OT園通園日記

車椅子生活の母を老人ホームへ訪ねる日々。でもそればかりではいられない!日常のあれこれを書いています。

新しい靴

2011年09月14日 | 母のこと

母と外食に。

 

出かける前に一悶着。

カシミアのカーディガンを着込んでの外出は、とうてい無理。

説得するのに、一手間かかる。

外へ出ると、強い日射しと蒸し暑い空気。

「なんなのこれ! 眩しくて目が開かないわよ!」

ハイハイ、どうぞ好きなだけ目をつぶってて下さい。

 

「何が食べたい?」

「何でもいい、おいしもの」

「ちゃんと考えて!お魚がいいの?それともお肉?」

「お肉がいい」

 

ちっともちゃんと考えていないと思う。

何もかも、あなた任せの母。

いつも同じ問答を繰り返すだけのチョイス。

ま、お肉といわれれば…と、いつものフレンチレストランへ。

 

夏休みが終わって、久しぶりに食事でもという主婦が多いのだろうか、11時半に入店したというのに、もうほとんど満席。

なんとか最後の2テーブルのうちの1つに滑り込んだ。

賑やかな店内に、「みんなが楽しそうにお食事しているのっていいわねぇ~」とうれしそうだった母も、だんだん、「みんな声高にしゃべって、うるさいわね~」と変化していく。

でも、大きな声で、「うるさいわねぇ~!」と叫ばれるのも剣呑なので、あれこれ話題を探し的をそらすのに一苦労だった。

 

これで、「何が食べたいの?」と聞くと、たぶん「ステーキ」となるのだが、私は昼からステーキなんて食べたくない。

このお店は、ステーキは2人分がセットのメニューになっているので、母がステーキを頼むと自動的に私もステーキを食べなくてはいけないのだ。

なので、「ローストビーフがおいしそうよ」と、ちょっと誘導尋問。

「じゃあ、それ」(これで、私は軽いメニューが頼める!)

冷製のカッペリーニ、追加で注文したスープ、ローストビーフの温野菜添え、パン、デザート、コーヒーというけっこうヘビーなコースをきれいに平らげた。

とりあえず「食欲が旺盛というのは健康な証拠」と考えて、あれこれ文句は言うまい。

 

食後、いつものお持ち帰り菓子を買い物する前に、靴を買いに行った。

 

現在のOT園に入園して半年後くらいに、父の法事のために外出した。

その時、まさか上履きで外出というのもと、外出用の靴を購入した。

もちろんその頃は、歩く事なんて出来ると思ってもいなかった。

車椅子に座って、車椅子のまま乗れる介護タクシーを頼んでの外出。

靴はまあアクセサリーのようなものだった。

 

正直なことをいうと、この靴が母にとっての最後の靴になると思って買った靴である。

当時の母の体の状態を考えれば、こんなに元気に回復するなんて考えてもみなかった。

あの頃は、靴一足買うにも、感傷的になって涙が流れた。

 

退院から2年半ほどで、今のように歩けるようになった。

外出の度、靴を履き替えると、母は「この靴を履くと、まるでハイヒールは履いたみたいに感じるのよ~!」とはしゃぐ。

いつも判で押したように、同じ発言。

 

その靴が、さすがに傷んできたのだ。

考えてみれば、この7月で事故から7年の歳月が流れていたのだ。

傷んでしまっても、不思議はないだろう。

思いがけない幸運に恵まれた7年だったと、感謝である。

 

靴を選び(何足かを試着、そのたびに私が靴を履き替えさせるのがうれしいらしい。「悪いわね、ウフフ」と口では言うがちっともそんなこと思っちゃいません。とにかくべったり甘えていれば満足な母です)、お持ち帰りのお菓子(パイナップル、ポッキー、五家宝、海苔のおせんべいをチョイス)も買って、無事帰園。

いつもなら玄関まで送ってくるのだが、今日はお昼寝をしたいらしく、「じゃあね!」とベッドから手を振った。

 

 

 

 

 

 


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