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ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

喜楽館2月の昼席に行って来ました

2023年02月03日 | 上方落語楽しんだで
 喜楽館へ行って来ました。今週は笑福亭生寿さんの上方落語若手噺家グランプリ優勝お祝いウィークです。だから生寿さんが連日トリをつとめます。
 開演前の一席は桂雪鹿さん。インドで創作落語を執筆している桂文鹿師匠のお弟子さんです。こんな出番とは思えぬ落ち着いた噺家さんです。「煮売り屋」をやらはった。「東の旅」のプロローグ部分で、「七度狐」の前半部です。落ち着いた噺ぶりでした。
 開口一番は、「石段」の出囃子で高座にあがった桂弥っこさん。「真田小僧」です。親をゆすって小遣いをせびるガキの噺です。とんでもない悪ガキで、子供らしくないこまっしゃくれたガキですが、そこがかわいいのです。かわいい悪ガキをいかに表現するかがこの噺のポイントですが、弥っこさん。さすが吉朝一門吉弥師匠のお弟子さんです。なかなかの「真田小僧」でした。
 2番手は笑福亭たまさん。たまさんは私がいちおしの上方の噺家さんの一人です。こんなところの出番とはなんとも贅沢な番組構成です。ショート落語を何本かのあと「動物園」をやらはった。大学の落研がやるような前座噺ですが、たまさんがやると大爆笑です。それにしてもたまさんそろそろそれらしい名跡を襲名してもいいころだと思いますが、笑福亭の空名跡はなんでしょう。最大の名跡は八代目松鶴ですが、私はそれでもいいと思うんですが。現実的ではないでしょう。ネットで調べると笑福亭圓篤とか笑福亭梅香という名跡があるようです。そのたまさん、こんど笑福亭のあがりの噺ともいうべき「らくだ」をやらはるそうです。
 たまさんで想い出した噺家がおります。浪速の爆笑王と呼ばれた桂枝雀師匠です。枝雀師匠もSRとして落語のショートショートをやってはったし、たまさんの高座っぷりは、なんか枝雀師匠をほうふつとします。一門がまったく違うので不可能でしょうが、笑福亭たまさんが3代目桂枝雀になっても私は違和感はありません。
 色もんは音曲漫才のれ・みおぜらぶるずさんの二人です。アコーデオンとギターを持ってるが、ギターを持ってる方のリピート山中さんは「桂雀三郎と満腹ブラザース」のメンバーで大ヒットした「ヨーデル食べ放題」の作者です。この曲、JR環状線鶴橋駅にいけばいつでも聞けます。
 仲入り前の仲トリは桂文三師匠。丸顔でいつもニコニコの文三師匠です。「てんしき」をやらはった。寺かたのご住職がお腹を壊しはった。医者から「てんしき」はありましたかとたずねられる。「ちはやふる」や「つる」なんかと同じ知ったかぶりの噺です。お寺のご住職はインテリで物知り。みなから尊敬されるご仁。本人も知らんとはいえない。そんな噺ですが、たいへんおかしい噺です。
 仲入り後、幕が上がると赤もうせんを敷いた高座に3人がおりました。左から笑福亭たまさん、笑福亭生寿さん、桂文三さんの3人です。ここは撮影OKです。生寿さん優勝のお祝いの口上がたまさん、文三さんからありました。こういう場では本人はしゃべらないのが通例だそうですが、生寿さんもしゃべりはった。最後は文三さんの音頭で大阪しめで手じめ。
 トリ前は笑福亭松五さん。笑福亭松枝師匠のお弟子さんですが、まくらは入門当時のお話し。松五という芸名は「しょうし」のでしだから「しょうご」ですって。おめでたい噺ということで「松竹梅」です。おめでたい名前の3人、婚礼に呼ばれておめでたい芸をする噺です。
 さて今日のトリ。もちろん笑福亭生寿さんです。グランプリ本番の時は、不利だといわれている芝居噺で優勝したそうです。芝居噺がお得意なんです。で、この時演じたのも芝居噺です。でも「蛸芝居」「本能寺」「七段目」などのよく聞く噺ではなく「狐芝居」をやらはった。生寿さん、うまいです。つい聞きほれてしまいました。笑福亭生寿さん、これからますます大きな噺家に成長していくでしょう。ライバルの桂二葉さんと切磋琢磨して上方落語の未来を明るくすることを上方落語ファンとして期待します。
「てんしき」「松竹梅」「狐芝居」とあまり聞くことのない噺を聞けて大満足です。


喜楽館昼席に行ってきた

2022年12月07日 | 上方落語楽しんだで
 喜楽館昼席に行った。開演前の一席は桂八十助さん。お名前から桂八十八師匠のお弟子さんと思われる。「道具屋」をやらはった。入門して1年半とか。そのわりにはちゃんと落語になっていた。大学の落研かどこかでアマチュアで高座に上がってはったのではないやろか。
 開口一番は桂りょうばさん。爆笑王桂枝雀師匠の息子さん。じつは先月には芦屋ルナホールの「ざこば・南光・塩鯛3人会」にも行ったのですが、その時もりょうばさんが前座で出てはった。あの時はお茶子もりょうばさんが務めてはった。コロナで仕事がない時にタクシーに乗ったらタクシー車内テレビのCMが再就職のCMやったというマクラ。そのマクラと同じマクラをやらはった。演目は「子ほめ」お父さんとは違う噺家に育ちそうやな。
 二番手は笑福亭呂好さん。マクラは師匠に「らくだ」をやれと強要した話。6代目松鶴の至芸「らくだ」恐れ多くてできんという師匠にしつこくせまったとか。呂好さんなんならご自分でやったらどうやろか。やらはったのは「らくだ」やのうて「平林」四国の落語会で落語を知らん人にチャチャいれられてできなんだから、その続きをやります。と、いうんで「平林」を途中からやらはった。
 仲とりはオクラホマミキサーの出囃子で出てきはった会長笑福亭仁智師匠。仁智落語の大定番「源太と兄貴」この落語はなんぼでもネタが増やせられるな。マクラは例によって野球解説者のネタ。色もんのコントのあと仲入り。
 仲入り後の最初は桂文昇さん。坂本龍馬に似てるといわれたそうや。いろんな角度からご自分の顔を見せてはった。「猫の皿」をやらはった。この落語なまで聞くのは初めて。で、家に帰って調べて見るとワシのコレクションにある。三遊亭王楽の「猫の皿」やから江戸落語やな。上方落語でこの噺を聞くのは初めてやな。
 トリ前のもたれは笑福亭生寿さん。生寿さん、上方落語若手噺家グランプリは優勝されたそうやけど、NHKの新人落語大賞は桂二葉さんに僅差で負けた。なんか二葉さんにえらいライバル意識をもってはるようや。一度、生寿VS二葉という落語対決を喜楽館か繁昌亭でやってくれへんやろか。ワシは絶対聞きに行くで、応援高座はそれぞれの師匠、笑福亭生喬師匠と桂米二師匠に務めてもろたらええやん。勝負はもちろん客の笑い声。音量測定器で計ったらええやろ。「ちはやふる」をやらはったけど、さすがに面白かった。
 トリは桂春蝶さん。お父さんの2代目桂春蝶に勝っているかもと思わせるところがあった。ただ少し力が入りすぎ。洒脱なところは2代目に勉強すべき。
「死神」をこってりとやらはった。
 さて、落語で心を満たしたからお腹も満たさなあきません。新開地から三宮へ移動して、サンチカの酒房灘で夕食。関東煮いろいろで白鷹と龍力を一合づついただく。あと天ぷら定食。この店サンチカに古くからあって、神戸市民のワシもよう前を通るが入ったのは初めて。けっこううまかったで。



