漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0954

2022-06-10 05:40:02 | 古今和歌集

よのなかの うけくにあきぬ おくやまの このはにふれる ゆきやけなまし

世の中の 憂けくに飽きぬ 奥山の 木の葉にふれる ゆきや消なまし

 

よみ人知らず

 

 世の中のつらいことが嫌になった。奥山の木の葉に降り積もる雪が消えるように、私も奥山に入って消えてしまおうか。

 第二句「憂けく」は、用言の語尾に「く」がついて名詞化する「ク語法」と呼ばれる用法で、「憂け」は「憂し」の上代における未然形。第五句の「ゆき」は「雪」と「行き」の掛詞になっています。さらに言えば、第二句の「飽き」が「秋」を連想させて、「雪」=「冬」への季節の移り変わりも示唆しているとも言えそうです。