農作業の手伝いで外にいると日に何度か冷たい空気が波のように押したり引いたりしているのが分かる。徐々に居座るようになり冬へ
と向かうのだろう。
シーズン最後の自転車旅に出掛けた。流石に野宿は寒いのでツーリスト宿を利用することにした。恵庭~千歳~支笏湖~美笛峠~盤渓温泉(泊)
~洞爺湖の定番コースにニセコを加えることにした。“GOTO”で。
大手旅行会社の派手な超豪華メニューが毎朝の新聞に載るのを〝何かが違う〟と思って眺めていたので、自転車旅で利用する小さな宿を応援した
いと思っていた。ネットやSTAY NAVIのサイトで捜してニセコ町のロッジを見つけることが出来た。
中年のご夫婦が1泊2食5,500円で提供している相部屋タイプがGOTOの対象になっていた。「もともと小さな宿のささやかなサービスですが喜んで
貰えれば。」と主人。
8名の宿泊数は「今年最高」とのことだった。東京からのシニア夫婦はゲストハウス泊やキャンプで各地を回るのが趣味とかで「経費を掛けない
分、回数を多くしてあちこち行きたい。」という旅スタイルで話が盛り上がった。
若い男女5名のうち4名はバイク旅だった。同室だった名古屋の青年はコロナの影響で原料納入が滞り化学製品製造工場が操業出来ず、本人曰く
「出勤に及ばず。」状態だという。
給料は国の交付金頼みの「名ばかりのもの。」で、今回、利尻富士を目指して来た。天候待ちをしているうちに滞在が12日間になったという。喜
ぶべきか、悲しむべきか、こちらも複雑だった。
その若者が利尻島で知り合った3名とやって来たというわけだ。島で泊まっていたゲストハウスで働く女性もいた。話す機会が無かっ
たが、ひょっとすると宿泊者が少なくて時間が出来たのかもしれない。
夜更かした朝、若者達は連泊で羊蹄登山に向かった。見送った後、山頂の雲の具合を気にしながら倶知安まで走り、JR輪行で帰宅した。
道中、コロナの影響だろうか、休業中のペンションが目に付く一方、倶知安に近づくと外国資本の豪奢な宿泊施設と未だに続く工事現場が続き、
風光明媚なニセコ・倶知安の一角に新自由主義・グローバリズム経済の刃を見る感じがした。
盤渓温泉の風呂で文具の仲卸で道内を回っている年配の社長さんと一緒になった。「お得意さんが大型店の進出、高齢化でどんどん店終いしてい
る。赤字続きで私も会社の整理を始めた。」という。日本の企業の99.7%は300人以下の中小零細企業ではなかったか。新政権で保護政策も問答無
用で切り捨てられる予感がする。
【2020.10.8】
《美笛峠から支笏湖を望む》
【2020.10.9】
《財田オートキャンプ場でコーヒーブレイク これ、ホット》
《向洞爺から武四郎坂を上りR230へ 昔の作業用家屋か。》