団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

ペーパーレス時代になぜ三菱鉛筆は最高益か

2013-10-17 20:16:53 | 日記
筆記具メーカーの三菱鉛筆が好調だ。2011年12月期の連結経常利益は65億円で、2期連続で最高益を更新。この10年間、売上高は横ばいだが、ジワジワと収益を伸ばし続けている。

経費削減とIT化で「ペーパーレス化」が進んでいる。そんな逆風下で、なぜ収益が伸びているのか。三菱鉛筆で財務を担当している永澤宣之取締役はいう。

「01年のITバブルの崩壊以降、当社は大きく方向転換を進めてきました。ひとつは筆記具メーカーとしての原点回帰。もうひとつが、海外調達比率の上昇です。それらが今、結果として実っているのだと思います」

三菱鉛筆は今年で創業125年。鉛筆の製造から事業を興し、ボールペン、シャープペンなど筆記具全般に進出。20年ほど前に多角化を始め、CDやインクリボンなども扱うようになった。背景には「筆記具の市場が伸び続けることはない」という危機感があった。

「文具店に卸す様々な商品を扱うようになったのですが、多くは自社製造ではなく、仕入れ品です。特徴のある商品ではありませんから、利益率は高くなかった。そこで『これからは売り上げではなく、利益を重視しよう』と大きく舵をきったんです」(永澤取締役)

筆記具メーカーとして自社製造をしている分野以外からは、原則として撤退。筆記具が売り上げに占める割合は、6割近くまで下がっていたが、現在では8割ほどにまで高まっている。

三菱鉛筆では筆記具の製造に関して、プラスチックの成型、ペン先の加工、インクの配合などまで、すべて自社で行っている。メーカーの原点に戻ることで、競争力を取り戻した。海外調達比率を増やしたことも、円高の環境下でのコストダウンに大きく寄与した。それまで海外工場は中国・深センだけだったが、あらたにベトナムと上海に100%出資の拠点を増設。主に筆記具の部材を製造している。

そうした下地があるところに、次々とヒット商品が出た。なめらかな書き心地の油性ボールペン「ジェットストリーム」、芯先が自動回転するシャープペン「クルトガ」、ホルダーとリフィルを自在に組み合わせられる「スタイルフィット」。いずれも高い技術が背景にあるため、類似商品は出づらい。三菱鉛筆は売上高の約6%を研究開発費にあてており、従業員約2800人のうち約200人は開発者だ。「研究開発費だけは削らなかった」(永澤取締役)という判断が実を結んだ。

海外展開も好調だ。現在、海外売上比率は45%。筆記具の世界最大手は仏ビック社で、売上高は約1800億円と三菱鉛筆の3倍以上になるが、ライターやひげ剃りの売り上げが大きく、筆記具は全体の3割にすぎない。三菱鉛筆は世界市場で戦うグローバルプレーヤーなのだ。永澤取締役はいう。

「日本のメーカーは100円から500円くらいの中価格帯に強い。仏ビックや中国のメーカーは箱入りで売られる廉価品には強いのですが、新商品は開発しません。新機能をアピールして、1本売りができているのは日本製なんです」

08年のリーマンショックでは、筆記具メーカーを「経費削減」というショックが襲った。この結果、「備品」としての大量購入は減った。だが筆記具なしに仕事はできない。

「会社の備品なら文句はいわないが、自腹で買うならよいものを選びたい」という嗜好から、店頭での小売販売は踏みとどまった。機能開発を続けた成果だろう。

広報担当の飯野尋子氏は「あくまで個人的な印象ですが」と前置きしつつ、こう分析してくれた。

「スマートフォンを使うような人ほど、ノートや手帳へのこだわりが強いように感じます。1本1000円のジェットストリームを購入されるのもこの層です。デジタルを使うほど、アナログのよさが見えてくるのかもしれません」

(フリーランスライター 三浦愛美=文)

軽自動車税引き上げ提言へ 総務省の有識者検討会

2013-10-17 20:14:36 | 日記
総務省の有識者検討会は17日、2015年に廃止される自動車取得税の代替財源として、同じ地方税の軽自動車税の税率引き上げなどを求めた報告書案を大筋合意した。31日に正式決定する。総務省は年末の税制改正で実現を目指すが、軽自動車業界の反発は必至で、調整は難航しそうだ。

 報告書案は、小型の普通自動車と軽自動車の性能差や価格差が小さくなっていると指摘。自動車税が最低でも2万9500円かかるのに対し、軽自動車税が最高7200円なのは不公平だとして適正化を求めた。

 また、現在は排気量に応じて毎年支払う自動車税の課税方式を、燃費に応じて納める方式に変更するよう提言。

安倍首相=原発再稼働、安全最優先-衆院本会議

2013-10-17 20:07:39 | 日記
安倍晋三首相は17日午後、衆院本会議での代表質問で、東京電力福島第1原発の汚染水漏れについて「トラブルが続いていることは大変遺憾だ」と指摘するとともに「汚染水の増加防止、汚染源の除去、タンク増設による汚染水管理などの手当てを講じ、海への安易な放出は行わない」と述べ、対策に万全を期する考えを強調した。共産党の志位和夫委員長への答弁。

 首相はまた、原発再稼働について「安全が最優先だ。世界で最も厳しい規制基準を満たさない限り再稼働はない」と言明。みんなの党の渡辺喜美代表は、小泉純一郎元首相の発言に触れて「脱原発」の推進を求めたが、首相は「国民生活や経済活動に支障がないよう、安定供給やコスト低減の観点も含め、国として責任あるエネルギー政策を構築する」と否定的な見解を示した。(2013/10/17-19:37)

