とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

「シップ」する男たち

2012年05月10日 22時50分25秒 | SHERLOCK/シャーロック



とんねるずファンとしても、バディものファンとしても、しみじみ思うことがひとつある。


『萌え』という言葉をつくった人、あんたはエラい!


この言葉がなかった時代には、胸の内にもやもやとうずまく想いがいったいなんなのか、わからない人が多かったのではないかと思う。あるいは、わかっていても言葉でうまく説明できなかったり、イケないことを考えてしまってるようなやましさをおぼえたり・・・


「萌え」という言葉が一般化するずっと前から、とんねるずは、テレビで、ステージで、萌えの燃料をドカンドカン投下してくれちゃってました。今風にいえば、まさにブロマンスのさきがけだったわけで、そういう面でもとんねるずは、時代を先取るニューパワーでした。


ワンフーはといえば、とんねるずへの想いをどう表現すればいいのかわからぬままに、タカ&ノリの仲良しさんな瞬間を一瞬も見逃すまいと、テレビにかじりついてひたすらふたりを見ていた(ていうか今も)。大きな声ではあえて言わないけれど、その傾向は女子のみならず、野郎どものファンもおんなじだったはず。


いまタカさんが出演している大塚製薬のCMは、そんなとんねるずへの「萌え」心をじつに的確にすくいとってるんですよね。例によってわたしは最新情報にうとく、教えてもらってやっとCMを見たのですが(jironさん、ちなつさん、情報感謝です!)・・・


タカ:岡田君、俺のこと好き?
岡田:はい。
タカ:どこが好き?かっこいい?
岡田:お肌うるおってて、よく見とれます。(と、タカさんに近づきじっと顔を見つめる)
タカ:・・・え?



このバージョン、ねらいすぎでしょ!!わたしゃ思わず身悶えてしまいましたよ(笑)


まー、相手がノリさんじゃないのがおそろしく残念ではありますが、美青年相手のちょっとアヤしげな雰囲気には、演出家の思惑通りやはり萌えてしまいました。
(演出は、『鮫肌男と桃尻女』『スマグラー』の監督、石井克人。)


このコンセプトでタカさんを起用するセンスが、なんともいえず心ニクいんだよなあ。タカさんはじつは美少年に弱いのではなかろうかと、わたしも前々からひそかに思ってたのよね・・・


タカさんも、よくぞこの仕事を受けてくれました、という感じ。タカさんが単独でCMに出るのって、もしかして初めてでは・・・?(記憶にいまいち自信がないけど。まちがってたらどうぞご訂正ください)



ところで、この「萌え」文化、先駆者はわれらが日本の女子たちだったのは言うまでもないのですが、いまや日本にかぎらず世界的な一大潮流となりつつあります。英語のスラングでは近年 “ship” という用語が使われるようになってきました。たとえば、

I ship Tunnels so hard!!! (とんねるずに激萌え!!!)

てな具合に、動詞として使う。Urban Dictionaryによると、


オリジナル作品にはないロマンティックな登場人物同士の関係に対して支持を表明する動詞。ファンフィクションにおいて使われることが多い。アニメ、マンガ、ビデオゲーム、テレビドラマなどのキャラクターに対して使われる。

(v.) to support or endorse a romantic paring that is not canon in the work(s) in which they appear. The shipping of couples is often the purpose of many fanfiction stories. Used for characters in anime, manga, video games, tv shows, etc.



と、ある。

ロマンティック・リレーションシップ(Romantic relationship)の語尾の-shipから来た言葉のようです。


萌える=shipの心性からつくられたファンフィクションは、近年、tumblrやYouTubeの世界では見逃せないポップカルチャーのひとつとなっています。


わたしがshipという言葉に出会ったのは、BBCドラマ「シャーロック」がきっかけ。

前にも書いたように、一般のファンが作るいわゆるファンダムビデオが、びっくりするほどクオリティが高いんです。ついにはYouTubeでファンダムビデオ専用の再生リストまで作ってしまったわたし(笑)

(ファンダムビデオやtumblrの画像はほとんどがネタバレしまくってるので、安易にご紹介できないのがほんとーにクヤしいです。)


ファンフィクションの存在については、なんと出演者も知っているらしい。つい最近、主演のベネディクト・カンバーバッチがMTVのインタビューでファンフィクションに言及して話題になっています。



Benedict Cumberbatch Says 'Sherlock' Fan Fiction Is 'Flattering'




わかるところだけざっと訳してみますと:


インタビュアー:ファンフィクションのことは知ってる?

