野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

箱根湿生花園

2016-10-12 06:18:18 | 植物園

  金時山を登った帰り箱根湿生花園へ寄った。入園料は普通だと700円だが、

近くの仙石案内所によってパンフレットをもらうと600円、100円だけ安くなる。ちょっと嬉しい。

 

 入り口すぐにいま見どころの花の写真がある。花の少ないこの時期でも見られる花は多い。

 

 

 真っ赤に輝いている実はガマズミの実

 

 すぐ近くにはツリバナの実も風流に揺れている。

 

左上からキミノガマズミ、ニシキギ、ツリバナ、ハマナス

 

 

 コムラサキシキブの実もきれいだ

 

 思ってもいないときにアケボノソウを見つけた。暫らくこの花に会ってなかった。

山歩きではなかなか出会うことの叶わない貴重な花だ。

春に咲くルイヨウボタン、ユキザサなどもそうだが、緑色の花には言いようのない気品が漂う。

 

ジャコウソウもここでは上品に見え、よそ行きの顔をしているようだ。

 

 シダに体を預けたツルリンドウの花

 

 10月中旬にもなると山では花の数はめっきり少なくなるのだが、ここでは

まだまだたくさんの花に出会えるのが嬉しい。

アキノキリンソウ、フシグロセンノウ、テンニンソウ、ナンテンハギと園内を

歩くごとに新しい花が出迎えてくれる。

 

 

 

 

 ワレモコウも野ではなかなか綺麗な整った色形の花には出会えない

 

 地味な花の代表のようなタデ科の花もサクラタデとなると結構見られる。

 

 少し色あせてしまったアキギリの花は中部から近畿地方にかけてが生育地。この辺の山歩きでは

見ることはできない。

 

 はっとするほど真紅の大柄な花を咲かすアサマフウロも生育地は中部地方だ。

 

 

ハッカの花

 

高山植物の見られる区画まで来た。北海道の日高地方に咲く

ヒダカミセバヤはベンケイソウ科の花、こんな花を山歩きの途中で

見つけたらどれほど嬉しいことか。

 

 マツムシソウの仲間

 

これも普通の山歩きではなかなかお目にかかれないイワシャジン

 

 

キイジョウロウホトトギスはホトトギスの仲間。黄色い光沢のある花が特徴。

 

お隣にある仙石原の薄野。一月前は黄金色に輝いていたはずだ。

 

 ウドの花の花後

 

ヤマホタルブクロ

 

湿原の一角までやってきた。

秋山を代表する花のひとつウメバチソウ

 

 

ヤマラッキョウも咲いている。

 

 同色のリンドウとサワギキョウが混在している。残り少なくなった花々にハチやチョウたちが

群がり集まっている。

 

 

 

 レイジンソウ。アヒルが集会を開いているかのような面白い形をしている。トリカブトの仲間の花だが

同じように根に毒を持つがさほどでもない。

 

 ミカエリソウは初めて見た花だ。テンニンソウとよく似ている。

花の名の由来は「人が見返るほど美しい」ことかららしい。

私にはそれほどとは思えないのだが……。生育地は福井県より西の方。

 

 このミカエリソウにはホシホウジャクが来ていて、しきりに蜜を吸っていた。

ホシホウジャクは市街地でもよく見かけるオオスカシバの仲間。

ホバリングをしながら花の蜜を吸うのが特徴。

 

 花に止まることはほとんどなく2.3秒間で次から次へと飛んでゆく。動きは素早くカメラに収めるのは

難しいのだが、今回は何とか見られるものが数カット採れた。

 

 

 処でこのホシホウジャクはいったいどんな昆虫の仲間かわかるだろうか。

私には全く分からなかった。ハチでもなく、アブでも無論ない。

 その正体はチョウに近いスズメガの仲間なのだという。

結構かわいい顔をしていると思わないだろうか。

 

 バスの予定時間までぎりぎり2時間半見て回った。いつも感じるのだが植物園は

んと素晴らしいのだろう。ディズニーランドなんか比じゃない……と

思う人はやっぱり少数派なんだろうなぁ。

この辺で。


金時山を登る

2016-10-08 20:09:52 | 散歩

 箱根の金時山に登るのは3度目。6年前には金時神社から、去年は乙女峠口から

登ったのだが、いずれも5月だった。今回は季節を変えて10月になり秋の山を登ることにした。

 新装なった新宿バスターミナルパスタから早朝7時5分発のバスに乗った。

2時間足らずで着く予定だったが、あいにく東名は工事中で30分ほど遅れた。

乙女峠口に着いたのは9時半を過ぎ。

このバスで降りたのは私の他には一名だけ。バスを降りてすぐ左に折れると標識がある。

 

 秋の低山でよく見られるセキヤノアキチョウジの群生が出迎えてくれた。

 

 ちなみによく似たアキチョウジは岐阜県以西が生育地で関東では見られない。

 

 枯れかけた恐らくツルニンジン(通称ジイソブ)の花。似た花にバアソブという花もあるのだがそれかもしれない。

全く自信はない。

 

背の高いシラヤマギクと思われる花。この時期のキク科の花は判別が難しい。私には荷が重すぎる。

 

10分も歩かないうちに林道から本格的な山道に入っていく。登りも急になってきた。

この日は夏日になるほど暑く、たちまち汗が噴き出してきた。

 

 シロヨメナ(これも恐らく)の群生。

 

少し標高が高くなったら道の脇にホトトギスの花が現れてきた。

 

 

 秋の代表的な花たちがつぎつぎとむかえてくれる、リンドウの花。

 

 

 トリカブトの花

 

オヤマボクチ

 

 乙女峠が見えてきた。数人のハイカーがベンチに腰かけて一息ついているのが見える。他の山と違って

 中高年だけではなく、半数は若い人だ。休まず登る。

 

