60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

健康診断

2011年09月22日 17時03分37秒 | Weblog
水曜日、2週間前に受けた健康診断の結果を聞きに病院へ行った。市の国保特定健診は結果を
郵送してくれないので毎回病院まで聞きに行かねばならない。病院で受付を済ませると医師との
面談の前に検査結果表を渡される。「結果に目を通しておいて、先生に何か質問があればその時
お尋ねください」と看護師が言う。毎年、この市の国保特定健診の基本検査に加え、オプションで
「胃のバリューム検査」、「腹部エコー検査」、「前立腺ガン検査」、「大腸ガン検査」等をしているが、
今回は「骨粗鬆症検査」と「動脈硬化検査」も加えることにした。

結果表を見ると、最初に目に飛び込んで来たのは 自分の名前の下に、「《D》 くわしい検査が
必要です」と、他よりも数倍大きな文字で書かかれた総合判定の項目である。これは、ここ数年
全く同じ判定結果である。「D」判定の原因は毎回心電図の検査で「右脚ブロック」という症状が
引っかかってくるからである。右脚ブロックは心臓内の電気刺激を伝えるルートのうち、右心室を
包むように位置する右脚という部分で、電気の流れが断絶されている状態を言うらしい。右脚を
電線に例えれば、さびや断線が起こっていて、上手く電流が流れない状態だという。以前に精密
検査も受けたことがあるが、その時は、これは治しようがないが、他にも電流を流すルートがある
ので日常生活に支障はないと言われた。それ以来そのままの状態で10年以上も経過している。

自分の名が呼ばれて診察室に入ると、私の検査結果表に目を通していた医者は、「特に問題は
無いようですね。何か気になることは有りますか?」と聞かれる。前回、前々回と3年間の数値が
並列に記載されているから、今回のデーターが突出していない限り特に問題は無いのであろう。
私も改めて聞くこともなく、面談は1分も掛からず終わった。

歳を重ねるに従って「健康」ということが一番の関心ごとになる。健康診断を自動車に例えれば
2年ごとに定期点検が義務付けれれている車検のようなものであろう。車も10万キロ以上走り
続ければ必ずどこかに不具合がでてくる。それでも強引に乗り続けるか、それとも修理しながら
丁寧に乗るかで車の寿命も変わってくる。車なら買い換えれば良いだろうが、自分の体であれば
そうはいかない。だから体の定期点検を繰り返し、体の各パーツの能力や消耗具合を自分なりに
把握しておく必要があると思っている。今回の検査で骨粗鬆症検査と動脈硬化検査を加えたのも
そんな意味合いがあったからである。

病院を出て会社までの電車の中でもう一度結果表を見直してみた。骨密度測定結果にはこう
記載されていた。※貴方の骨密度は0.789(g/cm2)です。これは貴方と同年齢の平均的な
骨密度と比較して110%に相当します。また若年成人の平均骨密度と比較すると、102%に
相当します。と書かれていた。ということは骨に関しては問題ないということである。車で言えば
躯体はまだしっかりしいると言うことである。

次に動脈硬化の検査結果。検査方法は左右の腕と左右の足首の4ヶ所の血圧を同時に計る。
それで、腕から足首までの脈波の伝播速度を計ることで、血管壁が堅くなっている程度を計る
PWV検査と、腕と足首の血圧との比較から下肢の狭搾(きょうさく)[すぼまって狭いこと]度を
調べるABI検査との二つである。結果は ※どちらも「健康な同年男性と比べて標準範囲内に
あります」とあった。これで車のパイプ類の腐食や詰まりは今のところ問題はないようである。

先週NHKの「試してガッテン」という番組で「腎臓機能」について取り上げていた。その番組の
中で、血液検査項目のクレアチニンの値から、自分の肝臓機能が何%残っているかがわかる
早見表の話があった。会社に帰って早速ネットでその早見表を検索し、健康診断の結果表の
クレアチニンの数値と照らし合わせて見た。私のクレアチニンの数値は0.91、年齢との相関
から私の腎臓機能はまだ65%残っているということである。一応は年令相当範囲ということで
あるが、ろ過機能については確実に衰えているということでもあろう。

あと血液検査で「B」がついたのが「ヘマトクリット」という項目、ネットでこのヘマトクリットを調べ
てみると、ヘマトクリット値が低ければ血液が薄いということを意味していて、貧血が疑われる。
逆にヘマトクリット値が高ければ血液はどろどろの状態で流れにくく詰まりやすくなるとあった。
私の値は男性平均のギリギリ上限で、少し血液が流れにくくなって来ているということである。

今回の検査結果を自分なりに見ると、前回「B」が付いた血圧が野菜ジュースの効果があって
「A」に返り咲いた以外は、3年間を比べてみても、その数値は基準値の範囲内から、徐々に
ではあるが外れようとしているということがわかる。しだいに「A」の項目が減り、「B」が増える。
やがて「C」や「D」現われ、とうとう「E」や「F」になって行くのだろう。それは髪の毛が薄くなる
ように、虫歯が多くなるように、不可逆的で後戻りが難しい状況のようにも思う。これが加齢と
いうことなのであろう。

人によって他は健全なのに、腎臓だけを悪くて人工透析を受けている人がいる。酒の飲み過ぎ
からなのか肝臓機能を悪くして、他にも影響を及ぼし始めた人もいる。自動車でもそうであるが
一つのパーツがダメになると、他がどんなにしっかりしていても車としての機能を失ってしまう。
それと一緒で人間の体もどこか一か所が不調になると、それが他にも影響を及ぼし始め、結局
全体不調になってくる。年齢とともにどこかが機能不全になるリスクは高まるから、自分の体の
それぞれのチェックは怠ってはならないと思っている。それと機能的に衰えてくるのは仕方ない
として、何処まで全体のバランスを保っていられるかが課題なのだろうとも思う。

私のまわりにも、人によって健康診断をないがしろにして受けない人がいる。「自分は大丈夫」
という慢心からか、それとも「悪くなった時は、なった時」と、今の自分の健康状態を直視せず、
現実逃避的になっているのではないかと思う。自分の不調が現実のものとなり、その症状が
顕著になった時はすでに手遅れと言う人を、これまで数多く見てきている。私はそのことを一番
恐れるのである。

私の母も健康診断に行かず、万年便秘が原因したのか大腸ガンになった。父も症状がない限り
医者には行かず、最終的にタバコから肺癌になった。義母は高血圧から脳卒中で今は右半身が
不自由である。義父はヘビードリンカーで食道癌で60半ばで亡くなった。それぞれが症状はある
程度気づいているのに、検査を受けることの億劫さと、病気への軽視から結局はそれが致命傷に
なったと思う。「もう少し事前に分っていれば、打つ手は有ったのに」、それが父母や義父母に対し
ての思いである。だから自分はそうでありたくない。健康診断だけではなく、なにか自分の体に
不調を感じた時は、迷わず医者に行き、納得するまで検査を受けることにしている。