兵庫県立芸術文化センターに落語を聞きに行った

2022年11月13日 | 上方落語楽しんだで

 ワシのオフィシャル寄席は神戸・新開地・喜楽館、サブオフィシャル寄席は大阪・天満天神・繁昌亭やけど、たまには浮気して、ほかの所に落語を聞きに行くこともある。きのうは兵庫県立芸術文化センターの「秋の特選落語競演会」に行って来た。この会場はちょいちょい来るけど、ええ会場やな。阪急西宮北口のすぐ近く。雨の日も濡れずに行ける。近い、便利、きれいな会場や。
 さて、ワシが行ったんは夜席やから3時半開場4時開演やった。開口一番は石段のお囃子で高座に上がった桂慶治朗さん。桂米團治師匠の3番目のお弟子さん。「いらち俥」をやらはった。前座でこの噺をやるのは珍しい。たいてい、「つる」「動物園」「時うどん」なんかやらはるのやけど。この「いらち俥」最初ののんびり俥屋と次のいらち俥屋の演じ分けがキモやけど、慶治朗さんは無難に演じはった。
 さて2番手は桂二葉さん。若手噺家グランプリ準優勝、NHK新人落語大賞受賞と、いま一番のってる噺家さんやろう。マクラはまず例によって高い声で、上方落語界の白木みのるです。白木みのるさんは2年前になくなっていたのですね。二葉さんもそのことに触れて、白木さんも亡くなったし、そのうち白木みのるさんを知ってる人もだんだん・・・。笑いをとる。わしも「てなもんや三度笠」を子供ころに観たクチやけど、「だんだん・・・」の中に入ってきたかな。
「金明竹」をやらはった。後半の中橋の加賀屋佐吉の使いが難しい骨董の名前を一気にしゃべるのが難しい。ちょっとでもここでカムとこの噺はぶち壊しになる。二葉さんは実にスムースでなめらか。それに二葉さん自身もかわいいけど二葉さんのやる丁稚の定吉がかわいい。
 次は桂吉弥さん。阪急で来たんですって。マクラで西宮北口の駅を出て、ここに来る途中ようけの人がガラスにむかって踊ったはったな。大笑い。みなあの陸橋を渡ってここへ来たのやろ。西宮北口から芸術文化サンタ―に来る途中コナミスポーツクラブがあんねん。こっちにむかってようけの人が動かん自転車こいでハツカネズミのマネしたはった。なんか知らんけどご苦労なこった。電気おこしてはんのかな。
 演目は新作落語「ないしょばなし」声の大きな頭でモノを考えへん友人と病気の先輩の見舞いに行く噺。このおっさんなんで声が大きいかというと、騒音の大きな工場が職場。ワシの職場も大きな音やけど。で、その工場で二人の男が話すシーンで下座のお囃子がなかったけど、大きな騒音をお囃子で表現できひんかったんやろか。
 仲入り前は桂南光師匠。マクラは八百長の話し。日曜午後にやってる大喜利番組に出はった。あれアドリブでやってるようやけど、台本がありまんねんで。あれも八百長でんな。で「佐野山」八百長相撲の噺。もともと江戸落語で弱い力士佐野山に負けてやる横綱は谷風やけど、南光師匠は小野川に替えてやらはった。
 仲入り後の最初は桂ざこば師匠のはずやけど、めくりが「桂吉弥」となっとる。お茶子さんが間違えてんのかなと思ったら、吉弥さんが出はった。ざこば師匠楽屋にいてはんのやけど体調不良で高座にあがれる状態やないんやて。吉弥さん、以前もだれかがコロナに感染して来られへん、吉弥さんが代理で出たことがあった。「隣の桜」をやらはった。後半に派手に下座が大きな音でお囃子をやるにぎやかな落語。吉弥さん午前は喜楽館に出てはったとか。今日は一日で3席もお仕事。ご苦労さまです。
 さてトリは桂雀三郎師匠。「二番煎じ」です。二組の火の用心の夜回りが出てくる噺です。最初の組は、浄瑠璃や謡い、いろんなメロディーで「火の用心」を叫び、後半は番小屋でないしょで酒盛りをやり、そこをお役人に見つかってお役人に酒をようけ飲まれてしまう。「軒づけ」「寄合酒」「禁酒関所」と三つの落語はいっぺんに楽しめる一粒で三度おいしい落語です。
 あんまり聞かへん落語をようけ聞けて満足した落語会やった。

喜楽館の4周年記念特別公演

2022年07月14日 | 上方落語楽しんだで
 神戸新開地の喜楽館ができて4周年となります。で、4周年記念特別公演をやっております。これは喜楽館のタニマチの小生も行かねばなりません。午前中、会社で仕事をして午後より半日有給休暇を取って新開地へ行く。
 喜楽館に着きました。呼び込み太鼓が鳴らされています。入り口にメリケンさんが座ってはった。大阪の新世界の通天閣にビリケンさんがおるねんから、新開地の喜楽館にもなんぞおってもええやろ、とゆうことでできたのが、このメリケンさん。新世界がビリケンさんやから港町神戸はメリケン波止場にちなんでメリケンさんというわけ。デザインは桂あやめ師匠。ひざをなでると落語家の笑い声が聞こえます。なでました。桂文福師匠の大笑いが聞こえました。
 さて、開演前の一席は月亭希遊さん。「鷺とり」の鷺がでてこないバージョン、鷺の替りにガタロが出てくる噺をやらはった。ガタロ、河童のことやねんけど、大昔、川底をさらって金属くずなんかを回収して金にしてるおっさんをガタロとゆう。こんなん若い人は知らんやろ。
 開口一番は桂華紋さん。「牛ほめ」の半ば家の普請をほめるとこまで、台所の柱の節穴に秋葉さんのお札を張るとこまででした。
 2番手は笑福亭由瓶さん。「癪のあい薬」をやらはった。このときは林家染吉さんがこの噺をやらはったが、期せずして染丸一門と鶴瓶一門の「癪のあい薬」の聞き比べとなりました。甲乙つけがたいです。噺のうまさでは染吉さん、元気の良さでは由瓶さんですね。ハゲ頭をぺろぺろなめられるお侍のおかしさは両方おなじぐらいです。
 色もんは滑稽音曲の囃子座。クラリネット、太鼓鐘、バンジョーの3人組。いまや懐かしいチンドン屋さんです。ジャズのスタンダードナンバー「A列車で行こう」を演奏してくれました。
 仲入り前のモタレは林家染二さん。あのパワフル染二です。やった演目は「貧乏神」です。この噺、もとは小佐田定雄さんが桂枝雀師匠のために書いた噺ですが、今や古典となりいろんな噺家さんがやります。登場人物?(神)の貧乏神がなんとも哀れで悲しくそしておかしい名作です。枝雀師匠の貧乏神はなんともいえんペーソスがありましたが、パワフル染二さんの貧乏神は、元気な染二さんがやるから、哀しい仲にもたくましさが垣間見えて、なかなか味わいがある貧乏神でした。染二さんの貧乏神のファンになりました。
 さて仲入り後の最初は桂あやめさん。なんとも鮮やかな着物で高座に上がらはった。あいかわらず色っぽい。入り口にあるメリケンさんにまつわるマクラ。通天閣のビリケンさんが有名ですが、実は日本初のビリケン像は神戸にあるんですって。ここ喜楽館の近くの松尾稲荷神社にビリケンさんがいてはる。というマクラをしゃべっていると下座でチンと鐘がなった。「あ、吉弥さんがきはった」このあと出る桂吉弥さんが遅れているのであやめさんが時間かせぎしてはったんです。で、本編に。本編は「コンパ大作戦」あやめ落語の大定番です。
 で、遅れてた桂吉弥さん。なんでもJRの新快速が遅れてたんですって。小生もJRで通勤してるのですが、しょっちゅうダイヤが狂ってますね。なんか「電車とお客さまとの接触」が多いです。その吉弥さんが演じたのは「七段目」芝居噺です。う~む。さすがに米朝一門の芝居噺です。師匠の吉朝師匠によく似てきました。
 さてトリは笑福亭松喬師匠です。少し年をとらはった。マクラは博打の話。ぼんくら息子なんていう「ぼんくら」という言葉。もとは半丁賭博からきたんですって。「ぼん」半か丁かの盆の上が暗くて愚かなことからきてる言葉だそうです。
で、ばくち打ちが出てくる落語。「へっつい幽霊」です。主人公は博打うちののうてんの熊五郎。「らくだ」にも熊五郎が出てきますが、あちらはヤタケタでムチャもんですが、こちらの熊五郎はそれなりの筋の通った男。勘当されたアホぼんの面倒を見てます。その熊五郎、出てきた幽霊と博打をします。松喬師匠、泥棒の噺もうまいけど博打うちの噺もうまいです。
 落語を楽しんだあとはお食事です。三宮に移動して駅前のミント神戸に行きました。7階の台湾料理の京鼎楼に行きました。夏の台湾夜市コースをいただきました。小籠包がおいしゅうございました。点心がいろいろ出てきてたのしく満足しました。もちろん水分補給も怠りません。

