ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

露の都芸歴50周年記念ウィークに行ってきました

2024年04月06日 | 上方落語楽しんだで
 いまこの国の女性落語家は約60人。江戸で約40人上方で約20人。50年前は0でした。50年前小田眞理子という女子高生が露の五郎師匠に入門しました。その時この国の女性落語家が1人になったのです。それが露の都師匠。
 喜楽館の露の都芸歴50周年記念ウィークに行ってきました。
 開演前の一席は笑福亭喬路さん。ついさっきまでおもてで一番太鼓を打ってはった。ばくちの噺をしますということで「看板のぴん」松喬門下の噺家さんだけに端正な噺ぶりです。ただこの噺をするには若いですね。主人公は若いからいいです。若いのを手玉にとる老ばくち打ちのおやっさんの貫禄が足りません。
 開口一番は露の棗さん。自分はさる高貴なお方と似ているということだそうです。叱られるまでこの自己紹介を続けるとのこと。「動物園」をやらはった。前座噺の定番です。このたび王子動物園のパンダがお亡くなりになりました。近日に王子動物園に行ってパンダがおると1万円のアルバイトかもしれません。
 2番手は露の瑞さん。棗さんには失礼ですが、こういう並びで瑞さんが出てくると、瑞さん、ほっそりとした美人に見えます。演目は「ちりとてちん」です。たいへんな熱演の「とりとてちん」でした。とくに知ったかぶり男が長崎名物ちりとてちんを食うところは大爆笑です。
 3番手は桂文三さん。いつもにこにこ文三さんです。「四人ぐせ」です。こちらも文三さんならではのオーバーアクションの熱演です。鼻の下をこする。目をこする。着物のすそをひっぱる。こぶしで手のひらを打つ。この4人のくせをおもっきり誇張して演じはる。大爆笑です。
 さて、中トリです。笑福亭松喬師匠が「近江八景」をやらはった。松島の女郎に惚れた男が、これからの成り行きを易者に占ってもらう噺です。あまり聞かれない演目です。私の上方落語コレクションにもありません。松喬師匠らしく落ち着いて「聞かされました」
 仲入りです。男性の演者はここまでです。
 仲入り後の最初は旭堂小南陵さんの講談「露の都物語」今日の主任露の都師匠の一代記です。都師匠に取材したら「よう覚えてへんわ」ということだったそうですが、それでも思い出さはったそうです。
 さてトリ前の色もんは松旭斉天蝶さんです。25才だそうです。(=永遠の)天蝶さん「浮かれの蝶」という至芸をお持ちですが、このときは「宝箱」という手品です。いろんな色の布が次々でてくる実にカラフルな芸です。
 さて、華やかな芸人さん二人の色もんが終わったら、次はいよいよトリ。もちろん露の都師匠です。日本で初めての女性落語家です。落語という芸は日本だけなので都師匠は世界初というか人類で、というかオランウータンやゴリラは落語をしないので、露の都師匠は霊長類というか地球上のすべての生物で初めての女性落語家ということになりますね。私たち地球40億年の生命史に残る事態に遭遇してるわけです。すごいですね。
 初めてですからご苦労も多々あったそうです。私(雫石)、思うのですが、露の都さんもえらいですが、初めて女性の弟子を取った露の五郎師匠もえらかったと思います。都さんもいろいろいわれたそうですが、師匠の五郎師匠は、もっといろいろいわれたでしょう。
「子はかすがい」を聞かせてもらいました。桂福団治師匠や桂ざこば師匠も得意としてはる人情噺ですが、この時の都師匠の「子はかすがい」は福団治師匠やざこば師匠の「子はかすがい」とは違う都師匠ならではの噺でした。
 露の五郎兵衛門下の惣領弟子団丸さんは立花家千橘にならはったし、次男の露の慎吾さんは亡くなった。露のを名乗る落語家では都師匠が一番上です。五郎兵衛師匠は襲名しなくて一生使える高座名ということで都と名付けたそうですが、なんでしたら都師匠が三代目露の五郎兵衛を襲名してもいいと思います。上方落語では露の五郎兵衛は米沢彦八とならぶ大切な名前です。