ベネディクト:最近知ったんだよ。(ジョン・ワトソンを演じる)マーティン・フリーマンがすごく詳しいんだ。Macintoshを持ってきて「ちょっとこのtumblr見てよ」って言うので見てみたら、もんのすごい(エッチな)ファンアートがあるんだよ。MTVでもちょっと流せないくらいスゴイんだ(笑)自分ではやったことのないようなカラダの使い方をワトソンといっしょに繰り広げてたりね。・・・でもアーティスティックなレベルがすごく高いんでびっくりしてしまう。ポルノっぽいやつでさえもね。「こりゃすごい、きっと何時間もかかって作ってるんだろうなあ」と感心しちゃうよ。




この発言を受けて、ファンたちは「バレた!みんな逃げて!」と大騒ぎ(笑)なんか、可愛い。








あまり詳しくないので、まちがっていたらご指摘いただきたいのですが、かつては同人誌とかヤオイ系ノベルとかの形で存在し(というか今も存在するのだと思うけど)すでに日本では長い歴史をもったジャンルが、近年インターネット上で広く共有されるようになってきた、ということでしょう。


最近は、「シャーロック」ファンのあいだでひとつのコンセンサスができつつあります。それは、

「シャーロックとジョンに誰よりも萌えている(shipper)のは、他ならぬ脚本家のふたり、スティーブ・モファット&マーク・ゲイティスである」

というもの(ちなみに2番目のshipperはアイリーン・アドラー、3番目がファンらしい)。


確かに、萌えポイントをこれでもかこれでもかと全編にちりばめた脚本を見れば、脚本家たちがいかに「腐」であるかがわかる。これは、映画版を監督したガイ・リッチーにも言えることです。


(さらにさかのぼるなら、ホームズとワトソンを創造したアーサー・コナン・ドイルこそ「腐」の権化だったといえなくもない。ホームズものにかぎらず、ドイルの小説には魅力的な女性キャラはほとんど登場しない)


そう考えてみると、われわれファンが萌えてしまう作品なりキャラクターなりを作り出しているクリエーターは、じつは男たちである、ということがわかる。

とんねるずにしても、そうなのです。いまで言う「萌え」や「ブロマンス」的なもの、簡単に言うと「コンビ愛」を前面にうちだす戦略をとってきたのは、秋元康、石橋貴明、木梨憲武を中心とした野郎どもの集団だった。


つまりは、他の誰よりも彼ら自身がとんねるずに「萌え」ていたからこそ、わたしたちもそれに反応できたわけです。


「萌え」の仕掛人が男性である、というのは、もっとじっくり考えるに価するおもしろい現象だと思います。むろん、それを受けてファンフィクションというかたちでさらにイマジネーションをひろげてゆくのは、女性を中心としたファンたちなのですが。




歴代ホームズ&ワトソンの「萌え」シーンばかりをあつめたユニークなファンビデオ。うーむ、やっぱりロシア版がすごく良い・・・(ダウニー&ジュード、ベネディクト&マーティンは含まれていません)


Holmes/Watson Clipfest of Innuendo-Laden Slashy Goodness












最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
萌えてます (chirira)
2012-05-10 23:25:48
お久しぶりです。

『萌える』って昔から言葉としては存在してたはずなのに、意味が全然違う解釈
でしたよね。
いつ位からなんでしょうね・・・気付いた時にはこの『萌』っていう言葉が世間に認知
されてましたが。
私もとんねるずに心奪われてからというもの、2人のイチャイチャを見てドキドキして嬉しく
なってしまうこの感情が一体何なのか分からず、でも何となくこれは表に出しては
いけないものなんだと一人悶々としていた時期がありました。
今はネットがあるからいいですよね~。
そういう気持ちを持っていた、持っている人との交流がすごい勢いで加速していっ
ております(笑)
何とも便利な世の中になったもんです。

若い頃ほど『萌』材料が少なくなったとんねるずですが、それでも2人のちょっと
した…例えば視線が合ったとか、手が触れたとか、名前を呼んだとか、笑い合っ
てるとか、そんな些細なことでも萌えさせてくれることが(50歳なのに!w)
どんなにステキなことかと…
60歳になってもこんな風にドキドキさせてほしいですね~ww

あ、ちなみに先日、youtubeの方に初めて動画をアップしてみたんです。
もちろんとんねるずの。
よかったらファイアーさんにも見て頂ければなぁと。

http://ameblo.jp/172925/entry-11240357938.html

(当ブログに張ってますので・・・)

長文失礼しました。
返信する
chiriraさん (ファイアー)
2012-05-11 10:47:28
こちらこそごぶさたしてます。
最近ちょっとごたごたしてて、chiriraさんのブログへもおじゃまできてなくて、ごめんなさい。

動画、拝見しました。
うっわー・・・・・・・・・・・・ヤバい!!
いま、マジで泣いてます・・・
これ、とんねるずのおふたりにも見てもらいたいなあ。
そう、とんねるずのこういう動画が見たかったんですよ!!
苦労して作られたんだろうなあというのをひしひしと感じます。愛もね!
ワンフーの一員として、心から感謝します。

「萌え」を共有するファンのみなさんが、最近たくさんブログ等で発言しておられるのを、
わたしも陰ながら拝見しています。
もちろんわたしも萌え続けのワンフー人生ですけど、
この方面ではなかなかみなさんの情熱のレベルに届かないので・・・
静かに拝見してうれしがっております^^
返信する

コメントを投稿