喜楽館へ行った

2022年06月24日 | 上方落語楽しんだで
 半日有給休暇をとって喜楽館へ行く。この週の企画は「第7回若手噺家グランプリ桂小鯛優勝記念ウィーク」というもの。桂塩鯛一門の小鯛さんが上記のような栄誉を受けたのでその記念企画。この企画の番組構成は小鯛さん自身が行った。上方落語協会会長の笑福亭仁智師匠の他は米朝一門のエライさんが中トリをつとめた。この日は桂雀三郎師匠。中トリの一つ前は小鯛さんと同期入門の噺家さん。笑福亭生寿さんが出てはった。
 開演前の一席は桂弥壱さん。マクラなしで狸賽を無難にうやらはったけど、サゲの部分があかん。ぱっと壺を開けると、狸が天神さんのかっこで立っていた。というんやけど、一瞬しゃくを持った天神さんのかっこしただけで、すぐ下がってしもた。あれじゃサゲの面白さが半減する。もう少し時間をかけなくてはあかん。
 開口一番は笑福亭呂好さん。「女風呂の呂に好きと書く呂好です」というマクラを長い間使ってた。である落語会で名ビラに笑福亭呂女子と書かれてしもた。落語をよう知らんばあさんが来てて、「平林」をやったら、くだんのばあさんが大きな声で「本町のひらばやしさんやで」という。結局「平林」は途中であきらめ「動物園」をやらはったとか。で、きょうは、あの時の「平林」の続きをやります。と、ほんまに「平林」を途中からやらはった。
 2番手は桂佐ん吉さん。一週間ぶり。実は先週の金曜日、芦屋のルナホールの桂米團治独演会にも行ってた。その時米團治師匠の前座をつとめたのが佐ん吉さんやった。マクラは全く同じ。レクレーション介護士の資格を取ったはなし。あの時と同じで体操をやらされる。さすがに噺は違うモノをやらはった。一週間前は「鷺とり」やったが、この日は「稽古屋」「さかあせたり」が米團治さん同様けっこう色っぽい。
 色もんは暁あんこさんの足芸。あお向けにねころがって足でいろんなもんをまわす。
 中トリは冒頭でいったように桂雀三郎師匠。少し年を取らはった。夏の噺をします。ということで「青菜」をやらはった。「夏の医者」を期待したけど。師匠枝雀の夏の芸、頭に手をかざして「おひいさんが、カー」この芸を受け継ぐのんんは雀三郎師匠だけや。もちろん「青菜」もおもしろかったけど。
 仲入り後はトークショー。主役の小鯛さんを真ん中に、佐ん吉さんと雀三郎師匠。小鯛さん佐ん吉さんと雀三郎師匠に自分の師匠におこられた話を聞く。吉朝師匠は兄弟子の吉弥さんや吉坊さんがしかったら、吉朝師匠はしからない。雀三郎師匠は枝雀師匠におこられた記憶がない。おこらない師匠なんか、おこられない弟子やったんか、はたまたおこられたけど忘れたんか、ようわからんそうや。
 トリ前のモタレは笑福亭生寿さん。「悋気の独楽」をやらはったけど、だんさん、ごりょんさん、おてかけさん、女中のおたけどん、丁稚の定吉、人物の演じ分けがごっついうまかった。
 さて、トリはもちろん主役の小鯛さん。「マクラができるまで」という創作落語。コロナで仕事がのうなった噺家。いろんなアルバイトに行って、それをネタにマクラを作るという噺。面白かった。

