とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

聞かれてないけど初回の感想(追記あり)

2012年01月12日 01時26分18秒 | その他


年が明けて、大河ドラマの初回放送があると「ああまた今年の日常が始まるんだな」なんてなことを感じます。新年の風物詩ですな。

と、まるで大河ドラマのハードコアファンみたいな枕から始めましたが、実を言うとここ数年の大河は観たり観なかったり、いやほぼ観ないほうが8割9割を占める感じできてるので、大河を語る資格はわたしにはまったくありません。最近は、日曜8時といえば「イッテQ」と決まってましたし。

8日(日)は、たまたま「イッテQ」がお休みだったため、しゃあないな、ってんで、「平清盛」初回放送を観てみました。

おもしろかったっすね。非常におもしろかったです。
夕食を作りながらで、見逃した場面も多くあるので、土曜の再放送をしっかりチェックしようと思ってます。

NHK公式サイトhttp://www9.nhk.or.jp/kiyomori/

初回を見逃した方、あるいは振り返りたい方は、こちらのブログがおすすめ。
妄想大河ドラマ
こっちはモノホンのハードコアファンの方が書かれているので内容が濃くておもしろいです。

この記事にも書かれている通り、超極悪の白河法皇を演じた伊東四朗さんがすごかった!こんな役もこなすのかあ、とびっくりしました。剃髪がすごく自然に見えたので、まさか役作りのために剃ったの!?それなら超カッコいいぜ!と思ったんだけど、公式サイトによると、特殊メイクなんだそうです。でも出色の出来ばえで、カッコいいことにはかわりありません。

白河院のそばに仕える祇園女御(×架空のキャラ→○実在のキャラ 訂正します)を演じているのは、なななんとプリンセス・セイコではありませんか。聖子ちゃんが大河に出てる画がすっごい新鮮。

こういう意表をつくキャスティングを、大河だけじゃなくNHKのドラマ班は時々ぶちこんできますが、清盛の子ども時代(平太)に抜擢されたのは、松竹芸能の星、まえだまえだの弟、前田旺志郎。おおきなったなあ~出世したなあ~。兄の前田航基は盗賊の兎丸を演じていて、なぜか関西弁で平太の出自を暴露してしまう。このふたりの演技がすごくいい。

で、今後、兎丸が長じて加藤浩次になるってんだから、まさかの松竹→吉本連携。びっくりです。だけど関西弁は・・・?

主要キャラのなかに、コメディアン、漫才コンビ、アイドル、の異色キャストが目白押し、というところに、制作陣の攻めの姿勢を感じました。

異色キャストといえば、08年の「風林火山」を思い出す。ここ数年で、唯一わたしが最初から最後まで観た大河が「風林火山」で、もうほんと大好きでした。このドラマでも、ソニー千葉ちゃんとか、テリー伊藤さんがゲストで出たり、当時は世間的には無名だった市川亀治郎や、Gacktを起用するなど、これでもかーどうだーと言わんばかりの攻めっぷりが痛快なドラマでした。「平清盛」にも、あっとおどろくゲストを期待したいですね。

その一方で、いかにも大河らしい役者、中井貴一こと貴一っちゃんが、いかにも大河らしい重厚な演技で魅せてくれました。かつて彼が主演した「武田信玄」(88年)はすばらしかった。まだ若かったのに老け役が上手くて、すごい役者さんだと思った。まさか将来ノリさんの大親友になろうとは思いもよらずに。

そんな彼が、公家に虐げられた「汚い」武士(by某県知事*)& 強き父を実に滋味豊かに演じていました。血のつながらない息子に厳しく接しながらも、ふと見つめるまなざしのなんとやさしいこと。ラストで父が渾身の思いをこめて平太に向かって叫ぶ「強くなれ!」には、鳥肌が立った・・・

まえだまえだ弟と小舟に乗って語り合う場面が印象的でした。
「体の軸が心の軸をささえ、心の軸が体の軸をささえるのだ」
という父の言葉に、このドラマのアクション面のポテンシャルもひそかに感じたり。

海上の撮影では、海賊船なども出てきました。わたしが見たかぎりでは、本物の船を使っているようでしたね。多少のCG合成はあるのかもしれないですが、ほとんどわかりませんでした。

似たようなセッティングが、映画『カムイ外伝』にもあったのを思い出しました。あ、これも松ケンが主演だったね。『カムイ外伝』では大型船はほぼCGで、それがまるわかりなので非常に興ざめでしたが、「清盛」は迫力ある本物の映像でした。ここが自分的に感動ポイントだったんだよな~

衣裳、美術もしっかりとお金をかけているなと思わせ、大河ドラマらしい贅沢感をひさしぶりに感じさせてくれました。手持ちカメラのシネマヴェリテ風の映像は、個人的にはちょっと苦手なので、「龍馬伝」ほど多様はしないでくれたらいいなあと願ってはおります。が、なんともいえない臨場感のある映像で、まるでその時代に居合わせているかのような、2Dなのに3D的な、快い錯覚に陥りましたね。「タイムスクープハンター」っぽい感じ。

ナレーションに若手俳優の岡田将生(のちの源頼朝)を起用しているのもおもしろい。「妄想大河ドラマ」の記事ではナレーションが多過ぎるのでは、と危惧されていますが、けっこういまの時代にマッチしてるような。ちびまるこちゃんのキートン山田さん的な、ツッコミとしてのナレーションになってておもしろいんじゃないかなと思いました。

日本史の知識がほぼゼロに近いため、ストーリー展開にはほぼふれてませんが。というか、ふれることができませんが(笑)純粋にドラマとして観て、かなり期待できるな今年は!というのが、初回の感想でありました。外野の声にまどわされず、スタッフ・キャストのみなさんには信じた道を突き進み、攻め進んでいただきたいと、切に希望しております。

坂東玉三郎さんも、楽しまれたようです。
公式サイトの「今月のコメント 2012年1月」において、「追伸」として感想を書き加えてらっしゃる。ファンの方によると、玉三郎さんが「今月のコメント」に追記を載せるのはきわめてめずらしいことなんだそうです。
玉三郎さんもまた、攻め続けるアーティストなのだろう!
Tamasaburo Bando Official Site



*追記:
某知事の大河ドラマ批判にたいする、ユニークな指摘→ブログ「歴史風説ながれ旅」さんの記事
確かに、これぐらい言ってくれたら「さすが知事、今年の観光の目玉になるドラマだから、勉強されたのですね」と少しは感心もされただろうに。あ、でもドラマに時代考証は不要と考える人だから、こんなこと言うわけないか。

知事の発言がもしもいわゆる「釣り」というやつなら、わたしもみごとに釣られたクチかもしれない。しかし、ドラマのPRにはなっても、県観光のPRにはなってないと思うぞ。大河サイドにすれば、批判はむしろ宣伝にもなるが、当の観光地の住民はいい迷惑だろう。だいたい、「釣り」ってなによ?すごく気持ち悪いよ、そういうの。

知事が個人的な感想を言うのはかまわない。汚いドラマだと感じるのは自由だ。なにも彼の映像創作物に対する美的センスまでとやかく言いはしない。しかし、質問記者(毎日新聞)にあおられ調子づいて「NHKに申し入れをする」と発言したこと、それがもっとも大きな、実に大きな問題だったと思う。

知事の批判発言があった定例記者会見の様子を全編ここ↓で見ることができます。
知事定例記者会見(2012年1月10日(火曜日))






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