「リアル・シンデレラ」「空飛ぶ広報室」

「リアル・シンデレラ」 姫野カオルコ 光文社 2010.3.25

シンデレラは、主人公のわりに目立たないという違和感があると言う。
そう言われれば、確かに…
受動的過ぎるからかと考えていたのだが、それだけでなくて、せちがらい。
成る程！

一見不器用、でも自分なりの関心事があって淡々と生きる泉(せん)が魅力的。
泉の不思議な消え方(死亡？)には含みがあるのか…


「空飛ぶ広報室」 有川浩 幻冬舎 2012.7.25

だいぶ前にリクエストしてたのが、ようやく回ってきた(^^;

長年憧れていたブルーインパルスに乗れることになった矢先の不慮の事故…
夢を絶たれた空井大祐は広報室に回された。

自衛隊というだけで反発を感じる報道記者に我が身が重なる(^^;
災害時は、有難い、大変だと、素直に思えるのだが。

航空自衛隊――勇猛果敢・支離滅裂
陸――用意周到・動脈硬化
海――伝統墨守・唯我独尊
統幕――高位高官・権限皆無
内局――優柔不断・本末転倒

自虐的なオチがなかなか～

　以下、引用。

昔を振り返ってばかりだとそこから余生だ。

「だからって女を捨てちゃうのは逆に敗北じゃないかと思うけどね」
仕事をしていて女性であるということが邪魔になると、自分が男だったらよかったと思うことがある。
だが、そう思うことは自分自身の性別を貶めているのと同じだ。

「メタボもハゲも若者だったら弱点だけと、オッサンならよくある要素の一つだろ。
職場の上司が無神経で図々しくてイヤミったらしくても、それがオッサンなら
『オッサンだから仕方がない』って見過ごされるじゃない」
「でも、そんなオッサンになったら嫌われるでしょう。特に女性なんか(略)
「嫌われたからって生きにくくなるわけしゃないだなぁ、オッサンは。そこが女性と決定的に
違うとこ。世の中まだまだ女性には点が辛いし厳しいよ。特に働く女の人にはね」

「僕たちはあなたたちよりも楽をしています」
「有事に果たすべき義務があるということは、それだけて拠り所になります。 辛いことがあったとき、自分にできることがあるだけで人って救われるでしょう？
だから僕たちは被災者を支援しながら、自分自身を救ってもいるんです」

「自衛官の冷たい缶メシを強調されて、国民は安心できますか？
被災者のごはんも同じように冷たいのかって、心配しちゃうでしょう？
自衛官の缶メシが冷たいのは、被災者の食事を温めるために燃料を節約してるからです。
僕らが冷たい缶メシを食べていることをクローズアップするんじゃなくて、
自衛隊がいたら被災者は温かいごはんが食べられるということをクローズアップしてほしいんです」