英語道(トラスト英語学院のブログ)

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因果応報であるべき大学受験

2019年11月16日 | 2020年大学入試制度改革
本日(11月16日)の信濃毎日新聞朝刊の社説で、大学共通テストの記述式問題について取り上げられました。以下に本文を引用します。
大学共通テスト 記述式も見送るべきだ

およそ50万人が受ける一斉試験の筆記の答案を、人の手で20日間ほどで採点する。そのこと自体、無理があるのは目に見えている。

現在の大学入試センター試験に代わる共通テストで、国語と数学に導入を予定する記述式問題である。採点業務は民間に委託し、1万人規模の採点者には学生アルバイトも含まれる。入試としての公正さを保てるのか。高校、大学、受験生自身から疑問や懸念の声が上がるのは当然だ。

導入見送りが決まった英語の民間試験だけでなく、入試改革のもう一つの柱である記述式問題についても、制度の不備は隠せない。共通テストへの移行そのものを見送り、現場の声を踏まえて議論をやり直すべきだ。

記述式問題の採点は、大勢で分担するほどぶれが生じやすい。極力それをなくそうとすれば、解答に条件を付し、機械的に採点するしかない。そうなると今度は、思考力や表現力を問う記述式の目的から遠ざかってしまう。

限られた人数であれば採点のぶれは生じにくく、出題、解答ともに制約は減る。記述式問題は各大学が個別の試験で課すのが本来だろう。実際、多くの大学が既にそうしている。あえて共通テストで出題する意味は見いだせない。

採点を請け負う業者は、試験の前に設問の内容や正答例を知らされるという。大量の人員を集め、アルバイトにも頼らざるを得ない態勢で、問題漏えいなどの不正を防げるのか。そのための手だても明確になっていない。

自己採点の難しさも指摘されている。試行テストの国語の記述式問題では、実際の採点と一致しない割合が3割に達した。自己採点に基づいて出願する大学を決める受験生への影響は大きい。

国語は、マーク式の問題とは別に記述式の3問を全体で5段階に評価する。その仕組み自体が分かりにくい上、各大学が成績をどう使うのかもはっきりしない。

大学の教員らが共通テストの延期を求める声明を出したほか、高校生たちが4万人を超す署名とともに文部科学省に中止を申し入れている。国会でも野党が導入中止の法案を共同で提出した。

文科省は再来年1月から共通テストを実施する方針を変えていない。国語の記述式問題の成績を2次試験の門前払いには使わないよう国公立大に求めるというが、根本的な不備に目をつむって押し切ろうとする姿勢は、受験生へのしわ寄せを招くだけだ。見送りの判断をためらってはならない。(11月16日)
信濃毎日新聞の社説やコラムは、2020年度大学入試制度改革において首尾一貫して否定的な姿勢を貫いてきました。過去の社説・コラムは以下をお読みください。

民間試験見送り 判断遅れた責任は重い(11月2日)
信濃毎日新聞コラム「斜面」(10月29日)
大学入試改革の混迷 見切り発車を止めねば(9月29日)
英語民間試験 導入を無理押しするな(8月28日)
英語民間試験 今ならまだ立ち止まれる(7月8日)

今日の社説にもあるように、記述式導入の問題点を簡潔にまとめると、以下の5点になります。

①採点の公平性の担保
②記述問題の意義の喪失
③自己採点の難しさ
④問題漏洩の危険性
⑤二段階選抜(=足切り、門前払い)での記述式部分の点数除外

何のための記述式なのか?もはや、そこに導入意義を見出すことはできません。無理なものは無理、良くないものは良くないのであって、単純明快なことです。

努力が確実に点数に反映され、それに見合った大学を受ける。努力したものだけが報われる因果応報の単純な仕組み。全身の共通一次を含めれば40年以上の時間をかけて磨かれてきたセンター試験を、簡単に変えることなどできないのです。


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