喜楽館へ行ったで

2022年06月13日 | 上方落語楽しんだで
 昨日の昼食は天津飯。ちゃちゃと調理して、食べて、さっさと後かたづけして家を出る。ええ天気や。行先は新開地喜楽館。昼席を見に行った。ワシは喜楽館のタニマチやから電話で予約して席を確保してもらってた。開場まで少し時間があるので近くの喫茶店でレイコをいただく。タニマチの名刺で割引をしてもらう。
 時間や。喜楽館に入る。ほどなく笑福亭喬路さん開演前の一席。7代目松喬師匠の末っ子のお弟子さん。「犬の眼」をやらはった。がんばってください。
 開口一番は桂小梅さん。「平林」を元気にやらはったのはええけど、マクラで美術館ネタ。ご婦人が絵を見てる。「これは?」「ルノアールでございます」「ゴッホでございます」「これはピカソね」「いいえ鏡でございます」このくすぐりはもう古い。ピカソ=わけわからん絵という認識はさすがにもう古いやろ。もっとマニアックな画家なら面白いやろな。「これは」「岩佐又兵衛でございます」じゃホラーになるな。
 2番手は林家花丸さん。落語家は木戸銭払って客として同業者の落語を聞くことはご法度。だから他の趣味を持っている落語家が多いとのマクラ。花丸さんは「宝塚」年間60回も行ったことがおありだとか。「こんにちは」「お、こっち入り」をタカラヅカ調でやって笑いを取らはった。本編は子狸を助ける噺。あ、「狸賽」かなと思ったが、狸が化けたのはサイコロやのうて鯉。「狸の鯉」やった。ワシ、この噺をナマで聞いたのは初めて。
 さて次は、きょうのお目当ての一人。内海英華姐さん。この日の喜楽館は「文化庁芸術祭受賞者ウィーク」ちゅう企画やったけど、その受賞者が英華姐さん。姐さんの「女道楽」がお上にほめられたちゅうこってすな。おめでとうございます。内海英華姐さん。このあと出てくる笑福亭鶴二さんとラジオ番組をやってはるんですって。鶴二さんをいじるマクラ。あいかわらずの三味線の超絶技巧。少し年をめさはったけど、やっぱり色っぽい。
 仲入り前の仲トリはさっき英華姐さんにいじられた笑福亭鶴二さん。マクラで姐さんをいじり返す。とつぜん内海英華姐さん高座に乱入。大笑い。こういうハプニングは生の落語会ならではやな。
 鶴二さんは「竹の水仙」をやらはった。こういうボロボロのおっさんがじつはエライ先生というのはひとつのパターンやな。「抜け雀」がそうやし、「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」もそうやな。
 さて仲入り後の最初は笑福亭銀瓶さん。銀瓶さんはなかなかの文章家(落語家さんには筆が立つ人が多い)以前、銀瓶さんの自叙伝「師弟」を読んだけど面白かった。
 以前、繁昌亭である落語をやったとき、下げで寝転ぶんやけど、桂福車さんのアドバイスで、「どうせ幕が下りるんやから、寝ころんだままでええやん」とゆわれて、そのとおりしたら、楽屋におった桂ざこば師匠にえらいおこられた。ざこば師匠マジでおこったはったんか、しゃれったんか、さてどっちでっしゃろな。
きょうは、その落語をやります、と「書き割り盗人」をやって、ほんまに下げで寝転んだまま終わらはった。
 さて、トリ前は講談。旭堂南龍さん。「長門守由来」上方の講談は、「難波戦記」なんか大阪夏の陣冬の陣あたりを話題にする講談が多い。この講談もそれ。豊臣方の武将木村重成の官名は長門守。なぜ重成が長門守になったのか。
 さて、トリは桂文之助さん。大ネタ「らくだ」この噺、6代目笑福亭松鶴師匠の代名詞みたいやけど、文之助さんの大師匠桂米朝師匠もやらはった。文之助さんの「らくだ」はきっちり米朝師匠の「らくだ」やった。
 で、上方落語で心は満足、どこでお腹を満足させようか。ワシ一人やったらグリル一平で食うことが多いけど、この時は家人と二人。三宮のイタメシ屋に入った。オードブルとピザ、パスタ、パン、デザート、コーヒー。ピザがでっかかった。お腹いっぱいになった。あれであの値段やったら安いんやないの。


連休中に落語で充電

2022年05月06日 | 上方落語楽しんだで
 連休の中休みです。休日出勤の多い私もこの連休はそれなりに休めました。1日の日曜はSFのお友だちと飲み会をしておりました。ずいぶん久しぶりです。若いころは5次会までやってましたが、今は2次会までがせいいっぱいです。
 2日はお仕事。ごくろうさま。3日は芦屋市立美術博物館に行ってました。北原照久コレクション展です。私らの世代にとって懐かしいモノばかりです。こんど同人誌の仲間を誘ってもう一度行くつもりです。ブリキのミニカーを買ってきました。ほんとは「禁断の惑星」のロビー・ザ・ロボットが欲しかったのですが。売ってませんでした。
 4日目は四天王寺の古本市をのぞきに行きました。私、落語の「天王寺詣り」ではおなじみですが、リアルに四天王寺に行くのは初めてです。亀の池と五重の塔を見ました。五重の塔のてっぺんにはサギ獲りのおっさんはおらんかったです。古本市の収穫はハミルトンのキャプテン・フューチャー「時のロストワールド」と白土三平「サスケ」全15巻です。ハヤカワの銀背は少なかったです。あってもミステリーばかりでSFは皆無でした。けっこう規模の大きな古本市でしたが、私らSFもんにとっては貧しい古本市でした。大阪の古書店店主はもっとSFを勉強するように。帰りしな、繁昌亭に寄って前売り券を買いました。
 さて、きのう5日は午後にはい出て新開地に向かいました。行先はもちろん喜楽館です。夜席です。この日のトリは桂南光師匠です。南光師匠を喜楽館で見るのは初めてです。
 桂南光師匠は上方落語協会員ではありません。だから繁昌亭や喜楽館の昼席に出はることはありません。夜席は貸席なので協会員以外でも公演できるのです。なぜ私が上方落語協会員ではないのかは、長くなるのでここではいいません。と、南光師匠はいってはったけど、私はだいたい想像できますが、ここでは書きません。南光師匠、上方落語協会員ではありませんが、上方の落語家さんとの交流はあって、他の一門の落語家さんの襲名披露で米朝事務所を代表して口上を述べてはる。
 さて、開口一番は桂弥っこさん。吉弥さんのお弟子さんです。マクラは出身地の島根ネタ。島根人口少なし。過疎地。鳥取との区別つかん。島根県人の自虐ネタのマクラです。私にも古い友人に島根県人がおりましたが、弥っこさんがいうほどのことはないでしょう。
 やらはった演目は「んまわし」「ん」という数だけ田楽がもらえるという落語です。後半に「ん」のつく言葉を長くスムースにいえるかがポイントです。弥っこさん、そこは合格ですが、噺が少し平板でした。
 2番手は桂そうばさん。大学進学前に浪人してはったんですって。その予備校時代の6浪した先輩の話がマクラ。その先輩お寺の息子だが医学部志望ですって。その先輩が結婚するから披露宴でスピーチを頼まれたんですって。先輩、医者になったか坊主になったか?
「餅屋問答」をやらはった。先日ロバート・デ・ニーロの「俺たちは天使じゃない」で私、この噺を引き合いにだしたばかりだったので、少しびっくりしました。
 仲入り後のトリ前は林家染吉さん。「癪の相薬」です。この噺お侍の演じ方が大切です。謹厳なお侍が、お腹をかかえて苦しむごりょんさんに、ハゲ頭をなめさせる。このお侍いい人なんですね。謹厳でいい人のお侍。このあたりの演じ方さすが染吉さんでした。
 トリはもちろん南光師匠。こないだ日曜の夕方にやってる大喜利番組に出はったそうです。ま、「笑点」ですな。で、南光師匠、ここだけの話でよそでいわんように、というて「わたし、あの番組大嫌いですねん」円楽さんに頼まれてしかたなく出たんですって。あれ、あそこに並んでる江戸落語家が当意即妙の受け答えするのんが売りやけど。「ほんまは、そんなんちゃいまんねんで」アドリブでやってないんですって。8人ほどの放送作家が頭をしぼって問いと答えの台本を書いて、何度もリハーサルをやってるんですって。私(雫石)もあんなもんは観ません。日曜の午後なんにもすることがなくて退屈してるときに観ることがあります。入院中に少し観てました。
 南光師匠は「胴乱の幸助」をやらはった。ケンカの仲裁が趣味のおっさんの噺です。どんなケンカでも中に入って仲直りさせます。犬のケンカも仲裁します。ケンカが大きければ大きいほど喜びます。いま、みんなが一番心配しているでかいケンカといえば、ウクライナとロシアのケンカです。トルコの大統領やイスラエルの首相、国連の事務総長が仲裁しようとしてますが、かような小者ではダメです。ここはひとつ胴乱の幸助のおやっさんに出張ってもらいましょう。と、思うのですが、南光師匠はウクライナVSロシアのケンカには言及されなかった。浄瑠璃の「お半長」帯屋長右エ門のとこの嫁姑のもめごとに胴乱の幸助が首をつっこむオーソドックスな噺でした。
 楽しい落語会でした。これで元気100パーセント充電OK。明日からまた元気に働きます。

