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ピッパズ・パープル

2024年03月04日 08時00分00秒 | キンポウゲ科、ヘレボルス

2024.02.05撮影

このヘレボルスも、遺伝子の多様化を図って庭に導入したヘレボルスの株のひとつです。園芸種名を「ピッパズ・パープル(ピッパの紫)」('Pippa's Purple')といいます。

先日ご紹介した「アイスンローゼズ、ピコティ」は、去年買った真っ白な「アイスンローゼズ、ホワイト」の兄弟姉妹、ということで、園芸店で目が留まりました。

今日ご紹介の「ピッパズ・パープル」は、「アイスンローゼズ」と同じように、花茎が高くて目を惹くんですが、それより、「ピッパズ・パープル」、花びらの色、バラ色が、夢見心地できれいだと思いました。葉っぱも美しく、模様が入ります。

2024.02.23撮影

こういうピンクって、わたしの経験上、うちにあるようなフツーの雑種のヘレボルスには、なかなか現れないんですよね。赤紫系やピンク系はたくさん生まれるんですが。

次の画像3枚をお比べください。大きい画像が「ピッパズ・パープル」、小さい画像2枚がわたしの庭で生まれたオリエンタリス系の個体です。画像上の色は、もちろん、撮影条件に左右されます。

2024.02.05撮影(ピッパズ・パープル」

 
2022.03.01撮影(オリエンタリス系)     2022.03.13撮影(オリエンタリス系

オリエンタリス系のヘレボルスは、通常斜め下向きに咲きます。それで撮影の時には、カメラを斜め下から斜め上に向けて構えるか、あるいは、片手で花茎を支え、花の顔の向きを変え、もう片方の手でシャッターを切ることになります。後者はなるべくしませんが。花が不自然な向きになるばかりでなく、手ブレが起こりやすいですから。

「アイスンローゼズ」や「ピッパズ・パープル」は、園芸種として開発され、花の顔を人間が目で捉えやすい、ほぼ横向きの姿で咲いてくれます。新しいヘレボルスを開発するヘレボルスの園芸家たちは、ヘレボルスを横向きに咲かせよう、と長らく努力してきました。

2024.02.23撮影

「ピッパズ・パープル」を改めてご紹介します。
学名 Helleborus x iburgensis 'Pippa's Purple'「ピッパの紫」
英名 Lenten Rose 'Pippa's Purple' 
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus

Pippa「ピッパ」というのは、ギリシャ語由来の英語の女性名 Philippa「フィリパ」(男性形は Philip「フィリップ」)を短くした愛称で、最近では、愛称形 Pippa そのものも実名として使われることもあります。イギリスのウィリアム皇太子妃キャサリンの妹が、Philippa で、この人は、通常 Pippa と愛称形で呼ばれます。

2024.02.23撮影

では、「ピッパズ・パープル」の Helleborus x iburgensis は、何と何(と何と何・・・)がかけあわされて、出来上がったのでしょうか。名称からは分からないので、調べてみました。

交配種ヘレボルス x イブルゲンシス(Helleborus x iburgensis)は
・交配種ヘレボルス x ヒュブリドゥス(Helleborus x hybridus)と
交配種ヘレボルス x バラーディアエ(Helleborus x ballardiae)を
かけあわせたもの。

ヘレボルス x バラーディアエ(Helleborus x ballardiae)って、どっかで見たよねえ〜〜〜、と自分の写真の記録を見てみると、去年、遺伝子注入のために来てもらった 'Merlin'「マーリン」 Helleborus x ballardiae でした。これも葉がきれいな園芸種です。

 
2023.03.05撮影(マーリン)         2023.03.28撮影(マーリン)

 
2023.05.11撮影(マーリン)         2023.04.30撮影(マーリン)

この「マーリン」くんは、今年1月に、雪でコテンパンにやられ、葉はなんとか少々生き残りましたが、花芽を(多分)全部失いました。普段は、上右の画像のようにきれいな葉を繁らせています。

では、交配種ヘレボルス x バラーディアエ(Helleborus x ballardiae)の出自は、というと、
・原種ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と
・原種ヘレボルス・リヴィドゥス(Helleborus lividus)を
かけあわせたもの。

ここまでさかのぼって行って、やっと原種の名前が出て来ました。

2024.02.08撮影

さて、「マーリン」は有効なタネを作るのか。続けて調べていくと、え? 「マーリン」は・・・不妊? そんなあ・・・。言われてみれば、確かに、タネのサヤが結実したのを見たことないわ。

じゃあ、「マーリン」と近縁関係にある「ピッパ」は? と懸念しながらあっちこっち情報を探すと、うそやん、「ピッパ」は「完全に不妊」と書いてある。じゃあ、わたしがお迎えに行ったのは、庭の繁栄のためにはムダだったのか?

なぐさめに、「ピッパズ・パープル」の美しい葉をご覧ください。左下の画像では、ピンクの模様が、右下の画像では、黄色の模様が出ています。

 
2024.02.23撮影               2024.02.23撮影

やっぱりねえ、異種間の交配種は、自然繁殖が難しいのか・・・


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