悲しいことがあっても、時は歩みを止めない。
気持ちのけじめはつけたつもりでも、そしてスケジュールはきちんとこなしてはいても、体の周りを喪失感が取り巻いているような毎日。
それでも一週間という日が過ぎて、今日は毎年恒例のだるま市。
前日から料理を用意して(今年は例年より手抜きだわ…)、長男一家と娘夫婦を迎えた。
「一緒に行こうよ!」と、長男一家が誘ってくれたけれど、私は今年は遠慮した。
まだ喪中の身で、晴れの行事に参加するのはどうにも憚られる。
「気分転換になると思うけど、そういう風に感じているなら好きにすればいいよ」と、息子。
ricoちゃんにお小遣いと、私の分のお賽銭を言付けた。
息子には、古いダルマさんを納めてもらい、新しいものを購入してもらうように頼む。
気分転換は孫娘2人の顔を見れば充分!
ricoちゃんは、「くうちゃんに」と言って、お手紙を書いてきてくれた。
誰からも言われなかったのに、くうの死んだ翌日に1人で一生懸命書いたのだそう。
くうちゃんコーナーにお供えしたけれど、留守中にそっと覗いてみる。
くうの姿を書いた画に加えて、「わすれないでね!」と書いてあり、思わず涙が出る。
愛されていたね、くうちゃん!
そして、まだ1歳2ヶ月にしかならないあ~ちゃんは、「死んだ」という事実は知らないし、理解もできない。
嫁さんによれば、部屋に入った瞬間から何とはなしにくうを探していたらしい。
しばらく遊んだあと、ひょいと上を見上げてくうの写真に気付き、「あ~~!」と指差して声を上げた。
あ~ちゃんは不思議な子で、本当に小さい頃からまったくくうを怖がらなかった。
ハイハイで追いかけていってシッポを捕まえたり、手に持っていた赤ちゃんセンベイの半分をくうにパクッと奪われても、残った半分を食べて嬉しそうにしていたり、3人の孫の中でも一番くうに親しみを持っていた。
小さい子があまり得意ではないくうも、あ~ちゃんだけは全く気にならないようで、部屋の隅で仲良く身を寄せ合ったり、おとなしく撫でられたりもしていた。
そんなあ~ちゃんだから、我が家に来てすぐくうの姿を捜してくれたのだろう。
抱き上げてくうの写真を見せると、喜んでくうに手を振ってくれる。
ほら、ここにもくうを愛してくれた人がいるよ!
毎年恒例の賑やかな家族行事なのに、いるはずの仔がいない!
でも、だれも君のことを忘れてはいないよ。
家族団らんの楽しいひとときだったけれど、やはりどこか寂しい…。
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