公立中高一貫校に通う長男(中1)が「歴史の授業で、東大の過去問をやった」と言うので、手元にある東大の赤本を調べてみました。
左は1998年に出題された東大の日本史、右は授業で配られたものです。遣明船に関するこの問題を解くには、応仁の乱がもたらした社会の変化と歴史上の意義を理解するのは当然のこととして、一般の公立中学では習わない寧波の乱まで理解していなければなりません。赤本による設問Bの模範解答は以下の通りです。
貿易開始当初は幕府船の派遣が頻繁であったが、朝貢形式を嫌った義持による中断の後、義教のときに復活し、また大寺社・大名船の参入が貿易の経済効果を大きくした。応仁の乱後は大内・細川両氏の競合に移行し、寧波の乱を機に大内氏が遣明船を独占した。
もちろん、この内容は授業で資料集等も使いながら解説と説明があったそうで、そっくりそのまま期末テストにも同じ問題が出題されたそうです。
「応仁の乱」が1467年に起こったことをを知っている中学生はほとんどでしょう。しかし、それが社会に与えた影響を説明できる生徒はほとんどおらず、「天下統一」は知っていても、それが何を意味するか、さらに「幕府」がそもそも何なのか説明できる中学生は少ないのです。
東大は難しい問題を出すように思いますが、実は基本的なことを掘り下げて本質を理解できているかが問われます。中学校の先生が副教材として東大の過去問を使った点は素晴らしいと思いました。
生徒のレベルに応じで指導者は、高い次元を意識しながら教える内容を工夫しなければならないし、それを授業でかみ砕いて論理的に教えることができなければなりません。
公立中高一貫校で学ぶ意義を垣間見たように思いました。これからもより深い学びの姿勢を追究してもらいたいと思います。