これは珍しいツチアケビの実

 

 

 いくつか起伏を超えたら急に視界が開けた。前に見えるのは噴煙を上げる大涌谷。

 

 ダイモンジソウにも出会えた。

 

岩場にすがりつくように咲いているのはやはりキク科の花、

花びらの形からするとリュウノウギクだろうか。

 

アセビやシロヤシオなどのツツジ科の低木が消えて、辺りは明るくなってきた。

頂上がもうすぐのようだ。眼下には箱根のゴルフ場、奥には芦ノ湖も見える。

 

 頂上到着。登山口から約一時間半あっという間だった。人気の山らしく、

平日にもかかわらず頂上には数十人の人が休んでいた。

 

奥には名物の金時娘(とはいっても今では齢70を超える)がいる金時茶屋。

 

 なお頂上にはもう一軒茶屋があり、それが右側に少しだけ見える金太郎茶屋。

 人の話によるとこの二軒はあまり仲が良くないのだとか。

 

 今日はすっきり晴れていって展望はいいのだが、10月にもなるというのに

まだ雪化粧をしてない富士山は気の抜けたビールのようでちょっと締まらない。

 

 せっかくだからもう少し寄せて

 うん?そしたら看板の静岡県小山町に目が行った。すっかり神奈川県の山を登っていると思っていたら、

いつの間にか静岡県に足を踏み入れていたようだ。

 

 やかましい頂上に滞在したのは10分ほど。汗が引いてからすぐに下山を始めた。

登山客を数える機械があった。

 

 結構急な坂道を暫らく下ると、見晴らしのよいところに出た。

 

日当たりのよいこの辺りではマツムシソウが目についた。

 

 

アザミの花について蜜を吸っているのはアカシジミのようだ。

 

 ここでは思いがけない嬉しい花に出会った。日本最大のアザミと言われるフジアザミだ。

丹沢縦走で10年前に見かけて以来だから久しぶりになる。

 

大きさだけでない、凛として気品があり、崖の上で風に吹かれながら

重たげに花をゆったりと揺らしていた。

 

 私も秋風に吹かれながら仙石原までの下山路をたどった。

この辺で。


高尾山9月

2016-10-05 21:11:48 | 散歩

 9月の終わり、高尾山を歩いてきた。今年はこれで3回目。毎週一回

行くという人もいるらしいのでこれでも控えめな方だと思う。年間の登山者が

300万人を超えるというから、一日当たり一万人の勘定となる。標高も600mに

満たない山がこれほどのハイカーを集める魅力とはいったいなんだろうか。

 

 思いつくままあげてみると①手軽である ②生物相が豊かである ③信仰の山である

④富士山がの展望が良い ⑤四季を問わない ⑥体力に応じたコースが選べる……等々。

 何と言っても私が魅かれるのは②、春のタカオスミレから梅雨時のセッコク、イナモリソウ、

そして冬のシモバシラなどここで初めてお目にかかった花たちは随分と多い。

私にとっては高尾山は登山というよりも大きな植物園、自然園のような存在なのだ。

 シモバシラ

 

今日は久しぶりに気分を変えてリフトに乗った。リフトはケーブルと違って

待たなくでもいいのだがその分二倍以上の時間がかかり、料金は同じ。結局は到着時間も

たいして変わらない。いつものように途中からは人の少ない3号路に入り、30分ほどで分岐点。

 

ツルニンジン通称バアソブを見つけた。こいつは探していると見つからないが、何気なく気を抜いていると

ひょいと目の前に現れる不思議な奴だ。

 

3号路は花は少なかったが、キノコは多かった。ただし残念ながら名前はほとんど分からない。。

 

 

 

 

 これはツチグリに似ているが……。

 

枯葉の先の黒い実はホウチャクソウの実のようだ。

 

 ヒョウモンチョウの仲間がアザミの花に止まっていた。季節が進み、虫たちもじっとしている時間が長くなったようで

写真を撮るには良いのだが、何故か寂しい。

 

カシワバハグマはキク科コウヤボウキの仲間

 

秋に咲く花は春に比べて地味な花が多いように感じられる。

ノダケやアキカラマツもそうだ。

 みつを求めてやってきているのはあの危険なスズメバチの仲間のようだ。

 

 

 枯れかかった薄の葉から顔をのぞかせているのはマメ科のナンテンハギだ。

 

 人の背丈ほどもあるシラヤマギクにはヨメナに対してムコナの別名もある。

 

何と言ってもこの時期。奥多摩の低山で多く見られるのはカメバヒキオコシの大群落。

 

 それとともに多いのはツリフネソウの群落。麓から頂上まで見られる。

 

 少し標高が高くなるとオオバショウマが現れてくるようだ。

 

 

 高尾山の頂上には登らず(ここ数年は高尾山に登っても頂上に行ったことがない)、

迂回路である5号路を通って城山へ向かった。

城山の頂上直下には以前は見かけなかったヒガンバナの群生が見られた。

 

 ヤマボウシもたくさん実をつけていた。

 

 それに隠れるように数は少ないがヤマホトトギスやキバナアキギリが咲いている。

 

 

 ナルコユリの実

 

 ヤマハギも咲き始めていた。

 

 

 城山の頂上で昼食。帰りは巻き道を通って一号路へと下山した。

下山路で目立ったのがシモバシラの花。

 

しそ科のこの花は最近では9~10月にかけて咲く花よりも、12月から1月にかけてみられる

シモバシラ(冬になると枯れた茎にシモバシラのような氷の結晶ができる現象)の方が

ハイカーに人気となっているようだ。それはそれで綺麗なのだが、肝心の花の方も

なかなか凛として充分観賞に耐えるものだと思う。

 

 

 今日はこの辺で。