野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

秋たけなわの裏高尾を歩く

2015-09-30 14:44:11 | トレッキング

 久しぶりに小下(こげ)沢から景信山を登ってきた。

いつものように梅園傍の林道わきに車を止めて歩き出す。春にハナネコノメを

探しに来て以来だから約半年ぶりになる。

歩き出すとすぐに秋にぴったりのススキが出迎えてくれた。

林道脇にはツユクサやアキノキリンソウがぎっしりと咲いている。

 

 

夏から咲いていたキツネノマゴやゲンノショウコも草の間から顔をのぞかせている。

 

 

ミズヒキも紅白の花を咲かせ始めた。

 

丸い葉をつけた香り高い花はレモンエゴマ、至る所に群生している。

 

左手に沢を眺めながらゆるい傾斜を登っていく。春に比べると行きかう人はほとんどいない。

 

フジカンゾウ

 

小さなマツカゼソウの花もあちらこちらに咲いている。

 

よく見ると黄色い葯をつけた蕊が長く可愛らしい

 

沢にそそぐ小さな流れの傍にはミゾソバが金平糖のような小さな花をつけていた。

 

フユイチゴの花もたくさん見かけた。フユイチゴは11月から1月にかけて赤い実をつける。

キイチゴの仲間なのでもちろん食べてもうまい。

 

 

30分ほどで野営地に着いた。ここからは左手に折れ、小さな橋を渡って山道に入っていく。橋の傍の湧水を飲んで、

持参したペットボトルを水で満たす。

小沢の傍に咲くツリフネソウ

 

 結構きつい登りを登って5.600m位の標高まで来た。

この辺まで来ると植相も変わり、ヤマホトトギスやキバナアキギリが見えてきた。

 

 

ヤブミョウガは平地の講演でも普通に見かける。実は最後には暗紫色の実となるのだが

初めは緑色でやがて葉緑素が抜けて白くなるように見えるのだがどうだろうか。

 

稜線に近づいた辺りがとちょっとしたお花畑となっていた。

ジャコウソウはシソ科の花で、分布域は九州を除く山地。

 

名の由来は花ではなく、茎や葉に芳香があるから。

 

カシワバハグマ。ハグマの名の付く花は幾つかあるが、ヤクのしっぽの毛を染めて坊さんの払子や武将の采配につかった

白熊(ハグマ)の形と似ていることが由来のようだ。

 

 アキノタムラソウやシラヤマギク

 

 

 

シモバシラは花だけでなく、厳冬期に枯れた茎の根元に作られる氷の結晶も楽しませてくれる。

 

少しピンク色の入ったシモバシラ

 

  この棘のないアザミはタムラソウでよいのだろうか

 

 花をだいぶ落としたツリガネニンジン

 

 稜線まで登ってきて、右に折れた。緩やかな頂上直下の傾斜地にはヤマハギの花がちょうど最盛期を迎えていた。

 

センニンソウ

 

ノダケ

 

今にも零れ落ちそうな繊細なアキカラマツの花

 

そしてイヌショウマ

 

 

 早くも色づき始めたツリババの実

 

 残念ながら景信山の茶屋は休業中。

 

歩き始めてから2時間と少し。大勢の人が休んでいる景信山の頂に到着した。

 

 北側からの展望がすがすがしい。

  しばらく心地よい風に身をさらす。

 少し休んでから堂所山→関場峠→裏高尾梅園と通って下山した。派手な花はないものの

秋らしい楚々とした山野草に出会え楽しかった。

この辺で。


彼岸花

2015-09-25 08:56:44 | 植物園

 彼岸を過ぎてめっきり凌ぎやすくなった。今回は撮りためたヒガンバナをご覧頂こう。

まずは大船フラワーセンターで咲いていたさまざまな色の園芸品種。

 

 

 

 

 

 

 

ヒガンバナはヒガンバナ科ヒガンバナ属の花で昔中国から渡来したものらしい。

 彼岸のころ鱗茎から30~50cmの茎をだして真紅の花を輪状に付ける。

土手や道端、畦道、お寺の境内などに群生して咲くが、不吉さを嫌うからか

個人の庭ではあまり見かけない。

 

 久しぶりにヒガンバナの名所高麗川の巾着田を訪ねた。

 

狭い通路を行列を作ってゆっくりと歩く。

 

 

それでもすぐ脇に河原があるので休憩する場所には事欠かない。

 

曲がった木の幹に着生した紅白のヒガンバナ

 

 ヒガンバナは異名の多い花だ。有毒なせいか、墓地に多いからかそのほとんどが不吉な呼び名となっている。

幽霊花、死人花、地獄花、仏花等など。 もっとも此岸にはない花ということで、極楽花とか天蓋花という名もあり

こちらは縁起が良さそうだ。一番よくつかわれる曼珠沙華は梵語で赤い花を意味するのだとか。

 

