漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0952

2022-06-08 05:49:30 | 古今和歌集

いかならむ いはほのなかに すまばかは よのうきことの きこえこざらむ

いかならむ 巌の中に 住まばかは 世の憂きことの 聞こえ来ざらむ

 

よみ人知らず

 

 いったいどれほど深い岩山の中に住んだならば、世の中のつらいことが聞こえて来なくなるのだろうか。

 第二句「巌」は言葉としては岩そのもののことですが、ここでは岩山の意ですね。第三句の「かは」は反語を表す係助詞。この世の中の嫌なことつらいことは、たとえ岩山の奥深くに住んだとしても聞こえてくるだろうとの嘆きの詠歌です。