6cmほどと大きいが、花を放射状に取り巻く葉も30cmと大きい。

 

 ほぼ沼を一周して、三本檜が見えてきた。

 

  この日は尾瀬沼ヒュッテに泊まった。

 

 


大清水から尾瀬沼へ

2018-06-20 08:47:38 | トレッキング

 若い時、人というものは年を取るにつれ寛容になっていくとそんな風に思っていた。

処がいざ自分が年を取ってみると、決してそんなことはないと気づかされた。

寛容なのは自分にだけで、他人や世間に対しては怒ってばかりいる情けない

自分がいる。全く困ったものだ。今はまだ仕事をしてそれなりに社会に

関わっているから抑えられているが、仕事を辞め完全リタイヤしたらあっという間に

「性悪鼻つまみ怒りんぼ老人」になってしまいそうで怖い。

 新聞やテレビで得た知識を怒りのエネルギーに変えて「全くなっちゃいない!」と

毒を周囲にまき散らす、私の周囲でもよく見かける、そんな老人にだけはなりたくない。

 

   三平峠付近のイワナシ

 

 さて今年初めての尾瀬。何度も訪ねている尾瀬だが、最近は人の比較的

少ない大清水峠から入ることが多い。この道は江戸時代の初めごろには

会津沼田街道と呼ばれ 上州と会津との交易に使われた歴史ある古道だ。

ここからは低公害バスにも乗れるのだが運行は明日(6月16日)からのようだ。

 

 尤も私は途中の花を見るのが目的の一つなのでいつも歩く。

この時期目につくのは大木に絡みつくツルアジサイ(ゴトウヅル)だ。

 

 木に咲く花は多い。左上→右上→左下→右下の順に タニウツギ、ジャケツイバラ

 ヒロハツリバナ、マタタビ

 

 足もとにも花が多い。オククルマムグラ、オオバミゾホオズキ、タニギキョウ、ヘビイチゴ

 

 一時間足らずで一ノ瀬の休憩所が見えてきた。

 

ここから片品川の支流に架かる橋を渡ると、登山道入り口となる。

 

 休まずにそのまま登山道に入っていく。ショウジョウバカマの花後

 

 ギンリョウソウが至る所で発生している。

 

ズダヤクシュ

 

 小沢に沿ってゆっくりと登っていく。

 

何度か通っているこの登山道だが、今日は登る人も降りてくる人も随分と多い。

沢に近づくと多くなるラショウモンカズラ

 

 笹につかまって休んでいる翅の模様が渋いチョウはヤマキマダラヒカゲだ。

 

 一挙に明るくなって三平見晴にでた。この辺では時折小雨がぱらついていた。

 

 ツツジ科のアカモノ

 

 未だ花が緑色のゴゼンタチバナ。山地でしか見られないこの花、花言葉は「古風」

だそうで、花の生育地と雰囲気によくあっているように思う。

 

 まだ咲き残っていたチゴユリ

 

 ここではナナカマドの花も眼下にみることが出来る。

 

 一際派手やかな花が目についてきた。ムラサキヤシオの花だ。

 

 

 この時期楽しみにしていた花が二つある。その一つがイワナシ。三平峠付近では

林床に群生を見ることが出来る。今回はやや早かったようだが幾つか咲き始めていた。

 

 一ノ瀬休憩所から約一時間、三平峠に着いた。登りり下りする人が数人休んでいる。

 私も小休憩して、水分を補給。思ったより天気が崩れないので、この日のうちに

尾瀬沼を一周することに決めた。

 

 咲き始めたマイヅルソウ

 

 コミヤカタバミは花弁の内側に見える赤い筋が愛らしい。

 

 この付近で前回キヌガサソウを見つけたのだが、残念ながら

今回は葉っぱだけ。エンレイソウ。

 

 少し下ると樹間に沼が見えてきた。

 

 右は尾瀬沼休憩所、左一部は尾瀬沼山荘。

 

 長くなったので今回はここまで。

 

 

 


染谷花しょうぶ園3

2018-06-14 18:05:49 | 植物園

 今日は、ちょっと変なというか面白い形のハナショウブを紹介したい。 

 ダースベーダーを思わせる悪相

 

 ミニブタ

 

 年老いて疲れ果てた雄鶏といった風情

 

 オカチメンコ(差別語なのかな)なダンサー

 

  詫びているハナショウブ

 

  汗っかきなハナショウブ

 

  これもなんか人面のように見えなくもない

 

以下の二つコメント考え着けず

 

 

 3つ縦に並んでおしくらまんじゅう

 

 交互に並んで

 

 背比べ

 

 絡み合ってまるで異品種間の禁断の愛

 

 対比を二つ、きれいなのは私の方よ

 

 

 団体さん4つ

 

 

 

 

 お終いは寄ってきたアブとの組み写真

 この辺で。