野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

今年のトリは 鳥で

2017-12-31 16:18:02 | 探鳥

 春から秋までは何かしら花が咲いていて楽しめるのだが、冬になるとそうはいかない。

そんな花の乏しい冬でも私を楽しませてくれるのは、冬鳥たちとそしてもう一つが

スターウォッチング。私の住んでいるところではこの時季夜10時ごろ双眼鏡を持って

外に出てみると、冬の代表的な星座オリオンが南中(真南の位置にいる)している。

左上の星はベテルギウス。赤いので和名は平家星、右下のリゲルは青白色の

星なので源氏星の名がある。中程の三つ星にもたくさんの和名が与えられている。

三光、三星様、三大師、尺五星、算木星、竿星、かせ星等々限りない。

ベテルギウスは冬の大三角の一頂点をなし、リゲルは冬の大六角の一頂点となっている。

双眼鏡を使えば三つ星のすぐ下にオリオン大星雲、右肩の先にはプレアデス星雲(通称昴)

が観察できる。 冬の夜、たっぷり防寒着を纏って星見と洒落込んでみるのはどうだろう。

 尚参考までに私は星空観察のお供としてstella theater lite というフリーソフトを

使わせてもらっている。

 

 さて今月中に撮りためた鳥たちを取り上げていこう。

まずは、去年は至る所で見られたアトリ。今年はぐっと減ってしまったようだ。

 

 ジョウビタキは例年と同じぐらいお目にかかっているが、殆どが♀で

どうしてか♂は少ない。

 

  アオジはやぶの中にいることが多く、この時はやっと見通しの良い枝に止まってくれた。

 

 エナガやメジロは留鳥なのだが、小さくてすばしっこいので

枯葉が落ちた冬が観察のベストシーズン。

 

 

 仲良く(かどうかは分からないが)並んでいたトビとカラス(ハシブト)

 

 何とかカワセミのダイブの瞬間を狙ったのだが……

 

 キツツキの仲間コゲラ。もう少しと近づきすぎて飛ばしてしまった。

 

 凍った池で滑りまくっていたセグロセキレイ

 

 枝の上から小鳥たちの隙を窺うモズ、これは♀だろう

 

 すぐ近くの頭上の枝に止まってくれたオオタカ。こんな幸運はめったにない。

尤も2,3枚撮ったらシャッター音に気づかれすぐ飛ばれてしまった。

 

 水辺の鳥たちも紹介しよう。

イソヒヨドリは海岸でよく見られる青い鳥。ただし青いのはオスだけでメスはとても地味だ。

 

 こちらが♀

 

  川岸で体を丸くして寒さに耐えていたタヒバリ

 

 今冬初めてのタシギ。動いている時じゃないとなかなか見つけられない。

 

 白鳥とオオバン。白鳥は以前は関東でも見られる場所がいくつかあったのだが、

鳥インフルエンザの騒ぎ以来、すっかり少なくなった。埼玉のここでは以前は給餌を

していたのだが、騒ぎ以降は給餌を取りやめている。それでも毎年数十羽やってくる。

 

朝の採餌を終え川に戻って、冬日に微睡むハクチョウたち

 

 よいお年を。

 


銚子電鉄

2017-12-27 17:45:46 | 旅行

 生きている人間は捉えどころがなく不確かな存在だ。生きている人間に

唯一確実なことは「やがて死ぬということ」だけだ。このことだけは間違いがない。

でもほとんどの生きている人間は(私もだが)、死を他人事のように扱い自分には

関わりのないことだと思っているようだ。メメントモリ(汝死を覚悟せよ)という言葉があるが

我々にとって確かなことはただ一つ、いずれは死ぬことということだけなのだ。

 よりよく生きるためにそのことを忘れないようにしたい。

 

   久しぶりに18きっぷを使って関東最東端、銚子まで足を延ばしてきた。

思いはカモメを見たいのと、久しぶりに銚子電鉄に乗りたいという二つ。

3時間以上かかって着いた銚子駅。ホームの外れに銚子電鉄の改札がある。

 

