野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

初秋の浅間嶺を歩く

2016-09-29 08:42:53 | ハイキング

 奥多摩の名瀑払沢の滝入り口①から浅間嶺を歩いてきた。

当初の予定では下の地図②から右手に折れ、藤倉に下る予定だったのだが

その道は崩落により通行禁止(持参したのは昭文社の2009年の地図)となっていた。

予定を変え左折して③浅間嶺登山口に下山したのだが、あいにくバスが行ったばかり。

1時間20分も待つのは嫌だと歩いたのだが、再び上川乗④の手前でバスを逃した。

次のバスの予定はさらに一時間以上先、悔しいので再び⑤の笹平まで歩いた。

 

 なんとこの日は久しぶりの4万歩越え。足には肉刺、おまけに右膝を痛めてしまうは

散々の一日だった。 教訓としてはハイキング地図はなるべく新しいものを用意するというもの。

それにしても日曜日だったのにバスの本数が少なすぎるよ……。

 マウスで写真に書くのは何と難しいことか。

 

 歩き出しは車も通れる時坂峠へといたる林道。途中から山道になる。

 アオイ科のカラスノゴマ。8~10月ごろ道端や畑の際などでふつうにみられる花だ。

 

 秋に咲きだしたおなじみの花たちは組み写真で。ミゾソバ、マツカゼソウ、ゲンノショウコ、ツリフネソウ。

 

ツユクサ、ヤブマメ、カメバヒキオコシ、ヤクシソウ

 

 色づき始めたノブドウがきれいだ。

 

 キク科の花は私には難しい、カントウヨメナそれともユウガギク?、待てよノコンギクかな

 

ミズヒキのバッテンから顔をのぞかせているのはゲンノショウコ

 

急坂を登り切った先に苔むした2体の野仏が出迎えてくれた。

何とも味わいのある縄文人を思わせる微笑みだ。

 

彼岸花

 

 再び車道に合流。この辺りが時坂峠。眼下には檜原小学校が見える。

 

 少し高度が上がるとアキノキリンソウやキバナのアキギリが多くなってきた。

 

 

 

 クサボタン

 

登り始めて一時間を超えた。大きな看板の峠の茶店が見えてきた。

 

ここで水を補給。すぐ傍には素朴な作りの鳥居がある。

 

 この先は山道。涼しい風が吹く小沢に沿って登っていく。オオバショウマ

 

ヤマジノホトトギス

 

コウヤボウキも咲きだしたようだ。

 

スプーンの先に咲いたコウヤボウキに小虻が乗っかっている。

 

打ち捨てられたような甲州古道の看板。

 

 採水場で作業していたおじさんが挨拶をくれた。

 

 オクモミジバハグマ

 

 

カシワバハグマ

 

浅間嶺の休憩所までやってきた。この辺からハイカーとすれ違うようになってきた。

 

 

 

 見上げるとツリバナの熟した赤い実

 

ムコナの名もあるシラヤマギク

 

 レイジンソウ、この花を見るためには1000m近い標高まで登る必要がある。

 

 

一株だけ咲いていたセキヤノアキチョウジ

 

浅間嶺から40分、一本松の分岐までやってきた。ここから右折して藤倉方面に下る予定だったが、山道の崩落で断念。

 分岐から少し行くと山道脇にサル石の看板があった。

 

その傍の大岩。

どうやら黄色い丸の中にサルの手形らしきものが見えるのが名の由来のようだ。

 

おんぶバッタではないのだけど、おんぶ(交尾)していたバッタ

 

ここからは結構起伏のある道だった、日当たりの良いところではヤマハギが目立った。

 

 歴史を感じさせる道祖神

 

途中から林道に出て浅間嶺登山口へと下ったのは13時過ぎ。バスに乗って出発点である

払沢の滝まで戻り自宅には15時ごろ戻る予定だったのだが、冒頭に書いた通り

ここから10km以上も歩くことになるとは……、疲労困憊のまま家についたのは19時少し前。

4時間も予定を過ぎてしまった。この辺で。

 

 


神代植物公園ー大温室の花

2016-09-24 16:44:03 | 散歩

 土砂降りの雨の日、神代植物公園に出かけてきた。

今年の雨の多さは尋常ではない。9月に入ってすっきり晴れた日は

数えるほどだ。それも休みの日に限って一日中雨になるとはどういうわけか。

何かの祟りなのかとあらぬことを勘ぐってしまう。

 さて駐車場についたのは午前10時過ぎ。広い駐車場に止まっているのは3台だけ。

昨日(15日~21日)までは老人習慣、老人収監、いや老人終刊、うん?老人集患。おふざけはここまで。

老人週間ということで60歳以上は無料だったらしい。

そのせいかこの日はやけに閑散としていた。

  雨の中、なんとか着いた大温室は今年の4月にリニューアルオープンしたばかり。

ラン科植物のコーナーが新たに設けられてこれが結構楽しい。

  ファレノプシス・ツェイ・ユー・ビューティーという舌をかみそうな学名に更に「マトウ」という名がついていた。

 