繫昌亭の笑福亭たま第16回繁昌亭大賞受賞記念ウィークに行く

2022年04月30日 | 上方落語楽しんだで

 午前中会社で仕事して神戸から大阪へ移動する。天満天神繁盛亭に行く。神戸のイナカもんが大阪に久しぶりに来ると人の多さにとまどう。JR東西線の大阪天満宮で降りて、天神橋筋商店街に出る。すぐそこの天ぷら屋えびのやに入る。小生は繁昌亭のときはこのえびのや、神戸新開地喜楽館の時はグリル一平で食事をすることが多い。1時半の開場まで少し時間がある。小生は座る場所さえあれば時間がつぶせる。本を読むからだ。繁昌亭の時は天満宮の休憩所で喜楽館の時は湊川公園のベンチで本を読んでいる。
 時間が来た。広瀬正の「マイナス・ゼロ」を閉じて繁昌亭に入る。今週は「笑福亭たま第16回繁昌亭大賞受賞記念ウィーク」ということで、たまさんがずっとトリを務める。笑福亭たまさんは小生は買ってる上方の落語家さんの一人。
 開口一番は月亭希遊さん。少しおかしな噺をしますということで「犬の目」無難にまとめてはったけど、もう少し「石段」で登壇する必要がありそう。
 2番手は桂佐ん吉さん。やったのは「時うどん」。吉朝門下らしく「ひっぱりな」がない「時うどん」この「時うどん」落語会に行くと聞くことが多い。落語会は演者がなにをやるかは高座に上がって決める。この「時うどん」は何をやろか悩んだら「時うどん」をするんではないのか。佐ん吉さんクラスの噺家さんなら別の噺をしてほしかったな。
 3番手は笑福亭の中堅笑福亭游喬さん。少し変わった噺をしましょうということで「尻餅」をやった。こないだの喜楽館では桂吉弥さんがこの噺をやった。きせずして米朝一門と笑福亭の「尻餅」の聞き比べとなったが。吉弥さんが技の「尻餅」に対して遊喬さんはパワーの「尻餅」だ。
 モタレ前の色もんは豊来家玉之助さんの大神楽。伝統的な和風曲芸だが、こういう色もんは曲芸の技は出来て当たり前で、その技と同じぐらい大切なのは話術。だまって傘の上で玉を回しているだけでは間がもたん。技と技の間をつなぐ話術が場をつなぐ。玉之助さんの話術は楽しかった。
 仲入り前は桂米紫さん。「宗論」をやらはった。大爆笑や。老舗の仏壇屋の若旦那が熱心なカソリック信者になる。浄土真宗の大旦那と宗教論争を繰り広げる。イエス・キリストVS阿弥陀さん。ずっとハイテンションで、全編大笑いの爆笑落語となった。しかし、この米紫さん、塩鯛師匠のお弟子さんで、桂都んぼといったたころとは比べもんにならんぐらいに大爆笑噺家に成長した。
 さて、仲入り。仲入りの時はトイレにいくのやが、ワシは繁昌亭のトイレは混むので、いつもは外に出て天満宮のトイレに行くのやが、この時は雨が降ってたから並んで繁昌亭にトイレに行った。
 仲入り後は記念口上。米紫さんが司会で、たまさん、遊喬さん、桂三象さんがならんどる。普通は高座を撮影するのはあかんけど、口上だけは撮影OKというこやった。遊喬さん、いきなり矢沢栄吉の歌を歌いだす。たまさん、いつになく真面目。ま、ワシも襲名披露さんか、なんどか落語家の口上を聞いてきたけど、たいてい対象者をイジるもんやが、この時も遊喬さんがたまさんをイジってた。そこでたまさんもそろそろ別のそれらしい名前にしたらどや、いってたがワシも賛成や。いっそのこと8代目松鶴になったらええんちゃうん。仁鶴もいのなったことやし。
 トリ前は桂三象さん。6代文枝一門やけど地味な噺家さんや。あまり見かけない。派手さはないけど、けっこう味のある落語家さんやな。代理で墓参りをやる商売の男の噺「代参」をやった。最後のオチは「骨つり」のオチといっしょの噺やな。
 さて、トリはもちろん笑福亭たまさん。マクラはSR=ショート落語。ワシら古い上方落語ファンはSRというと枝雀師匠のを想い出すけど、たまさんのSRは枝雀師匠とは味わいが違っておもしろい。「猫の忠信」をやったのやけど、おもろなかったら「寿限無」に替えるでということやったけど、「猫の忠信」を最後までやらはった。もちろん、大爆笑。この不思議なSFっぽさがある噺をみごとたま落語にしあげてた。たまさんの「寿限無」も聞きたかったな。
 大笑いして繁昌亭を出ると雨はやんでいた。





喜楽館の元気寄席に行ってきました

2022年04月10日 | 上方落語楽しんだで
 先週の金曜日、喜楽館へ行ってきました。夜席です。定時まで会社におって、夕方の新開地へ出かけます。私は高校は湊川だったので、大昔のこの辺りのことは知っております。組のひとたちがずいぶんおられました。組といって、年中さん組や年長さん組ではありません。新開地もずいぶん変わりました。深窓のご令嬢が執事を連れずに、一人でお歩きになっても安心です。
 グリル一平で夕食を食べて、喜楽館にむかいます。といってもすぐそこですが。入場する前に5月の南光さんの会の前売り券を買いました。
 さて、入場します。今回は自由席です。通路側の席に座りました。開口一番は石段のお囃子で桂小留さんがお出ましになられました。小留さん、桂小枝さんのお弟子さんです。お師匠さんは探偵で不動産屋さんですが、小留さんは噺家さんんです。お師匠さんは粘着なおしゃべりですが、お弟子さんはオーソドックスなおしゃべりです。「大安売り」をやらはりました。とっても弱いお相撲さんの噺です。まったく勝てず、いろんな負け方をして楽しませてくれます、今年の阪神タイガースみたいなお相撲さんです。
 2番手は桂三四郎さん。高校は地元神戸の長田区の高校だったそうです。長田の高校といっても長田高校ではなく、その近くのIE高校ですって。今は共学ですが、三四郎さんが高校生のころは男子校で、なかなかコワイ高校だったそうです。毎日、だれかがだれかをどついてたんだそうです。
 福原はこの喜楽館の近くです。男が一人で福原に行ってきたといえば、このあたりでは、おかしな目で見られます。なぜでしょうね。その福原がらみで源平の噺です。福原は平清盛公が日本の首都にしたのです。(源氏の小せがれが余計なことをしなければ神戸は日本の首都だったんです
 源平の戦いのころのお噺です。「扇の要」屋島の合戦のおりの那須与一の逸話です。与一は扇の要を見事打ちぬいたのはご承知のとおりです。
 仲入り前のモタレは桂吉弥さん。予定では桂よね吉さんだったのですが、よね吉さん、コロナ陽性だそうで、吉弥さんは代打です。季節はずれですが、ということで師走のお噺です。「尻餅」です。お金がなくて餅がつけない男。でも、近所への見栄で餅つきの音だけでも立てたい。で、女房の尻を叩いてぺったんぺったん音を立てるのです。おかしくて少しセクシーな噺です。この噺、6代目笑福亭松鶴師匠が得意としてはった噺。それを先代の松喬師匠が受け継いで、桂米左さんが先代松喬さんに教わって、吉弥さんは米左さんに教えてもらったそうです。笑福亭から米朝一門のメインストリーを伝わった噺です。
 仲入り後。トリは桂八十八さんです。師匠米朝の俳名を受け継いで半年です。30年以上宗助だったので、まだ八十八はピンとこないそうです。八十八さんのお母さんは宗助をいう名前がたいそうお気に入りで、家では今も宗助さんでおるそうです。演じたのは「骨つり」です。先の男の釣った骨は若い美女。後の男が釣った骨はむくつけき大男。この対比が面白いです。
 この落語会は「元気寄席」といいます。このところ少し元気でない状態だったので、落語のおかげで元気になりました。