 車内にいた女子高生風の車掌さんから切符を買う。

 車内の路線図

 

 4番目の笠上黒生(かさがみくろはえ)はもじって髪毛黒生と改名されていた。

 

  それにしても木製の電信柱と電気碍子、板塀などが懐かしい

 

20分乗ったら終着駅外川(とがわ)に着いた。運賃は340円。外川駅舎の

風格もなかなかだ。

 

 外川漁港をぶらつく

 

 ちょっと離れた岩にカモメがいるのだが、双眼鏡を使っても識別できない。

 

 サギ類にはサギがいない。キツツキという鳥もいない。がカモメ類には

れっきとしたカモメがいるのだ。

 

 

  私が本物のカモメですと言わんばかりに胸を張っていた。

 

 引き返す方向に海岸沿いを歩く。犬吠埼の灯台が見えてきた。

 

 天気予報は晴れだったのだが、昼に近づいたら雲が多くなってきた。

 

 遊歩道。

 

 時折イソヒヨドリが出迎えてくれる。

 

灯台の下まで歩いてきた。このあたりの地層は中世代白亜紀の「銚子層群」と言われている。

白亜紀の地層の上にたつ白亜の灯台。

 

 雲間から洩れた陽射しが岩礁を照らしている。

 

 

 

 

 沖合を大きな船がゆっくりと通り過ぎていく

 

 右の建物は元ホテルで今は廃屋となっていた。

 

 洒落た感じの犬吠駅。ここでぬれ煎餅を手土産に買った。私は濃口が本来は好きなのだが、

塩分控えめということで泣く泣く薄口にした。

 

 

 再び銚子電鉄に乗った。銚子漁港に一番近い観音駅までは300円。

 

 観音駅から銚子漁港まで歩く。途中気合の入った建物に遭遇。

船舶電機とは初めてだが、船用のランプや配電盤等を扱っている店のようだ。

 

 

 10分も歩いたら銚子漁港に到着。

 

対岸の桟橋にカモメが見えるのだが、遠すぎて種類までは良くわからない。奥にいる鵜は

カワウではなくウミウ。

 

 間近の海面に突然顔を覗かせたウミウ

 

 此方はウミウと対照的なカンムリカイツブリ

 

停泊している船の傍をたくさんのカモメが飛び交うのを暫く眺めていた。

 

 銚子大橋の手前で来たところで帰りの時間も来たようだ。

 急いで駅に駆けつけて、14時台の千葉行きに乗って帰った。

 

この辺で。


2羽のトラ

2017-12-21 08:26:53 | 探鳥

 寒さが厳しくなると、月が鮮やかに見えてくる。昨夜は清冽な糸月が

西の空にかかっていた。今晩も雲の出はないようだから、凛とした

三日月の姿が見られるだろう。ついでに薀蓄を一つ。三日月のかけている部分が

淡く光る現象を「地球照」(ちきゅうしょう)というのだそうだ。「宙の名前」という本を

読んで初めて知った。尚、三日月は朝は東の方向に夕方は西の空にみられる。

新月が太陽とほぼ同じ位置を動いていくので、三日月は三日分(45度)だけ、太陽に

遅れて地球を回っていくことになる。因みに満月は14日分(180度)遅れるので

常に太陽と正反対の位置に見える。「名月や 月は東に 陽は西に」というわけだ。

 

 さて今日は埼玉と東京の間を流れる荒川沿いにある秋ヶ瀬公園。

ここ10年ほどは冬毎に数回訪れる公園だ。訪ねたのは12月中旬になったばかりの日、

今年は山に雪が少ない影響だろうか、まだ冬鳥たちの出は少ないようだ。この日も

アオジやカシラダカ、ツグミなどは見られたものの、期待していたルリビタキや

ベニマシコには会えずじまい。その代わり嬉しいことに2羽のトラに出会えた。

 

 今は空き家になっているフクロウの巣の辺りを通りかかった時、

 

 

 一羽のトラツグミに出会った。向こうの方が先に気づいたようで警戒している。

 

