島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

笑うに笑えぬ福笑い

2009-02-02 23:54:37 | クルマ社会の問題
 なるほどクルマ台数の飛躍的増加と走行距離数の伸長にもかかわらず、それに大きく反比例して交通死者の数は減少し、その引き換えとして自動車産業は存続を許されてきたようなものだと前回の記事で述べた。
 だが、生身の人間の命は生きながらえても都市、とりわけ地方都市の様相は「笑うに笑えぬ福笑い」の状態と化している。いわば「街は死に体」なのである。
 人間の顔にある目や鼻、口、眉毛が定位置になければそれこそオバケのような顔立ちになるように、現代の地方都市は中心街が崩壊し、まさしく都市としてのメリハリがまったく失われ、目・口・鼻などが定位置から外れてしまっただけでなく、顔の輪郭までめちゃくちゃに膨張して(本物の福笑いなら顔の輪郭だけは不変)それこそ恐ろしい様相と化してしまっている。
 中心市街地の衰退・空洞化と際限なき郊外への膨張(スプロール化)は主としてクルマ社会の進展が招いたものだが、同時に地方都市の経済自体が不安定になって更なる混乱と疲弊を招き、人心まで荒廃・不安定になり、コミュニティも崩壊過程にある。
「個人」としての生身の人体の死は減少してもコミュニティの崩壊は社会を殺伐としたものにしていくのではないか。だから地方社会でも凄惨な事件が相次ぐのである。