  デンドロビウム・ラウェシィ。さっきの花に比べたら、こっちの方がまだ覚えられそうな気がする。それにしても

花の学名といいうものは何と覚えにくいのだろう。

 

沖縄原産のダイサギソウは絶滅危惧種に指定されている。よく見かけるサギソウに比べると

花の形は似ているが、随分と大ぶりな花だ。

 

通り名は「象の耳ラン」という世界最大の葉(大きくなると1m)を

もつ胡蝶蘭の仲間。

 以下はよく知らないので名前だけ。

 ロドリゲチア・デコラ

 

 オンシディオダ・モーニング・メロディー「サクラ」

 

 この花の禍々しさには驚いた、ドラクラ・ポリフェムスという名のラン。南米エクアドルが

原産地らしい。

 

 吸血鬼ドラキュラの名がついているだけあって結構な不気味さだ。

 

ランコーナーを抜けると前からあったベコニアのコーナーになる。

 ベコニアはあまり好みの花でないので組み写真でさらりと済まそう。

 好きになれない理由は花の形がいろいろでとても一つの花には思えないからだ。

 

温室の中にはまだ見ごろの花が沢山咲いていた。

英名でブルーバタフライフラワーという花。花の形をチョウに似せて集めようというのだろうか。

日本で自生しているカリガネソウにも似ている。

 

 赤い風鈴のように垂れ下がって咲くのはフウリンブッソウゲ。アオイ科でハイビスカスの仲間。

原産地は東アフリカ。因みにブッソウゲ(仏桑花)はハイビスカスのことで、沖縄ではアカバナーだ。

 

 これもハイビスカスのなかま「アランスー」。何とも独特の色合いの花だ。

 

 熱帯スイレン。すぐ近くにはブルーギガンティアの種名があったが??

 

サガリバナの花が一輪だけ残っていた。

 

 敷石の上にも

 

これはパパイヤの花

 

ドラクラ属の花にも似て不気味な「アリストロキア・サルバドレンシス」は

ウマノスズクサ科の花。中南米エルサルバドル原産。さっきのドラクラはエクアドル原産。

エクアドルとエルサルバドルの区別がつかなかったのでついでに調べてみた。エクアドルは南米でペルーの北

エルサルバドルは中米でメキシコの南と分かった。昔は知ってたような気がするが老人になると微妙な記憶には

ぼかしが入ってしまうようだ。

 

花ではないが、特徴的な葉を持つ「ヒコウキソウ」はマメ科の植物。

 

 この葉の色や形にも意味があるのだろうか。

 

大温室の終わりはサボテンコーナー(正式名ではない)。

夕方になると芳香を放ち咲く月下美人も昼間はお休み中。

 

 サボテンにはあまり興味がない、しかも余計な事を書きすぎて疲れたのでここからは名前だけ。

白刺金鯱

 

 アザラシ

 

 青乱雲

 

 嬉しいことに温室を徘徊している間に雨が小降りになってくれた。そこで

隣接している水生園にも足を延ばしてみた。彼岸花が咲き出したばかり。

 

 右端の白花は同じく咲き始めのタマスダレ。赤い網は稲を虫や鳥から守るためのものか。

プロの農家じゃないんだから、少しは食べさせてやってもいいだろうに。

 

 

欲を出して反対側にある多様性センターも訪ねた。

ナンバンギセルが雨に打たれている。

 

今年は雨が多かったせいかマヤランの二番花まで咲いていた。

 

 

たくさんの花たちに出会えた大変幸せな一日だった。


小仏峠から景信山へ

2016-09-20 09:10:42 | ハイキング

 小下沢梅林脇の林道に車を止めて、八王子にある景信山を登ってきた。

ルートは 小下沢梅林→小仏峠→景信山頂→小下沢宿営地→小下沢梅林に戻る、一周すると

4時間と少し、標高差500mの楽なコースである。最近はこれ位の行程をゆったりと花や虫を

愛でながら歩くのが多くなってきた。

 

 暫く車でも通れる幅広い林道を歩く。道の脇にはすっかり秋の花が多くなってきた。

 左上クズの花、右上はママコノシリヌグイ(あるいはミゾソバ)、左下はセンニンソウ、右下フジカンゾウの花。

 

歩き始めて20分、小仏のバス停を過ぎる。一休みしたらザックの上にウラギンシジミが止まった。

 ちょっと警戒気味ではあるが、1mと近づいても逃げようとはせずに暫く楽しませてくれた。

 

