まこもかる よどのさはみづ あめふれば つねよりことに まさるわがこひ
真菰刈る 淀の沢水 雨降れば つねよりことに まさるわが恋
紀貫之
真菰を刈る淀の沢水が、雨が降るとその水かさが増すように、いつもより一層思いが募るわが恋であるよ。
「真菰」は水辺に生える草。歌意はわかりやすいですね。そしてこの歌から派生した、「派生歌」と言われる歌が新古今集に採録されています。
まこもかる よどのさはみづ ふかけれど そこまでつきの かげはすみけり
真菰刈る 淀の沢水 深けれど 底まで月の 影は澄みけり
大江匡房
(新古今和歌集 巻第三「夏歌」 第229番)
この「派生歌」というもの、「本歌取り」と何が違うのか? 本歌取りが、本歌を背景として用いることで本歌で詠まれた情景や心象をも取り込み、いわば二首分の奥行きを獲得して表現効果の重層化を図るものであるのに対して、派生歌は単に語句を踏襲しているもの、ということのようですが、正直まだよくその違いが分かっていません。^^;; まだまだ勉強ですね。