浪漫飛行への誘(いざな)い

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手荷物の機内持込方式の断念

2019年06月25日 16時32分43秒 | 飛行機

 

よど号ハイジャック事件以来、機内持込手荷物への保安検査が厳しくなり、持込手荷物は一人1個という大原則が前面に押し出され、その後、定着していった経緯がある。昔の飛行機内には、手荷物収容スペースはなく、ハットラックと呼ばれる帽子棚があるだけだったので、手荷物はすべてカウンターで預かっていたのである。飛行機仕様の制約上、航空会社の都合で手荷物は無料で預かるシステムであったが、手荷物受託にかかるコストは航空会社の経営を圧迫していた。


従って当時の航空会社は、国内線については、コスト削減のため、機内に手荷物収容スペースを確保することに躍起になっていた。機内に手荷物収容スペースを確保し、乗客には手荷物を機内に持って入ってもらうという手荷物の機内持込制度を模索していたのである。手荷物引き取りの手間もなくなるため、サービス向上の観点からも期待されていた。


アメリカの航空会社の多くは、ハットラックに代わって手荷物を収容できるStowage(Storage) Binを設置するだけでなく、機内の入口に大型の手荷物収容スペースを確保する等の施策を取り、機内持込方式の導入を計画して模索していた。手荷物を預かる必要が少なくなれば、画期的な経費削減が期待されていたのである。


手荷物受託にかかるコストは、手荷物関連施設、搬送機材、車両、人件費等莫大なものであった。 コスト削減のため、新幹線のように、手荷物は原則として、乗客に機内に持ち込んでもらい、預かる場合はすべて料金を徴収するという制度を真剣に検討していたのである。機内における収納スペースの確保もその一環である。


当時は、カーブサイドでチェックイン時、手荷物を預かっていたが、チェックイン場所をゲートラウンジに移行し、ゲートにてチェックインをする時に手荷物も預かるというゲートチェックイン方式を順次導入していったのである。ゲートまで手荷物を持っていくことに慣れてもらえるなら、機内まで運んでもらうことは容易となると考えていたのである。


この画期的な航空会社の施策をパーにした要因は二つある。一つは、ハイジャック事件の多発で、機内持込手荷物を1個に制限せざるを得なくなったこと。もう一つは、航空機事故に伴う航空安全の観点から、機内手荷物の収容確保条件が厳しくなったことである。


この阻害要因がなかったら、航空旅行は、鉄道旅行と同様、手荷物は原則すべて機内に持ち込むこととし、預ける場合は受託手荷物料金を支払うという絵姿が描かれていたのである。手荷物にかかるコストがセーブできれば、航空会社の経営はもっと健全となったはずであるが、絵にかいた餅となった。機内に収納スペースがあれば、機内に持ち込めるようにしたほうがサービス向上にもなると思われたが、そうは問屋が卸さなかったのである。


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