羽を開くとこんな模様で、表裏のギャップが大きい。

 

中央高速小仏トンネルの入り口付近で左に折れる。

さらに50分蝉の声を聴きながら緩やかに登っていくと小仏峠についた。

 

小仏峠には以前は茶屋があり、今でもその名残だろうか狸の置物がある。この峠は陣馬山から高尾山への

縦走路にもなっているので登山客がよく通る。

 

 峠の傍らには地蔵や道祖神もある。

 

 ここからは本格的な山道が始まる。ツリフネソウの群生が出迎えてくれた。

 

二つ仲良く並んで咲いているのはゲンノショウコ、言わずと知れた薬草だ。

 

 秋に入ってマムシグサ(の仲間)の実も色づいてきたようだ。

 

 丈高い草に隠れるようにフユイチゴの花も咲いている。

 

登山道の脇でよく見かけるマツカゼソウ。初秋低山で一つの株に小さな花をたくさん咲かす。ミカン科の花では

唯一の草本だそうだ。言われてみればミカンの花を小振りにしたような花だ。

が、匂いは大してなかった。

 

ノブキは今回の山行で一番よく見かけた花。これは少し実になりかけている。

 

 この時期定番の花、キバナアキギリ。

 

 少し標高が高くなって(600m位)きたら、シモバシラの花を見かけるようになってきた。

 花は花で楽しめるが、冬になると茎の根元にできるシモバシラも魅力となる花だ。

 

ヤマハギもそろそろ花を咲かせ始めていた。ハチやアブをたくさん集めていた。

 

ツリガネニンジン

 

久しぶりにクサボタンにも会えた。

 

 クサボタンはキンポウゲ科の花、センニンソウの仲間でもある。うす紫色の釣り鐘状の花が可愛らしい。

 

ヤマハギの間から顔をのぞかせたオヤマボクチ

 

ジャコウソウも咲いている

 

シソ科の花で漢名は麝香草。麝香のにおいが茎葉からするというが、私の嗅覚では全く感じられない。

 

 ヤマホトトギスの花。よく似たヤマジノホトトギスは花が水平に開く。

 

とはいうものの微妙な花のつき方をするのも多いので、図鑑でいうほど区別は簡単でないようだ。

 

 花だけでなく虫を探すのも今回の楽しみの一つだったが、9月も中旬を過ぎると

虫の数もだいぶ少なくなってきたようだ。

 やっと出会えたオオイチモンジ

 

小さな頂を左に巻いて稜線についたと思ったらすぐに頂上の茶店が見えてきた。

 

 10組ほどの登山客が休んでいたが、景信山の頂上は広く手狭には感じられない。

 

 天気はまあまあだった。中央に何とか見えるのはスカイツリー。

 

 声高に話す年配の登山客がいたので、隅の方に避難して昼食。

帰りは小下沢の野営上に下って、ゆるゆると小下沢沿いの道を梅林まで戻った。

今日もいい一日だった。


日向山トレッキング

2016-09-14 09:59:11 | トレッキング

 

  南アルプスの特有種 タカネビランジ

 

久しぶりに高速に乗って山を歩いてきた。それにしても高速代が馬鹿にならない。

国立府中から中央高速で長坂まで乗ると3320円(ETC割引で)にもなる。

距離は120㎞ほどだからガソリン代は1000円弱、高速代だけでほぼ3倍になる。

 くて金だから仕方がないかとは思うが、

少しでも倹約をと八王子から甲府昭和までにしたら2480円になった。

しかも嬉しいことに到着時間は30分も違わなかった。

余りに腹立たしいので帰りは一般道で4時間かけてゆっくりと帰った。

 

 さて今日は南アルプスの前衛峰である日向(ひなた)山1660M。

登山口の矢立石からぐるりと一周するコースで3時間と少しかかる。通常の左回りの

コースは錦滝の下りが危険だということで右回りのコースで行くことにした。

登山口に着いたのは8時を回ったばかり。狭い駐車スペースには先行車が一台だけいた。

右手が尾根道のコースで、私は左の林道コースを行くことにした。

 

林道は100Mもしないうちに車止めの柵が設けられている。

道の両脇に咲くツリフネソウが鮮やかだ。

 

よく見るとキツリフネも咲いている。

 

このキク科の花はユウガギクでいいのだろうか

 

タマアジサイもまだ咲き残っている

 

歩いているのは林道なのだが、長年の崖崩れの放置で1m幅に狭められ

野の草が生い茂っている。辺りには鬱蒼とした森林の雰囲気が漂っている。

 

40分で錦滝に到着した。

注意書きには下りは通行禁止、登りは滑落に注意して登るようにとあった。

 

錦滝。この辺が標高1300m地点。

 

