古今和歌集 0589 2021-06-10 19:45:33 | 古今和歌集 つゆならぬ こころをはなに おきそめて かぜふくごとに ものおもひぞつく 露ならぬ 心を花に 置きそめて 風吹くごとく もの思ひぞつく 紀貫之 露ならず私の心を花に置きはじめてから、風が吹くたびに思いが吹き散らされるのではないかと、心配でならないことであるよ。 詞書には、三月頃、親しくしている女性に別の男がたびたびやって来て手紙を渡していると聞いて歌を贈った、とあります。「花」はもちろん相手の女性の比喩ですね。花に置いた露が風に吹き散らされるように、相手に寄せる心が散り乱れる、と詠んでいます。