 トラツグミはツグミ類の中でも最大で全長29cm。よく見られるツグミが全長24cmだから

それより一回り以上大きい。冬になると雪の積もった山地から低地に下りてきて

市街地の公園などでも時折見られるようになる

 

 夜になるとヒー、ヒョーと口笛のような声で鳴くので、物の怪の鵺(ぬえ)の声に例えられる。

茂みの中で餌を探していることが多いので、なかなかお目にかかれないが、全国的に繁殖はしている。

 黄色い体色に黒い斑点があることからトラの名がつけられた。

少し移動して角度を変えてみたが、依然と警戒心は解いていないようだ

 

 荒川支流のひとつに架かる橋までやってきた。

 

 ここには冬になるともう一つのトラ、トラフズクが数羽やってくる。繁殖地は本州中部以北で、

冬暖地や低地に渡ってひと冬を越すのだ。

 

 トラフズクは全長38cmとあるから、フクロウ類としては中型に属する。

川の対岸にある枝で昼寝中のようだで、時折そっぽを向いたり

 

 毛づくろいをしたりしている。

 結構離れた対岸に居るので、これ以上近づくことはできない。こんな時300mmの

レンズの限界を知らされる。まぁでも出会えて記録できただけでも嬉しい。

近くにいた大型のレンズで撮っていた人のお話では今年も4羽でやってきているという。

 

 今日の所はこの辺で。

 


海と鳥を見に葛西臨海公園へ

2017-12-15 07:27:25 | 公園

 今年もあと2週間足らず待ちゆく人も忙しくなってきた。

今日は節季でいうと大雪(たいせつ)の第二候熊蟄穴(くまあなにちつす)となる。

昨日から寒波がやってきたとかで、頬に当たる風は一層冷たく感じられる。

 これでは穴にもぐりたくなる熊の気持ちもわからないではない。

 

 休みの日だったが、突然に冬の寒い海を見たいという衝動に駆られた。

そんな時一番手軽に行けるのが東京湾の海だ。中でも葛西臨海公園

京葉線の駅を降りてすぐというアクセスの良さもあり、便利なところだ。

 

 西の方にはビルの間から東京タワーが霞んで見える。

 

 北側、駅の向こうにはスカイツリーも大きく見えた。

 

  多くの人が左折して水族館に行くが、まっすぐ歩いてクリスタルビューまできた。

向こう側に海が見える。

 

時刻はお昼を過ぎたあたり、煌めく海が眩しい。

 

 コサギが餌探しに夢中だ。

 

 足元の水紋は、小魚を追い出すためにコサギが立てたもの。

 

 すぐ近くをスズガモの番が泳いでいる

 

 杭の上に止まっているのはカワウ(多分)。ウミウとカワウは遠くからでは

見分けが難しいが、個体数の多さから言って恐らくカワウだろう。

 紛らわしい野鳥の識別はこちらのサイトで。

 

公園の西側には消防航空隊や東京へリポートがあるのでしょっちゅうヘリコプターが

離発着している。

 

 東側には旧江戸川を渡ったところにディズニーランドの建物が見える。

 

 沖合に休んでいる海鳥たちはスズガモやカイツブリの仲間が多い。

 

 漁をしている小舟の向こうを悠然と大型船が通り過ぎていく

 

 

 葛西渚橋を渡って西なぎさの突端までやって来た。クレーン船が通ってゆく。

 

 

看板には「乗揚げ注意」の文字が見える。

 

 右奥に東京ゲートブリッジ。その向こうはお台場だ。

 

 すぐ近くの海岸にイソヒヨドリ♀を見つけた。

 

 再び渚橋を渡って野鳥公園方面へ。旧江戸川ではカモメたちが群れている。

 

 野鳥公園は現在池の泥を浚渫中でシギやサギの姿はほとんど見られなかった。

 これはアオサギ

 

 生垣の中にいたメジロ

 

 やぶの中にはウグイスの姿も見える

 

 

 カワセミが池の中の見晴らしの良い枝に止まった。何やら小魚を加えている。

 

 じっくりと見る暇もなく逃げられてしまった。

 

