グリーンビジネス振興の陥穽

従来のグリーンビジネス振興に関しては、クリーン財とダーティ財が経済学でいう代替財の関係にあり、クリーン財（たとえば電気自動車、太陽光発電）の需要拡大は、ダーティ財（たとえばガソリン車、石油・石炭火力発電）の需要減少になり、全体としての需要創造にはつながらないという視点が欠けているように思います。
　また、クリーン財はダーティ財よりも価格が高く、ダーティ財からクリーン財への転換が起こるような政策的フレームワーク（たとえば、ダーティ財への大幅な課税、あるいはクリーン財への思い切った補助）も不可欠です。
　この関係では、高速道路の料金引き下げや無料化の動きは、ガソリン車の利用を促進し、クリーン財である電気自動車の開発・普及を妨げる効果を有しています。このことは、政策的一貫性が必要なことを意味しています。
　従来のグリーンビジネス振興論には、以上のような経済学の基礎が欠けているというのが私の分析で、今後私としては、新しい観点からグリーンビジネス振興に取り組んでいく必要があると考えています。