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日本のアネモネは、キク

2022年09月20日 11時44分17秒 | キンポウゲ科
2021.08.18撮影

秋の代表的な花のひとつに、この花、シュウメイギクも数えられるでしょうか。わたしの住むバンクーバーでは8月半ばには花盛りになり始めます。花期が長く、9月半ば過ぎた現在でも、まだまだたくさん咲いています。

学名 Eriocapitella hupehensis
別名 Anemone hupehensis var. japonica
英名 Japanese anemone「日本のアネモネ」
和名 シュウメイギク(秋明菊)
キンポウゲ科(Ranunculaceae)

わたしは、実は、シュウメイギクには、カナダに来て初めて出会ったんです。姿の大きい植物が花びらの大きなきれいな花を一度にたくさん咲かせているので、これは何だ、と周りに聞くと、Japanese anemone「日本のアネモネ」だよ、日本人のあんたがそんなことも知らないのか? と言われました。

この花、季節には、バンクーバー中でどこにでも咲いているんですよ〜〜。でも、いくら、わたしの子ども時代(日本)の心象風景を思い浮かべてみても、シュウメイギクは出てこない。

USDA(アメリカ合衆国農務省)の植物耐寒区域分けによると、シュウメイギクは「4〜8」(数字の高い方が暖かい)となっています。地球温暖化してバンクーバーがやっと「8」になったところですから、シュウメイギクは、バンクーバーよりも寒いところでよく育つ植物だ、ということです。

NHKの「みんなの趣味の園芸」の記事に
> 耐寒性が強く耐暑性もあり、全国で栽培できますが、どちらかというと
> 夏は冷涼な地域のほうが成長が活発で、株もよくふえます。
というのがありました。


シュウメイギクには、ご存知と思いますが、ピンクのものもあります。次の画像は、うちのお隣さんのシュウメイギクが花の部分だけ頭をのぞかせて越境してきたもの。

2022.09.09撮影

白にしても、ピンクにしても、この花が、Japanese anemone「日本のアネモネ」と英語で呼ばれ、その和名は「シュウメイギク」である(他の名前も多くありますが)、と知ってから、「アネモネ」と「キク」を脳内一致させるのに、わたしはしばらく時間がかかりました。「キク」ってことはないでしょう、と。

植物の科学的分類と、それぞれの言語で歴史的につけられた名前とが、一致しないことは、普通にあることです。それに、植物は、人間の生活の中の実用度や、他の植物に「似ている」と知覚される程度や、また、審美感覚により、名前がつけられたりします。商業用になら、「好ましい名前」が意図的に選べれたりもします。

日本語だと、「〜きく」「〜さくら」「〜ぼたん」などがよく植物の名前につけられるでしょうか。英語だと、Rose がやたら出てきます。

シュウメイギク(秋明菊)
ダンギク(段菊)
マツバギク(松葉菊)
マツバボタン(松葉牡丹)
ハボタン(葉牡丹)
シバザクラ(芝桜)

Rose of Sharon(ムクゲ)
Christmas rose(クリスマスローズ、ヘレボレス)
Primrose(サクラソウ)
Evening primrose(マツヨイクサ、ツキミソウ)
Guelder-rose(テマリカンボク)

次の画像は、八重のシュウメイギクです。これなら、「キク」と呼んでもまだいいかな? それでも、「キク」にしては、花びらの幅が広いなあ、キク科(Asteraceae)の一重の幅広花弁のダリア(Dahlia)みたいだと思えばいい?

2022.09.08撮影

シュウメイギクの学名はシノニム(同名、つまり、別名)がかなりあり、古い属名、イチリンソウ属(Anemone)、現在の属名、エリオカピテルラ属(Eriocapitella)に続き、種小名が次のようになっています。

hupehensis(湖北原産)
hupehensis var. japonica(湖北原産、日本変種)
japonica var. hupehensis(日本原産、湖北変種)
japonica(日本原産)

だからあ、一体どっちなの?「湖北原産」なの、「日本原産」なの? つまるところは、シュウメイギクの原産地は中国湖北で、「日本原産」という名づけは命名間違いだそうです。

hupehensis var. japonica(湖北原産、日本変種)
が最も事実に基づいているようです。

中国語の名前がおもしろいんですよ。シュウメイギクを「打破椀花花」と呼びます、「割れお椀の花」。と言うことは、一重ではなく、八重でもなく、万重?

と、いぶかんで中国語版Wikipediaを見てみると、記事冒頭の画像は一重でしたが、もうひとつの画像の「秋牡丹」と呼ばれる「变种(変種体)」は、キクの花、そっくりでした。「変種」ということは、人工的に作り出された園芸種ではない、と言うことです。画像をクリックして、拡大して、ご覧になってください。これなら、「秋に明るく咲くキク」でもいいよね、と思いました。でも、中国語では、この八重のシュウメイキクを「ボタン」と呼ぶんですね。


以下のサイトに、17種類のシュウメイギクが出ています。画像をお楽しみください。一重引用符「‘ ’」の中に園芸種名が書かれています。


次の画像では、ツボミと、花の開いたのと、花びらとオシベが落ちた後の球形のメシベと、が見えます。この一重の白いシュウメイギクは、わたしが頼んだのでなく、自由意志で、お隣から引っ越してきたものです。塀のこちら側に出てきました〜〜、だから、わたしのもの〜〜

2021.09.10撮影


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