滝の脇の急な坂道を登る。鎖場も何か所かある。

 

1時間ほど登ったところでやっと傾斜が緩んだようだ。

 

 と思ったら不意に森を抜け、前方に白砂の世界が現れた。

 

陽射しはないものの雨は既に止んでいる。

 

砂の中にもところどころ花は咲いている。

ハナイカリ

 

ヤマハハコ

 

アキノキリンソウ

 

ヤマホタルブクロ

 

頂上までの最後の急登。一時間以上登り続けた足に、砂がもぐり歩きにくい。

 

 登ってきた後の急勾配を振り返る。

 

 

10時やっと頂上についた。

  頂上には誰もいない。暫らく軽食を取って体の火照りを鎮める。

 

疲れも取れたので頂上付近の探検を始めることにした。

トモエシオガマ

 

 オヤマボクチがいい雰囲気を出している。

 

ところどころ群生している白い花はタチコゴメグサ

 

 

 そしてタカネビランジ

 

この花に出会うためには、本来なら南アルプスの高峰を1泊以上かけて登らねばならない。

日帰りでしかも3時間ちょっとで登れる日向山は何とお得な山なのだろう。

 

緩い傾斜のあちこちにぽつんぽつんとタカネビランジの群生がみられる。

 

 

 

 惜しいことに9月ではやや時期を失したようだ。花びらに白い斑点が見られるのが残念だ。

何とか見られる一輪をアップで。

 

この山の魅力は花だけではない。頂上の北から西にかけて雁ヶ原と呼ばれる

白砂奇岩の崩壊地が広がっている。

 

 

 

 

 頂上にいる間にガスが時折晴れていくようになった。

 

 向かいに見えるのは雨乞岳へと至る稜線

 

 足元に広がる市街地は北杜市、甲州街道も見える。その上には晴れていると八ヶ岳が望める。

 

頂上を独り占めして一時間余り過ごした。

下山はカラマツの植林地の中を緩やかに下っていくコース。

 大した高山でもないのだが、サルオガセが木に絡みついている。

 

 

旧雨量観測所。昭和48年まで無線ロボット雨量計による観測が行われていたようだ。

 

 下山路では6組10人のハイカーとすれ違った。登山も終点、約一時間の下りで

登山口の矢立石の大岩が見えてきた。

 

この辺で。


棒ノ峰を登る

2016-09-12 12:37:34 | 散歩

 9月に入ってからは少し涼しくなったので、空模様を見ては近くの山に登っている。

今回は奥武蔵と奥多摩にまたがる山、棒ノ峰(969m)。

名栗湖入口の駐車場に車を止めて歩きはじめる。白谷橋の登山口までは25分。

登山口には以前湧水があったのだが、いつの間にかなくなっていた。

 針葉樹林帯をゆっくりと登っていく。

 

すぐに小沢の流れる音を左側に聞くようになる。

 

棒ノ峰は標高が高い山ではないが、登山路の多くが渓谷沿いにありしかも森林の

中を登るので、夏でも涼しい登山を味わうことができる。

 

登山ガイドブックには初級向きとあるが、つい最近ここでは滑落死の事故があった。

とりわけ雨の時や下りにこの道を使うときは注意しないと危険だ。。

 

両側から崖が迫るゴルジュを抜ける。

 

右手のがけを登ると林道に出る。

 

倒木についた白いキノコ

 

 山道にはミズヒキが多い

 

時折見かけるのはヤマジノホトトギス

 

登山口から登ること1時間と少し、岩茸石(いわたけいし)が見えてきた。

 

ここから権次入(ごんじり)峠までは短いがかなりの急登。木段が壊れていて登りにくい。

道の脇にハッとするような真っ赤なタマゴタケがあった。

 

アザミの仲間

 

 見かける花は初秋の地味な花が多い。ヒヨドリバナ

 

コウヤボウキ

 

ヤブマメ

 

これはツリバナの実

 

権次入峠から10分ほど登ると突然視界が開け、棒ノ峰頂上にでた。

 

頂上のススキが風に揺れている。

 

この山の魅力は薄暗い渓谷沿いの道を登りつめた先に、不意に広がる明るい

伸びやかな展望といえよう。

 東京方面を見やる。この写真ではわからないが、スカイツリーまで肉眼で見られる。

 

 頂上の草原の上をアキアカネが群れを成して飛び交っている。

 

頂上は広い。この日は4組、6人ほど先客がいたが休むスペースには困らない。

 

 適当な日陰を見繕ってお昼にした。

 

食べた後は草原に寝ころび暫く秋風を浴びた。

昼過ぎて先客たちが次々と下山した後は、心地よい頂上を

独り占めして至福の時を過ごした。

下山は滝ノ平尾根を下り一時間半かかって駐車場まで戻った。