喜楽館に行ってきました

2022年03月22日 | 上方落語楽しんだで
 3回目のワクチン接種もすませましたし、まん延防止措置も解除されたことだし、昨日は久しぶりに喜楽館に行ってきました。
午前中はお仕事。会社も喜楽館も同じ兵庫区なので30分ほどで行きます。グリル一平で昼食をしようと思ったのですが、待っている人がいるので吉野家で牛丼を食べました。芸のないことです。
喜楽館に入ります。私は喜楽館のタニマチなので席は取り置いてくれます。さて、開演前の開口一番は桂弥壱さんです。「時うどん」をやらはった。吉朝一門らしく「ひっぱりな」がない「時うどん」です。弥壱さん、こんな早い出番の若手の落語家さんですが、ちゃんとした噺ぶりでした。若い落語家さんはたいてい噺に「間」がなく一本調子になるのですが、弥壱さんはそれがなかったです。
一番手は露の新幸さんです。「狼講釈」です。なかなか元気な噺ぶりで好感が持てました。この噺の一番の聞かせどころは主人公の文無し男が、狼に囲まれて必死で講釈をやるシーンです。「難波戦記」からはじまり、忠臣蔵やら森の石松、国定忠治なんだかんだと一気にむちゃくちゃな講釈をやらなければなりません。うまかったです。この噺、新幸さんの師匠露の新治師匠が得意とする噺ですが、さすが師匠ゆずりです。
二番手は林家染太さん。マクラはいろいろやったアルバイトの話し。Mドナルドとか塾の先生とか。染太さん教員免許をお持ちだそうです。創作落語をやらはった。マクラから本編にはいり、塾の先生とできの良くない生徒の会話。大きなスケッチボードを使った噺で大笑いさせられました。
三番手は笑福亭瓶二さん。マクラはよめさんの話し。このコロナ禍で仕事のない日が多く、瓶二さんもお内儀と接する機会が多くなったとのこと。瓶二さんのお内儀はネタの宝庫だそうです。いくつか披露していただきました。演目は「短命」です。大店の娘さん。えらいべっぴんですが、来たムコさんがすぐ死んでしまいます。これまで何人ものムコさんが死にます。頑丈で絶対死なないようなムコさんもすぐ死にました。なんでや。「手と手があう。布団がしいてある。二人っきり。目の前はふるいつきたくなる美人」「な、わかるやろ」これが判りません。セクシーさを奥に秘めた、バレはなし落語の傑作だと思います。瓶二さん、実にうまく演じてました。死なないのなら、男ならだれでもこういう境遇になってみたいもんです。
仲入りまえは桂団朝さん。団朝さんとしては珍しく人情噺です。兄弟子ざこば師匠が得意としてはる「子はかすがい」です。団朝さんらしく元気いっぱいテンションの高い「子はかすがい」でした。
仲入り後のシバリは桂一蝶さんです。「八五郎坊主」です。主人公の八五郎の頭を丸め法名を授けるずくねん寺の和尚さんが、誇張したおしゃべりで、ものすごくおかしかったです。
 トリ前の色もんは姉様キングスの音曲漫才です。桂あやめさんと林家染雀さんの漫才です。あほだら経をやらはったのですが、あやめさんが持ってる楽器がバラライカです。あやめさん「これ、今、おおっぴらにはいえまへんけど、ロシアの楽器ですねん。でも着てる着物が黄色と青でっしゃろ」あやめさんは青の着物染雀さんは黄色の着物でした。ウクライナの国旗の色です。
喜楽館では終演後その日の出演者が出口で見送ってくれる時があります。実は私(雫石)開演前に受付で喜楽館の第3期タニマチの申し込みをして「あやめの酒」をもらってました。あやめさんにサインしてもらおうと楽しみにしてました。
 さて、トリは桂文之助さん。「天狗裁き」です。大師匠の米朝師匠のと比べるのはなんですが、お奉行はいいのですが、天狗さんが少し軽い「天狗裁き」となりました。もちろん文之助さんですから、面白い「天狗裁き」でした。
 さて、終わりました。あやめさんにサインを頼もうとしましたが、あやめさんは出てはりませんでした。残念。
 家に帰って、「あやめの酒」を開け。サワラの木の芽焼きで一献傾けながら、きょうの落語の楽しさを思い出してました。    
 

秋の特選落語競演会に行って来ました

2021年11月24日 | 上方落語楽しんだで

 昨日11月23日は勤労感謝の日で祝日です。午前中会社へ行って、少しだけ勤労して、勤労できることを感謝しました。午後は2時ごろ家よりはい出て西宮北口方面へ。県立芸術文化センターであった「秋の特選落語競演会」へ行ってきました。私は月に一度は生の上方落語に接しないと禁断症状で出て苦しみます。
 会場の中ホールへ入ると、ぎっしり満員です。落語会でこんな満員はずいぶん久しぶりです。
 開口一番は石段のお囃子で高座に出はった桂弥壱さん。桂吉弥師匠の3番目のお弟子さんです。喜楽館では開口一番の前に若手が出て開口ゼロ番といいます。弥壱さん先日喜楽館で開口ゼロ番をつとめた時お客が二人だったそうです。私は喜楽館のタニマチとして心配です。「たぬさい」をやらはった。無難に演じはったけど、狸がサイコロに最初に化けた時「うわ、大きいな一尺四寸もあるサイコロはないで」こんなことゆうても、今の人はどれぐらいか判りません。手で大きさを表現するか、約40cmと判るように変える工夫が必要でしょう。
 2番手は桂鯛蔵さん。「お玉牛」を元気いっぱいで演じられました。この噺、村の小町娘お玉のべっぴんさをいかに表現するかがポイントですが、鯛蔵さんのお玉ちゃんは、そのあたりが少し不足しているように感じました。
 3番手は弥壱さんの師匠。桂吉弥師匠。ここで気がついたのですが、見台を出したり座布団をひっくり返したり名ビラをめくっているのは弥壱さんです。江戸の寄席は知りませんが、関西の寄席、繁昌亭や喜楽館では女性がお茶子をつとめます。今はもうありませんが、恋雅亭元町寄席では神戸大学落語研究会の女子部員がお茶子をやってはった。ここの中ホールは正式名称は「阪急中ホール」といいます。だったら系列にべっぴんの大きな供給源があるじゃないですか。タカラヅカの生徒さんをひっぱってこれないでしょうか。
 吉弥師匠は若いころ米朝師匠宅の飲み会に参加したそうです。吉弥さんのような若いもんはなかなかお酒にありつけません。そのかわりざこば師匠や枝雀師匠が酔っぱらうのをよく観察して、よっぱいとはどんなモノか研究にいそしんでいたんですって。これからその研究成果をご覧にいれます。と、「親子酒」をやらはった。なるほど、研究成果は充分に生かされております。
 さて、仲トリは桂南光師匠。「抜け雀」です。前半に出てくる若い方の絵かきは、ボロボロの服装で出てくるのですが、黒の羽織がはげてきたない。黒の羽織は最初紅色に染めてその上から黒く染めます。黒がはえるんですな。この若い絵かきが着てる羽織は黒がはげて紅が出ている。南光師匠、この羽織の様子を表現する方法を考えたんですって。「ものすごく汚れた阪急電車」大うけでした。このホールが阪急沿線だからでしょう。阪神沿線でやっても受けないでしょう。
この噺、舞台が小田原なんです。上方落語なのになんで関東の小田原?疑問に思った南光師匠、なんでも知ってる米朝師匠に聞いたことがあったそうです。米朝師匠、眉間にしわを寄せて、う~んとうなって「ワシも知らんことがある」だれも判らんでしょう。
 この噺のオチは本来は、すずめの鳥かごを描いて「親にかごをかかせた」というのですが、南光師匠は、止まり木に天狗が住むという鞍馬山の杉の木を書いて「天狗になるなといういましめ」というふうに判りやすく変えておられます。
 仲入り後のモタレは月亭八方師匠。ここは桂ざこば師匠の予定だったんですが、ざこば師匠ぜんそくでせきがひどく休演、八方師匠が代演です。ざこば師匠、どうかお大事に。八方師匠はエコをテーマにした新作でした。さすがに、まくらでタイガースのことをちょっとだけ触れておられた。
 さて、トリは御曹司桂米團治師匠。明治時代のお噺ということで「胴乱の幸助」です。大笑いさせてもらいました。

