野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

奥秩父ーチョウの舞う草原

2017-08-30 20:50:50 | トレッキング

 今年の夏は過ごしやすかった。我が家ではエアコンは居間に一台あるっきりなので、

寝室では寝苦しさに耐えながら過ごすしかない。今年は7月上旬は暑かったものの、

梅雨入りしてからは暑さが和らいでくれた。一月近くは夜も過ごしやすかったが、

8月下旬に入ってからは忘れてはいないぞと言いたげに、寝苦しさが再び戻ってきた。

 

 休日、暑さに耐えかねて奥秩父の高原に出かけた。

頂上付近からガスに包まれた富士山が見える。

 

 高原はもう秋の気配

 

コウリンカ

 

 

 マルバタケブキの黄色い花が鮮やかだ

 

 

 草原ではこの時期黄色い花が多い。マルバタケブキ、キオン、アキノキリンソウ

コウリンカ。

 この花はキオン

 

一帯の標高は1500mを越え、高山植物も多く咲く。

ソバナ

 

タチコゴメグサ

 

 

ハナイカリ

 

 ウスユキソウ

 

ノコギリソウ

 

 ヤマホタルブクロ

 

 

アサギマダラの好きなヒヨドリバナ

 

この黄色いホトトギスはタマガワホトトギスという

 

僅かながら残されたコオニユリ

 それらの花にはチョウがたくさん舞っていたのだがそれは次回にしよう。

 

 今日は下山時に遭遇した若鹿。木の間からひょっこりと顔を覗かせた。

 

 

 一度こちらをちらっと見たのだが、逃げようとはしない

 

 もう少し近づいてみた。

 

 いったい何を食べているのだろう

 

 

 やっ、少し近づきすぎたようだ。あっという間に逃げられてしまった。

 

この辺で。


虫愛ずる季節

2017-08-25 21:35:43 | 散歩

  夏のこの季節は近場の比較的自然の残されたエリアに出かけては

虫を追いかけている。虫の世界は深い。私の同定できるのはそのうちのほんの一握り。

情けないが大半は分からず、〇〇の仲間でごまかしている。

採集はなるべくしたくないので、写真と図鑑を見比べながら調べていくことになるが、

 それは不可能に近い難しい作業になってしまう。そんな事情なのでまぁ間違いについては

寛容な心でご容赦してもらうという事になる……。

 

 久しぶりに日差しの見えた日、奥多摩の公園に出かけた。

 

 遊歩道の上で見かけたのはハンミョウ。昔はよく見かけた虫だが、

どういう訳か最近はなかなかお目にかかれない。

 

  ハンミョウ(斑猫)は小さいころ、山道を歩いているとよく見かけた。近づくと飛んで逃げるので

まるで道を教えているようだというところからミチオシエの別名がある。ハンミョウは甲虫目ハンミョウ科に

属し、大あごがよく発達した肉食系の虫。体色には変異があるという。

 どれにしても無駄遣いとも思えるこの派手な色彩にはどんな意味があるのだろうか。

 

 もう一つ美麗昆虫ラミーカミキリを紹介しよう。

甲虫目で数あるカミキリムシの仲間の一つ。

 

白と黒のツートンカラーが良く目立つ、一度見たら忘れられない昆虫だ。

 外来昆虫だとはいうが、日本にやってきたのは江戸時代後期というから

もう外来の名は取ってあげてもいいのではないか。

 

 胸部の二つの黒い点がどことなく目のように見える。 名前のラミーは

食草の名前と言われる

 

 トラガは 昼間飛ぶ蛾の仲間。大きさは3cm前後。

 

 ここまでは自信を持って断言してきたが、この辺から少しずつ自信がなくなってくる。

まぁこれはゴマフカミキリで間違いないだろう。

広葉樹林でも針葉樹林でも見かける、2cmほどのカミキリムシ。

 

大きめな葉っぱの上にいるのはセセリチョウの仲間

 

