ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

天満天神繫昌亭に行ってきました

2023年08月25日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は有給休暇をとって大阪は天満天神繁昌亭の昼席に行って来ました。天ぷらえびの屋でえび天丼をいただいて、少し時間があるので天神さんにお詣り。文筆上達をお祈りしました。
 午後1時になりました。桂九寿玉さんが一番太鼓を打ち始めました。入場します。さて、開口一番は桂りょうばさん。「ろくろ首」をやらはった。美人の新妻の首が伸びる噺ですが、こういう奇想な噺の時、演者が客に「ついてきてますか?」との問いかけをすることがあるが、あれは要りません。演者が客の理解度にまで気をつかう必要はないでしょう。判りましたか、りょうばさん。染太さんも。りょうばさん、やっぱり血はあらそえんもので、奥の方に父の枝雀師匠の面影がかいまみえます。
 2番手は露の瑞さん。元気いっぱいのかわいい女性噺家さんですが、夏に「時うどん」はそぐわないんじゃないですか。熱中症の心配をしながら熱いうどんを食う噺はいかがなものかと。どうしても真夏に「時うどん」をやりたいのなら創作落語「時うどん 夏バージョン」を創ってほしいですね。
 3番手は林家染太さんです。びりけんさんみたいです。まくらで新世界あたりで売ってるニセブランドもんの噺。ラコステのニセもんを持って来て見せてくれました。ラコステはワニのワンポイントなんですが、ニセもんはワニがひっくりかえってるのです。「ラコステ」じゃのうて「オコシテ」なんです。噺は創作落語「魁!学習塾」染太さん学習塾の先生をやってはったんですって。アホな生徒のアホの解答をフリップつきで披露してくれました。とんちんかんな答えだけれど、これが落語みたいでごっつい面白い。落語なんやけど。
 色もんの一発目は太神楽の豊来家大治郎さん。傘まわしやジャグリングのあとナイフを刺した輪を飛びぬけるという芸をやらはった。露の団姫さんのだんなさんです。
 次は笑福亭べ瓶さん。「東の旅発端」いかにも上方落語なにぎやかな噺をべ瓶さん、軽快に演じられて実に心地よく聞いてられました。この噺、前座噺なんですがうまい人が演じるとやっぱり違うんですね。べ瓶さん、張り扇、小拍子をリズミカルにつかって、上方落語はもとは大道芸だったということがよく判ります。上方落語の祖米沢彦八がやってたのはこんな落語ではないでしょうか。
 仲とりは桂勢朝さん。創作落語「永田町商店街懐メロ歌合戦」司会はイシバさん。お仲間がいません。キシダさん、コウノさん、アソウさん、それから外遊帰りのマツカワさんたちが次々と懐メロを歌います。みんな替え歌です。時事風刺ネタです。大爆笑です。ちょうどこのころ雷が鳴って繁昌亭の館内までゴロゴロと大きな音が。勢朝さん「うるさいな雷」といいつつも雷をネタにくすぐりを。プロの落語家さんは自然現象まで笑いのネタにするんですね。
 仲入り後の最初は桂あおばさん。「脱ぐんやったら着てこんかったらええんやけど」という羽織を脱ぐくすぐりは師匠のざこばさん譲りですが、やっぱり師匠の方が一日の長があります。
「たけのこ」をやらはった。上方落語には珍しい侍が出てくるはなしです。まくらで侍ネタの小噺を。「冬のことです。向こうから侍がやってきます。ずいぶんうす着です。『お侍さん。さむうないんですか』『さむない』」
 隣家の竹のタケノコが庭にでてます。それを取って食べます。家来のべくないに隣家に断りにいかせます。侍どおしの言い分がおかしいです。
 次は笑福亭岐代松さん。内弟子時代に松鶴師匠の家に朝丸時代のざこばさんが来たそうです。「うううう」指さしながらのざこばさんのおしゃべり。「ううううう」松鶴師匠も指をさしながらしゃべります。似ているようで違うんですって。ざこばさんは左手松鶴師匠は右手なんですって。
 運のつく噺をしましょうということで「ん廻し」をうやってくれました。
 トリ前の色もんは奇術です。松旭斎小天正さん。やった奇術はビール瓶が消えたりハンカチから鳩がでたりといった珍しくない奇術ですが。巧みな話術で笑わせられます。ネタばらしをしたりわざと失敗したりと楽しいコミック奇術でした。
 さてトリは桂文之助さん。「片棒」です。この噺米團治さんも得意としたはる噺です。三人の息子が親父の葬式をいかにばかばかしい葬式にするかがキモです。文之助さんは洒脱でスマートな「片棒」でした。
 楽しかったです。私は月に2回は生の上方落語に接しないと禁断症状がでます。今月は15日に喜楽館に行く予定で前売りチケットも買ってあったんですが台風で喜楽館は臨時休館になりました。禁断症状がでかけてたんですが。なんとか健康を保つことができました。