この小さなシギはイソシギ

 

浚渫中の池でもカモたちは気にせずいるようだ。

 オオバン、ホシハジロ、コガモ、カンムリカイツブリ、ハシビロガモなどが見られた。

 だがサギやシギなどはほとんど見られない。水鳥たちを観察出来るのは

来年3月の工事終了までお預けのようだ。

 

 センダンの実にやって来たのはムクドリ

 

それを追い払うようにオナガたちもやって来た。

 

 帰り際に見かけたスズメの群れはアッという間に芦原の中に隠れてしまった。

 

 

 この辺で。


初冬の多摩森林科学園

2017-12-09 08:41:15 | 散歩

 将棋が好きで、テレビや雑誌などの報道を普段からよく見ている。昔は羽生竜王が

余りにも強かったので大体は相手の方に肩入れしていた。最近年齢のせいか

負けることが増えてきたら、よくある判官びいきといったものかいつの間にか

本人を応援するようになってきた。

 

 ところで将棋には世界でも珍しいしきたりがいくつかある。一つは真剣勝負の最中におやつを食べる

ということだ。酷使される脳は糖分を欲するからだというが、こういうことは他の勝負事やゲームには

余り見られない。もう一つは勝負が決した後に必ずが両者で感想戦をするということだ。

囲碁やチェスでも「局後の検討」といい同じことはあるというが、将棋ほどではない。何せ

感想と戦の字がつくということは 2度目の戦いを意味する。時には負けた方が感想戦で

相手の読みの深さを知り、2度負かされた気分になることもあるのだという。最近はAbemaテレビの

将棋チャンネルで感想戦迄を放映するようになり、随分と楽しませてもらっている。

 

 さて、今日は多摩森林科学園。正式名称は「森林総合研究所」が前に付く国立法人だ。

たくさんの桜が植樹されていることで、4月前後の時期は大勢の桜見の客で混雑する。が、

それ以外の時期は閑散としているので、アクセスも良いこともあり私は年に数回訪れている。

 入口すぐにある森の科学館。 

 

 12月初めのこの時期は紅葉がまだきれいだった。

 

 

 

 これはメタセコイアの紅葉

 

 樹種が多いせいかいろんな紅葉を楽しむことが出来る。

 

 

 この時期のもう一つの楽しみは冬鳥。時期的にはまだ早かったのかこの日の収穫は乏しかった。

シジュウカラと

 

 コゲラと

 

 これはミヤマホオジロ♀のようだ。この鳥目当てにバーダーがたくさんやってくるようになったのは

最近のこと。

 

こちらは冠羽がきれいな♂

 

 初冬のこの時期でもよく探すと昆虫たちに出会える。

 じっと日向ぼっこしていたバッタの仲間

 

 このイトトンボはオツネントンボだろうか

 

 ツマグロヨコバイは色形から通称バナナ虫と呼ばれる。小春日和の日差しの中、何匹も飛び回っていた。

 

 そしてムラサキシジミ

 羽根を閉じていると地味で蛾の仲間と間違えられそうだが……

 

羽を開くと

 

シジミチョウの仲間だがこの種は成虫で越冬する。里山や丘陵地で、椿などの照葉樹の

葉っぱの上で日向ぼっこしていることが多い。

 

 この日の一番のお目当てはアサギマダラの幼虫。

食草はキジョランの大きな葉っぱ、これがそうだ。

 羽に開けられた穴はアサギマダラの幼虫の食痕だが、これがあるからと言って必ずいるとは限らない。

 

 葉っぱをそっと裏返し、運が良ければ小さな幼虫を見ることが出来る。

 

  来年春には優雅な舞姿を見せてほしいものだ。

 キジョランの実

 

 フユイチゴ

 

綺麗な色を残して枯れていたムラサキシキブ

 

  枯葉の上に鎮座した蜂の巣

 

 これは野鳥のための巣箱ではなく、ムササビのための巣箱。カメラのようなものが設置されていたので

 現在も中にいて、夜を待っているのだろうか。

 

 この辺で。