 羽根を広げたところを見るとキマダラセセリのようだ。

 

 少し離れたところにもセセリチョウがいたのだが、こっちはチャバネセセリなのか

イチモンジセセリなのかそれとも他のセセリチョウなのかまったく自信がない。

こんな時は「セセリチョウの仲間」といことでお茶を濁すしかない。

 

 体長5mmに満たないハエ。図鑑ではマダラアシナガバエというのにそっくりなのだが……・

 

バッタの仲間は直翅目というのだそうだが、この虫は触覚が長いのでキリギリスの仲間のようだ。

体色から見るとササキリに近いように見える。

 

センニンソウの蜜を吸いにやってきたのはマドガ。大きさは2cmにも満たない。

 

 

 これはカナブンで間違いがないだろう。多分カナブンに違いない。いや恐らくはカナブンと思われる。

カナブンも体色に変異があるそうだ。おまけによく似たコガネムシだっている。

そう考えると断言するのは止しといたほうがよさそうだ。

今のところは「カナブンの仲間によく似ている」と言っておこう。

 

 次は間違いなくムラサキシジミ……だと思う。綺麗な羽の色のシジミチョウだが、

季節を問わず低山を歩くと割とよくみつけることが出来る。

 

 バッタまではすぐわかるのだが、その先は……。一応クルマバッタかな?としておこう。

 

これはすぐにジャノメチョウとわかったのだが、帰って図鑑を見ると

ウラナミジャノメのようだ。

 

 カマキリも体色によって種類が変わるわけじゃないとは知らなかった。緑色型と茶色型は

カマキリのどの種類でも見られるのだそうだ。としたらこのカマキリは一体?

 

 こいつに至っては極少のハエアブの仲間としか言いようがない

 

 これは触角はそんなに長くはないが、カミキリムシの仲間のように見える。

 

 アぁそれにしても、もっと詳しい図鑑が欲しい!写真を見てはああだこうだと

言っているうちに貴重な夏が過ぎてしまいそうだ。

 

 

 この辺で。


奥日光を歩くー湯ノ湖早朝

2017-08-21 20:44:43 | 散歩

 

 朝早く起きてホテルの近くを散歩した。

すぐ近くには創建以来1300年余という温泉寺があった。

 

 湯畑のある方まで木道を歩いていく。

 

  すぐに特有の硫黄臭が立ち込めてくる

 

 

 池の中にはカモやカイツブリなどが平気で泳いでいる。

 

 蒸気の噴き出ているところまで行ってみる

 たちまち 周囲は熱気と臭気に満たされた。

 硫黄をたっぷり浴びた後は湯ノ湖畔へ

 

 崩れかけた建物の隣にある鳥居は温泉神社のもの

 

 

 少し下ると湯ノ湖のほとりに着く。

 湯ノ湖の湖面は朝もやで覆われて、日の出直後のマジックタイムを演出していた。

 

 空は昨夜の豪雨がまるでなかったかのように、風は凪いで朝もやが立ち込めている

靄の中一羽の鳥が湖畔の人々を睥睨しながら、ゆったりと飛んでいった。

 

  空はやがて静かに晴れ渡り、靄も次第に消えていった。

 

 

 アキアカネが頻りに飛び交う湿原の中を歩く

 

 湖畔では早起きした人々が釣りを楽しんでいた。

 

 

 ガスは晴れたかと思うと何時知れず濃さを増していく

 

 

 再び濃くなった朝もやの中、陽が登っていく

 

 

 

 帰りは奥日光休暇村のホテルの建物を見ながら帰った。道すがら聞く野鳥の啼き声は

  満ち足りて無言になった我々を、祝福してくれているようだった。

 

 この辺で。

 

 


奥日光を歩くー戦場ヶ原

2017-08-17 07:22:30 | 散歩

 

 

