幼年期のある日父の大事にしている花瓶をうっかり落としてしまい真っ二つ割ってしまった。
その時、叱られると思いご飯粒をつけてそっと合わせ、わからないようにも元の場所に置いた。
その夜、父に呼ばれて花瓶の事を聞かれたが「知らない」と答えた。
父は何も言わず「そうか、分かった。早く寝ろ!」とその時の悲しそうな顔が今でも忘れられない。
寝床について、叱られなかった安心感もあったが、それ以上に子供心に気持ちが騒ぎ虚しさが湧き悲しく泣いてしまった。
そして明け方、父に嘘をついた事を誤りながら僕が割ったと自分から打明けた。
父は話しがあると言って自分も正座し私も父の前に正座した。
父は静かに人間は割れた茶碗をくっつけるような生き方をしてはいけないと言われた。
一言も怒らなかった父だが、昨夜の様な悲しい顔ではなかった。
その時の父の言葉も幼い私に本当に分かったか疑わしい。
今、考えるとその場で怒らないで子供に一晩考える時間を与える父の教育に感謝と感動している。
(以前の投稿したブログを何故か思い出し移動しました。)
(夕ぐれ時、家路に急ぐ幼き想い出 ) 画像は使用許可を得ています。