漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0604

2021-06-25 19:26:22 | 古今和歌集

つのくにの なにはのあしの めもはるに しげきわがこひ ひとしるらめや

津の国の 難波の葦の めもはるに 繁きわが恋 人知るらめや

 

紀貫之

 

 津の国の難波に広々と張っている葦の芽のように思いが募ってならない私の恋心を、あの人は知っているのだろうか。いや、知らないであろう。

 「津の国」は摂津国で、今の大阪府と兵庫県にまたがる地域。当時、葦が群生していたのでしょう。「めもはる」は「芽も張る」と「目も遥(か)」の掛詞になっています。最後の「や」は反語ですね。