漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0335

2020-09-29 19:36:47 | 古今和歌集

はなのいろは ゆきにまじりて みえずとも かをだににほへ ひとのしるべく

花の色は 雪にまじりて 見えずとも 香をだににほへ 人の知るべく

 

小野篁

 

 花の色は降る雪に隠れて見えないとしても、せめて香だけでも匂っておくれ。そこに梅の花があると人にわかるように。

 詞書には「梅の花に雪の降れるをよめる」とあります。咲いているのに姿の見えない梅の花を、せめてその香りだけでも感じたい、という主題は、0091 の歌と共通しますね。

 

はなのいろは かすみにこめて みせずとも かをだにぬすめ はるのやまかぜ

花の色は 霞にこめて 見せずとも 香をだにぬすめ 春の山風


良岑宗貞

 

 作者の小野篁(おの の たかむら)は、初登場。平安時代初期の貴族で、その中でも「公卿」と総称される高い地位を得た人物ですが、一時期は天皇の怒りをかって隠岐に流されるなど、波乱の人生を送っています。歌人としては、古今集に六首が入集。流罪となり隠岐に渡る際に詠んだ 0407 は百人一首(第11番)にも採録されています。

 

わたのはら やそじまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人にはつげよ 海人の釣り舟

 

 



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