 

 

 

最近は白色のヒガンバナもよく見かけるようになったが、白色のヒガンバナはコヒガンバナ(2倍体)とショウキズイセンを

掛け合わせて作られたものだそうだ。

 

 

 

 このヒガンバナにも花言葉がある。

「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」 「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」 など。

 これだけで一編のストーリーが出来上がるくらい多岐にわたっているのが面白い。

 

 

 

 お終いは春のツツジで有名な塩船観音で咲いていたヒガンバナ。

残念ながらここはちょっと時期が早かったようだ。

 

 

 

 

 

 

ヒガンバナで火照った眼の熱を鎮めるためにのおまけ。萩とツルボ。

 

 

この辺で。


大船フラワーセンター

2015-09-19 09:24:10 | 植物園

 墓参の帰り、大船フラワーセンター(正式名称は下の写真の通り)に寄った。

 

入ってすぐの看板

 

 園内の広さは約6.3ha、園内の植物5300種はすごい。この植物園にも民営化の

嵐は吹き荒れているようで、「県営存続」の署名運動も行われているらしい。

そのせいかどうか園側のやる気も出てきているようで、以前なかった丁寧な看板や

説明標示も増えているように思えた。イラストマップはこれ

 

この日は撮影会でもあったのか、カメラを抱えた人が多い。

 

 池のほとりに咲いていたナツツバキ

 

キノクニスズカケ。名の通り紀伊半島の固有種でクガイソウの仲間

 

ホソバヒイラギナンテンはメギ科の花で中国原産の蝋細工のような花。

 

 第一展示場前の睡蓮の池

 

二色のパンパスグラス。白い方はよく見かける。もう一つの方は桃色パンパスグラスと言うそうだ。

 

 梅園の傍に咲いていたコバルトセージ。

 

 芝生広場の花のトンネルではさまざまな変わったカボチャ、ヒョウタン、ウリ等が展示されていた。

オキナワスズメウリの実、やがて熟して赤くなる。食用ではなく鑑賞用。

 

 

 ヘビウリはインド原産、カレーに入れる野菜としても用いられるとのこと。

大きいものは2mにもなり優に人の背丈を超える。

 

キョウリュウヒョウタンとかキョウリュウカボチャとか言われるが、正式名称は

ウリ科ユウガオ属のダイナソー・ゴード。アメリカ原産の観賞用野菜で

食べられるようではあるが、食べてうまいものかはわからない。

 

 

 

ツートンカラーのカボチャ、ペポカボチャとかオモチャカボチャと言われている。

 

 

ツルクビヒョウタンは熱帯アフリカ原産で食用ではない。

 

ツルレイシ(ニガウリ)はいわゆるゴーヤ。

 

観賞温室前に咲いていた、中国雲南省原産の地湧金蓮 (チユウキンレン)。

名前の通りに地から湧いた金色の蓮。

 

  観賞温室に入った。ここでは一年を通して1300種の熱帯の花が見られるという。

バットフラワーは名の通り蝙蝠に似た不気味な花。和名はクロバナタシロイモ。別名デビルフラワーや

ブラックキャットなど。原産地はインドや東南アジア。

 

カリアンドラ (大紅合歓)は熱帯原産のマメ科の植物。ヒネム(緋合歓)とも。

 

標示をメモし忘れたが、ブーゲンビリアの仲間か。

 

アメリカシャガとあったが、どうも違う花のようだ。

 

 睡蓮室

 

 

 睡蓮の葉の上で休んでいるイトトンボ、オタマジャクシも見える。

 

温室を出ると目の前には芝生広場

 

ヒマワリはちょっと時期遅れか。その前の赤色の植物はハゲイトウ。

 

 ぐるりと一周して約1時間と少し。さまざまな珍しい花を楽しめた。

いつまでも存続してほしいものである。この辺で。

 

 

 


植物多様性センターを訪ねる

2015-09-15 21:45:37 | 植物園

 神代植物公園に隣接して「植物多様性センター」がある。

平成24年4月にオープンしたのだが、訪ねたのは3年半たった今年の9月。

それまでは存在すら知らなかった。

 訪れる人もなく、神代植物公園の駐車場の隣にひっそりと奥ゆかしく建っている。

 

 入館料は無料、さほど広くもない園内の学習園は奥多摩、武蔵野、、伊豆諸島の3つのゾーンに分かれている。

 

 入り口は2か所あるが、普段空いてているのは左側の入り口。

入ってすぐにトイレ!、その右手に東屋がある。

 

奥多摩ゾーンを歩くと、ヒヨドリジョウゴの花にあえた。

 