日光植物園を出て、いろは坂へ向かった。季節外れのいろは坂は

車は少なかったものの、途中ガスが濃くなって10m先がやっと見えるほどだった。

登りきった中禅寺湖周辺はすっかりガスが晴れ、時折陽射しも見えた。

 赤沼に車を止め、戦場ヶ原を歩くことにする。赤沼分岐を右折してからは

湯川沿いに進んだ。

 

 今の季節、戦場ヶ原で見られる花は、何をおいてもホザキシモツケだろう。

 

 ホザキシモツケはバラ科シモツケ属。

高層湿原に多く見られる落葉低木で花期は6~8月。

 

 日本では戦場ヶ原の他に釧路湿原や霧ケ峰高原などが有名だ。

群生している様子も良いが、一株をマクロに撮っても絵になる花だ。

 長い蕊についた水滴のきらめきが目を奪う。

 

 8月の中旬になり茶色い実も目立ちようになっている、やや見ごろ過ぎか。

右下ではノビタキが穂先に止まっている。

 

 湯川の流れはゆったりとしていて、川の中の倒木が興を添えている。

 

 暫く歩いていくと木道脇に花たちが増えてきた。いや花が増えてきたのではなく、

花を見る目が慣れてきたのだろう。一つの花を見つけると、その周りに次から次へと見つかっていく。

 黄色い大きな花をつけるトモエソウ

 

  ピンクに赤い筋のある花弁が可愛いハクサンフウロ

 

 ワレモコウも野では素朴に輝く

 

 草むらに数株集まって咲いているのはノアザミの花

 

 コバギボウシの花も多い

 

 川の中では藻がゆったりとした流れの中で揺らめいている。

 

 

 木立ちの中にはコオニユリの姿を見つけた。

 

 コオニユリの花の端にシジミチョウが止まっている。蜜を吸うにはこの蝶には

大きすぎる花のようだが……。

 

 木道脇の丈高い草に隠れるように咲いていたヤマオダマキ、

深窓の貴婦人といったところか。

 

  標高1400mの高原なのだが、陽射しの下を歩いていると汗が滲み出してくる。

 

 たくさんの花をつけたヤマホタルブクロ

 

 ひらけた草原に出るとシロネやクサレダマが目立つようになってきた。

 シロネ(の仲間)はシソ科の花、名前は白く太い地下茎から

 

 こちらはクサレダマ。サクラソウ科に属し、オカトラノオなどの仲間だ。

 

 クサレダマはマメ科の低木レダマに似た草の意味。漢字では草連玉。

大振りの鮮やかな花を咲かせ、秋にできる実もなかなか風情がある。

 

 一帯はお花畑になっていて、もう少ししてリンドウ(蕾は色づいていた)の花も咲けば

赤、青、黄の信号色が出揃うだろう。

 

 

 草原に立つデッドツリー

 

 歩き始めて一時間、青木橋が見えてきた。

 

  幅広い木道は歩いていても気持ちが良い。

 

 

湧水のある休憩地点泉門池(いずみやどいけ)までやってきた。

この辺が折り返し地点、カモも数羽いる。

 

 泉門池でしばらく休んでから、小田代が原の東側を歩いて戻った。

 

一帯は植相が変わって、イブキトラノオやヒヨドリバナなどが多く見られるようになった。

 

少し離れたところにはクガイソウの群生が見える。

 

 時刻も4時を回った頃、ヒヨドリバナにアサギマダラが飛んできた。羽の下部に

黒い性票が見えるので♂の個体のようだ。

 

 

 この後、可愛らしい子連れのヒガラの群れやアカゲラにも会えた。3時間半後、

戻った赤沼はすでに暗くなり始めていた

この日は湯ノ湖の小さな旅館に泊まった。夜を徹して叩きつけるような激しい雨が降っていた。

 

 この辺で。


奥日光を歩く

2017-08-13 17:34:27 | 植物園

 盆休み、一泊だけの日光旅行へ出かけてきた。今回は定番の

歴史旧跡には一切寄らず、植物園と戦場ヶ原のハイキングだけが目的だ。

 

