漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0946

2022-06-02 05:32:39 | 古今和歌集

しりにけむ ききてもいとへ よのなかは なみのさわぎに かぜぞしくめる

知りにけむ 聞きてもいとへ 世の中は 波のさわぎに 風ぞしくめる

 

布留今道

 

 すでに知っていたでしょう。そうでなかったら、ここで聞いて厭わなくてはいけません。世の中というものは、波が騒ぐ上にしきりに風も吹くようですから。

 第五句「風ぞしくめる」の「しく」は「同じことが重なる」「しきりに~する」意。「波のさわぎに 風ぞしくめる」は次々といろいろな出来事が起きることの比喩で、世の中の絶え間ない変化、無常を表現していますね。
 古今集に三首入集している布留今道、他の二首は 02270870 に採録されています。