喜楽館に行ってきました

2021年10月14日 | 上方落語楽しんだで
 昨日は半日有給休暇をとって、久しぶりに喜楽館に行ってきました。午前中、お仕事。昼食を会社で食べてからゆっくりと出ても、新開地の喜楽館には余裕で間に合います、
 私は喜楽館のタニマチなので電話で予約しておけばチケットは取り置いてくれます。当日券2800円が2000円になります。
 入場しました。私の席はC列でした。A列とB列は感染症対策で使用されません。私は最前列です。手が届きそうな席です。演者さんとたびたび目があいました。お客の入りは、後ろを見ると前5列ぐらいまででした。一人おきですから20人ぐらいの入りでしょうか。平日の昼席ですが、それにしても少ないです。運営の大変さがしのばれます。上方落語を愛する心ある人はタニマチ
になりましょう。
 さて開演前は桂雪鹿さんです。この落語家さんは初めてです。桂文鹿師匠のお弟子さんですね。桂文福師匠の孫弟子さんです。きっちりと楷書の落語を演じられました。「子ほめ」を演じられました。
 さて開演です。開口一番は森乃阿久太さんです。この人も私は初めてです。若手の立場で、石段の出囃子ででてきましたから、若手だと思いますが、中堅ベテランの風情の落語家さんです。噺ぶりも落ち着いていて安心して聞けます。演目は旅ネタの「兵庫船」です。オチで出てくるかまぼこ屋のオヤジはなかなかの迫力でした。
 二番手は桂小鯛さん。お名前からわかるように桂塩鯛師匠のお弟子さんです。「時うどん」です。この噺をやるにはまだまだ気温が暑いですね。「ひっぱりな」があるバージョンの「時うどん」です。小鯛さんの師匠の師匠は桂ざこば師匠ですから、米朝一門です。米朝一門の「時うどん」には2種類あって、桂吉朝一門の「時うどん」は「ひっぱりな」がありません。
 さて、今日の色もんは内海英華姐さん。少し年を取られましたがその色香はまったくおとろえておられません。あいかわらず色っぽいです。女道楽です。三味線とおしゃべり。こんな芸は日本で英華姐さん一人だけです。世界でも一人です。
「世界で一人の女道楽内海英華です」と自己紹介。都都逸などのあと最後は三味線の曲ひき。見事なもんです。手が届きそうな所の英華姐さん。お色気の直撃をくらいました。
 仲とりは林家染二さんです。「皿屋敷」をやらはった。パワフル染二です。染二さんの噺はいつもパワフルです。それが、C列というものすごい前で聞くとたいへん。噺が物理的な衝撃となってぶち当たります。英華姐さんのお色気でくらくらパワフル染二の迫力でガンガン。もう、たいへん。
 仲入りでひと息ついたあとは森乃福郎師匠。今の福郎師匠は2代目。私が子供のころよく見た森乃福郎師匠は初代です。なかなか男までいい男の落語家さんでした。今の福郎師匠は洒脱な感じのベテランです。やらはった噺は「鶴飛脚」私は初めて聞く話です。この噺、新作です。作者は田中啓文さん。田中さんは落語にも造詣が深く、月亭文都さんと「ハナシをノベル」というイベントをやってはった。だから文都さんがこの噺をやるのなら判りますが、森乃福郎師匠がやらはったのは意外でした。
 さてトリ前は桂あさ吉さん。まくらで、最初米朝師匠に入門志望して「ワシはもう弟子は取らんのや」断られ、吉朝師匠に入門した経緯など、長いまくら。「トリ前の私の仕事は時間調整」トリはだいたい大きめの噺をやるから時間はだいだい判ります。寄席では誰がどんな噺をやるかは決まってません。前の演者が何をやったか、客の様子などを考えて、いまからどんな噺を高座にかけるのかを決めるのです。ですから演者によって高座の時間に長短がでます。でも最後の時間をだいたいは決めなくてはなりません。お客さんのこれからの都合もあるでしょう。あさ吉さんは自由に長短が調整できるまくらで時間調整をしてはったんですね。やらはったの短めの噺「味噌豆」です。
 さて、本日のトリ。笑福亭松枝師匠です。松枝師匠はいつもまくらで、「せっかくですから、みなさん、ウチに遊びに来てください」と、具体的な住所と電話番号をいわはる。これが本物かどうか判りません。ただ松枝師匠はいつもまくらでいわはるから実害はないのでしょう。やらはったのは大ネタ「宿屋仇」です。