小泉元首相の脱原発発言が大きな波紋 安倍首相は君子豹変できるか

2013-10-17 19:46:47 | 日記
小泉純一郎元首相は、10月1日、名古屋での講演であらためて日本が脱原発の方向に進むべきだと強調した。

 彼が元首相であること、自民党員であること、そして未だ突出した国民的人気の持ち主であることによって、この発言は段違いの大きな衝撃をもたらしている。

 特に、安倍晋三首相にとっては実に悩み深い。世間は安倍首相を小泉元首相の弟子と受けとっている。小泉元首相に引き立てられて最高指導者になったとも見られている。だからこの発言を無視したり、軽視したりして済む立場ではない。

 安倍政権の原発政策は、基本的には民主党政権の「何となく再稼働」路線を踏襲してきた。民主党政権は、脱原発を唱えながら再稼働を容認するという邪道を選んだが、この前政権の道を安倍政権は当然のように進みながら、次第に原発事故以前の路線に戻りつつあるように見える。

 今回の小泉発言は、この「何となく再稼働」路線に大きな転換を迫るものだ。

 折から東京オリンピックの開催決定によって、日本の原発政策は今まで以上に国際的関心事となり、少なくとも開催までの7年間は、世界が常に日本の原発の動向を監視することになった。言わば、日本の原発政策は特別厳しい国際監視の対象となったのである。

 一体、日本の既定の原発政策はこの監視に耐えられるのだろうか。とても耐えられるとは思えない。

 私はオリンピック開催決定による内外の世論の変動と今回の小泉発言によって、今後の日本の原発政策は振り出しに戻ったと認識している。

困難な郵政民営化を実現させた
小泉元首相の正面突破力


 さて、小泉氏は一昨年の大震災直後から、地元の講演などで従来の原発政策を転換すべきことを訴え始めていた。ここに来て一段とその主張を強めたのは、8月にフィンランドの原発最終処理施設を視察したからだと言う。

 名古屋での小泉発言は東京新聞(10月2日)などで要旨が報道されているが、次のような発言が特に注目される。

「“原発をゼロにする”という方針を政府・自民党が打ち出せば、循環型社会をつくる夢に向かって国民は結束できるんです。そうすれば世界が日本を手本にする」

 そして「ピンチをチャンスに変える方針を決めるのが、政治の仕事なんです」と強調した。

 私は発言内容を知ってすぐに2001年の小泉内閣発足直後の出来事を思い出した。

 小泉首相に声を掛けられて赤坂の居酒屋で待っていると、彼は障子を開けるや、出会い頭に「郵政民営化のチャンスだ。必ずやる」と私に向かって宣言した。そのときの用件は私に私的懇談会をつくるので座長役を頼むということであったが、会談の大半は彼の郵政民営化に関する一方的な演説であった。私は彼のその熱意に驚くばかりだった。

 あの時点での郵政民営化実現の政治的可能性を考えると、今回の脱原発よりもはるかに困難であったと私は思っている。

 当時は小泉氏には大きな実績がなかった。それに世論が郵政民営化の必要性を理解することはきわめて難しかった。加えて、当時は、既に「郵政公社」への移行で政治的合意が成立していて、誰が見ても一件落着。それに賛同しない人は小泉氏ただ1人といってもよい状況。文字通りの孤軍奮闘であった。

 結果は周知の通り、彼は初志を貫き、まっしぐらに突進して5年後に公約を実現してしまった。

今回の発言で小泉氏らしいのは「政府・自民党が打ち出せば」というところ。彼は「脱原発勢力をまとめて」とは言っていない。郵政民営化のときと同じように世論の圧倒的な支持を得て、直接自民党や政府の方針そのものを変える正面突破の戦略に立っている。

 郵政民営化のとき、彼は「抵抗勢力を協力勢力に変える」と言ったことがある。今回もまたそう考えているのだろう。脱原発に最後まで抵抗する自民党政治家はほんの一握り。政府・自民党が明確な方針を打ち出せばほとんどそれで決着と小泉氏は考えているに違いない。その通りである。

 安倍首相とて例外ではない。彼は自民党内でいわゆる原子力ムラと強いしがらみを持たない政治家。それに独特の無鉄砲さも持ち合わせている。また、オリンピック招致の演説で「汚染水の影響はコントロールできている」と断言してしまった、重大な責任もある。ここで首相が君子豹変すれば、内外から大きな拍手で迎えられ、歴史的事業を果たすことができる。

小泉元首相が本気になれば
「脱原発」が豪流になる


 小泉氏がフィンランド視察後に、脱原発に積極的になった理由は、「核のゴミを処分する場所の当てもないのに原発を進めていくほうが、よほど無責任ではないか」という発言に尽きている。

 かつて、日本で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士は、日本での原発建造が具体的な日程となったとき原子力委員を辞任した。そのとき博士は、「まず最終処理の態勢を備えなければいけない」という趣旨の抗議の発言をした。

 ゴミ箱もないのにゴミを量産する。しかもそれは半永久的にこの上なく有害なゴミだ。そして、そのゴミ箱を用意することはほとんど不可能なまでに困難を極める。最終処理の問題だけ考えても、われわれには今後原発を続ける選択肢はない。

 この講演で小泉氏は、一昨年の野田佳彦首相による「原発事故収束宣言」を痛烈に批判している。「事故を起こした原子炉内部の状況がわかっていないのに」なぜ収束宣言を出したのか、と。ときの首相が発言すれば、多くの人がそれを信じるのは当然。原発事故への関心が急速に薄れても不思議ではない。結果的に事故は今もって収束したとは言えない状況だ。

 小泉元首相は、政治的直感によって一気に動き出す人。彼が本気であれば、脱原発の流れは遠からず豪流と化すに違いない。

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]