 高速に乗って二時間足らず、市街地を抜け開園まもなくの日光植物園に到着。

 2004年以来何と10回を超える来園になる。飽きもせずよく来たものだ。

今回はおととしの夏以来2年ぶりになる。

 

 入園料は大人400円。咲いている花の数は季節によって異なるが、花の少ない

真夏でも80種類近く見ることが出来るのが嬉しい。詳細はこちら

 

 早速出迎えてくれたのはタマアジサイとシラヤマギク

 

 

 コバギボウシも可憐な花を咲かせている。

 

入口すぐに咲いていたシデシャジンは山地に咲く花、やや終わり加減なのが残念。

 

 これは初見。帰って図鑑で調べてガガイモ科ツクシガシワとわかった。

分布は本州の中国地方以南とある。

 

 園内にたくさん咲いていたホツツジ。1000m以上の山地に咲く花だけに

山で見るよりはちょっと容姿が劣るように思われる。

 

 お目当てだったキレンゲショウマは見頃はあと少し。

 

 園内のシンボル的な建物、実験室。赤い屋根の向こうには運が良ければ

二百名山の一つ女峰山(にょほうざん)が見える。

 

 園内をたくさん飛んでいたアキアカネ。花はコオニユリ

 

 ヒヨドリバナ

 

 アキノタムラソウはやや終わりかけていた。

 

キク科のオタカラコウ

 

 既に実をつけた花もある。

トチバニンジン

 

マムシグサ

 

 日光植物園は日光市街の外れ、旧田母沢御用邸の傍にある。南は大谷川、

東は田母沢川に挟まれていて、園内のあちらこちらに小川が流れている。

 

 湿地や水辺に咲く花も多い。ミズバショウ池にやってきた。

 

サワギキョウ

  

 

 ヌマトラノオ

 

 オゼコウホネは普通のコウホネと違って、葉を水面に浮かべ

また花の中央は赤くなる。

 

これも湿原に多いクサレダマ。黄色い花はすでに終わって実をつけている。

(尚この後行った戦場ヶ原ではちょうど花が盛りだった。)

 

 

 田母沢川。川を遡ると寂光滝、裏見滝が現れ、女峰山の登山口に至る。

 

 川にかかる通御橋(かよいみはし)の前で引き返す。 

 タカトウダイ

 

オオガンクビソウ

 

 大正天皇由緒地にあった池

 

その南側、大谷川の対岸に含満ヶ淵(がんまんがふち)がある。

数を数えるたびに違ってしまうという伝説のある並び地蔵。百体あったといわれているが

現在は見られるのは70体ほど。

 

  大谷川に沿って歩くとフシグロセンノウがそこかしこに咲いていた。

フシグロセンノウは夏の終わりごろに咲くナデシコ科の花。オレンジ色が良く目立つ。。

 

 オミナエシと対をなすオトコエシ

 

 たくさんの虫を集めるシシウド

 

 初秋に咲くハギの花とワレモコウ

 

 

 

 これはうれしい花に出会えた。ミズタマソウだ。この花は下から先上がって行くので

上の方にはまだ白い小さな花が咲き残っている。

 

 奥多摩や奥秩父の山でよく見かけるマルバタケブキ

 

 おまけは園内で出会った虫たち。名前がはっきり分からないのが情けない。

マドガ(窓蛾) 

 

 ダイミョウセセリ

 

 キタキチョウ。

 ここまでは図鑑を頼りに同定できた。ここから先は……。

 

 ヒナバッタに似ているが自信は全くない。 

 

見た目からしてアカガエルだとは思うのだが……。

 

 イナゴの仲間としかわからない

 

 在園時間は2時間、あっという間だった。ここはいつ来ても、私にとっては

タイムスリップしたような時を過ごせる不思議な場所だ。

 

  次回は戦場ヶ原。今日はこの辺で。