喜楽館名人寄席

2021年09月16日 | 上方落語楽しんだで
 長年の上方落語ファンのワシは月に一度は生の落語を聞かないと禁断症状が出る。と、ここでふと気がついた。落語は「聞く」でいいんだろうか?落語家は高座でしゃべるだけではなく、所作でも噺を表現する。というと、落語を「見る」でええんやろか。それでも片手落ちのような気がする。「聞く」「見る」をひと言で表現する言葉はないんやろか。
 以前は月に一度、「もとまち寄席恋雅亭」があったが、のうなった。それから、この新型コロナ騒動。ワシもワクチン接種の2回目もすんだし、禁断症状もだいぶん重症になったので、12日の日曜日、ごっつい久しぶりに生の落語を「聞きに」「見に」行ったというわけ。
「喜楽館 名人寄席」という落語会。会場はハーバーランドの松方ホール。「喜楽館 名人寄席」なのに、なぜ喜楽館ではなく松方ホールなのか?これひとつのふしぎ。
 さて、トップバッター林家染八さん。東の旅シリーズの「軽業」例の「いっけんのおおいたち」が出てくるやつ。まくらで染八さん、江戸落語と上方落語の違いを解説。江戸落語はお座敷芸、屋内でやる芸。上方落語は大道芸、野外でやる芸。道を行きかう人の足を止めるため、見台を置いて小拍子をカチカチならし、鳴り物を鳴らしてにぎやかに演じる。と、いうことで、今日ははめ
ものがようけ入る噺をやります。ちゅうことで「軽業」良いネタ選びやった。
 2番手は桂あおばさん。「脱ぐんやったら、初めから着てこんかったらええのにな」といいつつ羽織を脱ぐ。これはあおばさんの師匠桂ざこば師匠の常套句。師匠直伝のつかみである。まくらは大阪の西成ネタ。西成ではなんでも路上で売ってるそうな。本も売っている。まともな本ではない。
「釜なしで飯を炊く方法」「電気を使わず明かりを持つ方法」「若い女の子にキャーキャーいわれる方法」なんてことが書いてある。そう、あおばさんは「秘伝書」をやらはった。
 3番手は桂三ノ助さん。創作落語の大家桂文枝師匠のお弟子さん。三ノ助さんは、文枝師匠が三枝時代に創らはった創作落語「鯛」でご機嫌をうかがいはった。
この噺には人間は出て来まへん。登場人物(魚)はすべて鯛です。いけすの中で網ですくわれるの待って、すくわれたら活造りにされる。鯛にとってはずいぶん残酷な噺やが、残酷さを感じさせないように演じるのがだいじ。これは魚や人間やないと客に思わせなあかん。その点は三ノ助さんは合格やった。
 さて中トリは笑福亭松喬師匠。西宮生まれの松喬師匠は、阪神ファンやのうて阪急ファンにならはった。いまは亡き阪急ブレーブスやな。そやから今はオリックスバッファローズやそうです。と、いうことでまくらでオリックスを中心にパリーグ愛をたっぷり。松喬師匠の演目は「二人くせ」でした。
 中入りとなりました。ここ松方ホールは4階。広いベランダに出れます。場所がハーバーランドですから、港と造船所が見えて気持ちがええ。川崎の造船所でしょう。大きなガントリークレーンが並んでます。ワシは造船所には造詣が深いんや。お鉄ちゅうのんがおるけど、ワシはお船や。造船所マニヤやで。
 中入り後の最初は、5代目文枝一門の実力派桂かい枝さん。まずは夫婦ケンカのまくらから。夫婦がケンカして始まる噺。「天狗裁き」やろかと思うたら違った。「堪忍袋」やった。おとなしげなお嫁さんが堪忍袋を借りに来る。なんの不足もないやろと思う幸せそうなお嫁さん。堪忍袋を開けて「死ねえ。くそばばあ」大爆笑です。
 さて、トリ前は笑福亭智之介さん。マジックをやらはった。落語家の余芸ではなく智之介さんはプロのマジシャン。落語もできるマジシャンでありマジックもできる落語家なのだ。
 さて、トリは桂文之助さん。「星野屋」をやらはった。心中もんです。たいへんにトリッキーな噺やけど、さすが文之助さん。オチまで噺は自然にながれていった。
 いやあ、久しぶりの生の落語や。落語はやっぱ生で聞く/見るもんですな。


井戸のうちわ

2021年04月14日 | 上方落語楽しんだで
落語に「井戸の茶碗」という噺がおます。古今亭志ん生師匠や志ん朝師匠が得意としてはった噺です。上方でも演じられ、ワシは桂文我師匠や桂文華師匠の「井戸の茶碗」を聞いたことがおます。人情話です。
 美しい娘がいる浪人。貧乏はすれど清廉潔白なご仁。手元不如意につき父の残した仏像をクズ屋に売る。このクズ屋もバカ正直。この仏像が細川藩の若い侍に売れた。この若い侍も生真面目バカ正直。正直もんが3人そろうわけですな。
 その仏像の中から50両出てきた。「仏像は買ったが50両は買った覚えはない。返してまいれ」「あの仏像はもう拙者とは縁が切れたものだ。なにが出てこようと知らぬ」貧乏浪人は受け取らん。困ったクズ屋は浪人から預かったきたない茶碗を持って若侍に。その茶碗は「井戸の茶碗」というたいへんなお宝やったという噺でおます。
 それからしばらくして、摂津の国で大きな疫病が流行りました。妖怪あまびえのご利益も多少はありますが、疫病のまん延は拡大の一途です。その疫病は、人の口の中に目に見えない頃奈の虫がいて、その虫が人から人へと病をうつしていると考えられていました。
 摂津の国のお代官で井戸敏左衛門さまが、頃奈の虫が人の口から出るのを防げばいいんだと考え、うちわを民に配りました。摂津の国では人々は会話をするときはうちわで口元をおおって会話をすべしとのお達しが代官所から発せられました。これが功を奏したのでしょう。摂津の国では疫病は早々に収束いたしました。お代官井戸敏左衛門さまは名代官として後の世まで語り伝えられました。また、この時配られたうちわは「井戸のうちわ」といって大変なお宝として珍重されるようになりました。
 時は流れ、明治、大正、昭和、平成、そして令和の御世となりました。現存する井戸のうちわは3本だけといわれています。いずれも国宝です。1本は摂津の国、今の兵庫県西宮市の井戸家の菩提寺鷲山寺にあります。このお寺の境内には名代官井戸敏左衛門の銅像があり、今も花を手向ける人が絶えません。2本目は東京の双振堂文庫、3本目は大阪の藤山美術館で所蔵されています。4年ほど前、テレビの「どうした鑑定団」で4本目が出て、本物かと騒がれましたが、ニセ物である確率が高いそうです。
 ここに松本留五郎という人がおります。極端なケチです。カネはできれば一銭も出したくないという生活を送ってます。もちろんエアコンなんてもんは持ってません。扇風機さえありません。冷房器具はうちわ1本。そのうちわも動かすといたむからと、うちわはじっとさせて首を動かしてました。
 地球温暖化の影響でしょうかその年の夏も猛暑です。さすがの留五郎も熱中症が心配です。せめて扇風機なと買わねばなるまいと、あす三宮の蛍電社に行こうと思いながら、うちわを手に持って例によって首を振りました。猛暑です。いっそうはげしく首を振りました。グキ。プチン。そのままあの世。留五郎さんのご遺体のそばにうちわが落ちてました。そのうちわは、なんと井戸のうちわだったのです。4本目の井戸のうちわでした。

親子酒

2021年03月26日 | 上方落語楽しんだで

 ワシは神戸は新開地の上方落語の定席喜楽館のタニマチだ。いくばくかの寄付をしたらお礼にお酒が送って来た。「替り目」「寄合酒」「親子酒」の3本のうち「親子酒」を送って来た。なんでも落語「替り目」の口演を聞かせて醸造したそうだ。だれの「替り目」だったのだろう。先代文枝一門ならねっとりとした山廃本醸造、先代春団治一門なら端正な吟醸酒、米朝一門なら香り立つ大吟醸、笑福亭ならいくらでも飲める純米本醸造といったところか。もちろん、この酒はありがたく頂いた。どうも笑福亭の「替り目」を聞かせたらしい。だれやろ。生喬さんかな。
 このお酒のラベルにもなってる「親子酒」やが、酒飲みの親子の噺だ。親子で酒を酌み交わす。これは子を持った親ならではの夢ではないだろうか。子供ができた。この子が成人したら酒を酌み交わしたい。そう思う酒飲みのオヤジは多いだろう。
 ワシのオヤジは盃一杯でひっくり返るぐらい酒の飲めん男だったから、オヤジとの親子酒の経験はない。そんなワシにも子ができて成人して親子酒の楽しみは経験した。こう書くとオヤジと息子の親子酒と思われる(そんなことは思わないという人が多いだろう。お許しあれ。ワシは古い昭和の男なのだ)母と娘の親子酒でもいいんだ。「あてなよる」の大原千鶴姐さんみたいなお母さんなら、いくらでも飲むから、そうとうの娘でないとたちうちできないだろう。