英語道(トラスト英語学院のブログ)

長野県伊那市の英語塾「トラスト英語学院」の塾長ブログです(^^)/
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混乱の中の真っ当な判断

2019年11月01日 | 2020年大学入試制度改革
「大学受験でTOEFLが必要になるって聞きました」(高1保護者)
「英検が来年から変わるんですよね」(中2保護者)

これらは実際に指導現場にいて、この2年間のうちに保護者の方から受けた多くの相談の典型です。大学入試でTOEFLが必要になるわけでもなく、中学生が受ける英検が変わるわけでもないのに、情報が錯綜し、これから大学受験を迎えようとしている学生やその家庭、そして、教育現場は混乱した数年間を強いられました。

今朝、2020年度の大学入試制度改革の目玉の一つであった英語民間試験導入の延期が決定されました。その公平性や公正性の問題から、本ブログでも延期や中止を訴えてきましたが、ようやく、真っ当な判断が下されたのです。国会に署名を送ったのも微力ながら奏功したと考えると、嬉しいです。

今回の問題の発端は、「中・高6年間も英語を勉強するのに、日本人は英語が話せない。それは、大学受験で読む力と聴く力しか試されないからだ」です。ならば、「大学受験で書く力と話す力を試せばいい。手間暇考えれば、すでにある民間試験を使えば手っ取り早い」という流れになったわけです。しかし、最初の現状把握がそもそも間違っています。

中・高6年間、日本人は英語を勉強しているのでしょうか。
中3で英検3級程度以上の力がある生徒・・・42.6%
高3で英検準2級程度以上の力がある生徒・・・40.2%
これは今年4月に発表された文部科学省の調査の結果です。高校卒業時に英検準2級レベルの力がある生徒はたったの4割です。は~?準2級?少し英語を勉強した小学生でも受かりますよ。なぜ「高校卒業程度」の2級じゃないの?おそらく、1割にも満たないでしょう。そんな低い数値をデータを公表したら、世間が驚いてしまいますからね(笑)。日本の中高生は、英語の勉強をしていないのです。まあ、英語だけに限ったことでなく、他教科もそうです。

そして、そもそも大学受験にスピーキング力なんて必要ないのです。以下は、英語教材制作に豊富な実績がある(株)ナラボー・プレス代表の赤井田拓弥先生が、私のFacebookの投稿記事に下さったコメントの引用です。
4技能を「理解言語」と「表現言語」に分けて考える人たちが本当に少ないと思います。「言語理解は常に言語表現に先んじ、そして大きく上回る」という原則をしっかり考えれば、高校の段階で「表現言語」であるスピーキングやライティングをやってもあまり効果が出ないのだということを、だれかしっかり伝えてほしいものです。つまり、大学入試には、福澤さんがおっしゃるように、理解言語であるリーディングとリスニングだけで十分なのです。

今後はこの混乱を招いた責任の所在と原因の追及に話が及ぶと思われますが、それ以上に、次の最大の論点は、国語と数学の記述式問題導入の廃止でしょう。いや、それこそ、英語の民間試験導入と同様に大問題なのです。そして、従来のままのセンター試験継続の可能性が大きくなることを期待します。

いいものはいい、悪いものは悪い。正しい民意を主張し続ければ、潮目は変わり、国も動きます。


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