 実はやがて熟し、真紅の実となる、小鳥の好きな実でもある。

 

生憎の雨だが、足元はそんなにぬかるんではいないので歩きやすい。

 

 

 池のほとりにはコバギボウシの花

 

ところどころに彼岸花も咲きだしている。

 

 山地でよく見かけるカシワバハグマはキク科のコウヤボウキのなかま

 

 雨で萎れたゲンノショウコのアカバナ。

 

ヤマホトトギスも高尾山や奥多摩の低山でよくお目にかかる秋の花だ。

 

自然のままの風情が保たれている奥多摩ゾーン。

 

 ススキの花穂

 

その根元にはナンバンギセルが咲いている。

 

随分と豊作のようだ。

 

じっと見ていると一つ一つの花が細長い顔のように見えてくる。それぞれが物思わしげで個性的な表情を浮かべている。

 

 雨のなかでも道がしっかりと整備されているので歩きやすい。

  

 秋を代表する花、オミナエシ

 

 こちらは対抗馬といえるオトコエシ。どうやら花の世界でも男の方がちょっとみすぼらしく負けている。

 

 奥多摩の低山を歩いていて9月の中旬ごろ蔓性の白い花を見かけたら

殆どがこのセンニンソウと思って間違いない。小さな4弁の花がたくさん集まって、

まるで一つの衣装のように木の枝に纏わりついている。

 

  仲良しのヤマトシジミのペア

 

 

  秋を迎えて木の実や花の実も色づき始めた。

真紅のツリバナの実、何とも風情がある。

 

 ヤブミョウガの白と黒の実。初めは白かった実が熟すにしたがって濃い藍色に変わっていく。

 

コムラサキシキブとシロシキブ

 

 見上げると背の高い木にイイギリのオレンジ色の実がぶら下がっている。

この実も熟すにしたがって赤い色に変わっていく。

 

 シロヤマブキの黒い実

 

 学習園の奥には情報館があって、さまざまな展示物や図書、DVDが見られるようになっている。30分ほどの

 ビデオも鑑賞できる。

 

おや入り口のドアの下に…

 

 入り口のドアで迎えてくれたのはヒキガエル君。

 一見不愛想に見えはするが、まるで少ない来園者を待ち構えて歓迎してくれて

いるかのように見えなくもない。思えばこの施設の在り様そのものを体現しているかのようだ。

この日は天気も悪く平日でもあったが、在園中(一時間半のあいだ)に他の来園者には一人も出会えなかった。

世間的には全く人気のないこの施設。 とはいうものの、自然の花々を生態そのままに静かな環境で見られるこの施設を

発見できたことは、私にとっては思わぬ嬉しい驚きであった。

できればいつまでも人に知られず静かな環境を保ち続けてほしい。

尤もそうしたら廃館されてしまうかもしれないが……。

 

おまけは情報館の前でひっそりと花を開いていたラン科の希少種マヤラン。

 

この辺で。

 

 

 

 

 

 

 


金山調整池から柳瀬川を歩く

2015-09-13 16:10:34 | 散歩

 久しぶりに晴れ上がったので柳瀬川沿いを歩いた。

 車を止めたのは金山調整池の駐車場。

 目の前の小道は金山調整池にいたる 散策路

 

 水の中の小魚を狙うカワセミ

 

 今は冬鳥もいないのでのんびりしているカルガモ

 

 今日はどこへ行ったのか、望遠レンズを覗くオジサン軍団は見当たらない

 

 土手の上の農産物直売所

 

それにしても空が広い。「抜けるような空が痛い」とうたったのは岡林信康だったか。

うたわれたように本当に「申し訳ないが、気分がいい」

 

 今まで雨の日が続いたその分だけ、開放感が体を突き抜ける。

バッタが次々と飛び跳ね、すぐ近くをトンボが掠めていく

 

 ここはまだ東京と埼玉の県境。その割には自然がたっぷりと残され、

そして何より空が広い。

 

 川の土手には初秋に咲くツルボとヒガンバナ。

 

 

ヒガンバナは桜並木に沿って植栽されたものだが、年月がたち随分と立派な群生になってきた。

 

 

 

 浅川マキの歌に ♪悲しい恋なら何の花、真っ赤な港の彼岸花♪というのもあった。

 

 彼岸花は異名も多く、有名な曼珠沙華のほかに死人花、地獄花、幽霊花、捨て子花、狐花など数えきれない。

 

 ナミアゲハが集まってきた

 

 

 

 いずれにせよ此岸から見るヒガンバナは何とも妖し気な花ではある。

 

 

  季節の移ろいを知ってか知らずか、柳瀬川は穏やかに流れている。

 

 この辺で。