AN UNCENSORED HISTORY OF AMERICA'S TOP SECRET MILITARY BASE
アニー・ジェイコブセン:著 2011
田口俊樹:訳 2012 大田出版
世界でもっとも有名な秘密吉の真実--という副題通り。
ネヴァダ州の砂漠地帯に位置する軍事施設エリア51。
UFO墜落・宇宙人の遺体回収で知られる「ロズウェル事件」の舞台として有名で有るにもかかわらず、
現在も当局によってその存在は伏せられている。
調査報道ジャーナリストの著者は、極秘の開発計画に携わっていた物理学者への取材をきっかけに
エリア51に住み、勤務した30人以上から貴重な証言を得ることに成功。
その結果、冷戦下の軍事秘史が初めて明らかになった。
大統領さえも除外される厳重な管理体制のもと、いったい何が行われてきたのか?
100人以上の関係者証言をもとに、大きな謎に包まれた秘密基地エリア51に内部に踏み込む。
超音速機爆撃機の開発をめぐるソ連との攻防、ロズウェル事件の真相、
核及び人体実験の知られざる事実など。
と、表紙の裏書にある。
事実関係を頭に入れるのに時間がかかり、少しずつしか読み進めなかった。
でも、実に読み応えのある内容。
第2次大戦が終わり、航空学を専門とするドイツ生れの科学者はアメリカやソ連に渡った。
双方の腕前を競う場になったのが朝鮮戦争だったわけだ。
相手の軍事設備を探るため、考えられなかったような高度を超音速で飛ぶ飛行機の開発が急がれた。
地球が眼下に見下ろせる宇宙開発もその一環といえる。
新しい滑走路を造ると目立つから、適切な地域が求められ、
平坦な干上がった湖、グルーム湖に定められた。
核実験施設に隣接していて、民間の目が届かないのも好都合だった。
主導権を争うCIAと空軍の確執は相当なものだったようだ。
それまで考えられないような高度を、信じられない速度で飛行する実験機は、
当然、公表されていない。
確かに、未確認飛行物体の報告が相次ぐわけだ。
ラジオドラマ〈宇宙戦争〉がパニックを引き起こした如く、
人々は異星人の襲来と思い、国民の大半は政府が地球外生命体の存在を隠そうとしていると考えた。
もうひとつの未確認飛行物体の現実、すなわち、目撃されたのは人間の手によってつくられた先進的な飛行機であるという現実についてはあまり考えようとしなかったのだ。
子供の頃、UFOをテーマにメディアが騒いでいた記憶がある。
ちょうどその頃に当たるわけだ。
核実験も繰り返し行われていた。
1964年までにエリア51付近で286発の核爆弾実験が行われたという。
その1年前、米ソは大気圏内と宇宙空間、水中での核実験を禁止する部分的核実験禁止条約に調印したため、
核実験は地下へと場所が移された。
その結果、1961年9月から1964年12月にかけて、162発という記録的な数の爆弾が、
ネヴァダ核実験場の地下トンネルとシャフトで炸裂し、その実験の半数近くで大気圏への
「偶発的な放射能漏れ」が発生する結果を招いた。
プルトニウムはじかに触れても致命的な影響があるわけではないという。
放射するのが透過力の最も弱いアルファ粒子であるため、体内への侵入は紙一枚、
あるいは皮膚一枚でも防ぎうる。さらに、口から取り込んでしまっても必ずしも命取りになるとは限らない。
プルトニウムはヒトにとっても動物にとっても、粒子が気道の置くまで達した場合にのみ致命的となる。
プルトニウムの粒子を吸い込んだりせず、プルトニウムが血流や骨にはいり込んだりしなければ、
プルトニウムだらけの環境で過ごすことになっても80代まで生きた人もいるわけだ。
しかし、放射能汚染についてつまびらかにされていない。
ミミズが移動させる土壌の量が半端でないという。
そうしたミミズを啄んだ鳥はどこにでも糞を落とす。
そうした社会責任ということには目を瞑っていた。
汚染は果てしなくということになる。
3.11後の日本ではどんな対策をとれるだろうか。
飛行速度マッハ2.8を超える実験機が高度25900メートルに近づくにつれ、決まって
小さな黒点が風防ガラスに出現したという。
なんとその正体は、ふたつの超大国の熱核爆弾合戦によってジェット気流のなかに吹き飛ばされ、
高層大気圏を循環し続けている昆虫の市外だったそうだ。
今もまだ、漂っているのだろうか。
ソ連がスプートニクを成功させたことも、秘密偵察機の開発を後押しした。
人工衛星と違い軌道に乗る必要性がなく、「意外性」と「情報収集の質の高さ」があるから。
ヴェトナム戦争が激化すると、偵察機の有益さが更に認められるようになった。
1966年、イスラエルに亡命したミグが運ばれてきてCIAはまたも価値ある外国の技術を掌中に収めた。
ということも付記しておこう。
ヴェトナム戦争が膠着状態に陥っている中、オックスカートに初任務が下された。
嘉手納基地からの出発だったという。
CIAは、1974年までにエリア51の実権を空軍に明け渡していた。
1974年から1999年までの25年間、エリア51でおこなわれた無人機計画で
CIAと空軍が協力しあうことは稀だったが、2000年の冬に変化が訪れた。
CIAが暗殺を画策しているある謎のテロリスト――アフガニスタンに住む
オサマ・ビン・ラディンが標的のプロジェクトで連携することになったのだ。
国務省は、2001年2月の時点で暗殺を許可していたが、民間人殺傷の可能性があり
CIAはこの計画を断念した。
そこに9.11が起こり、空軍はCIAの協力の必要性を悟る。
CIAの無人機は空軍の戦場司令官に資格映像を提供し、空軍はそれを使って特定の個人をリアルタイムで狙う。
その力は対テロ戦争の舞台がイラクへと拡大した時に発揮されることとなる。
あの爆撃はまさにゲームさながらだったことを思い出す。
ただ、夜の闇の中でも、煙や雲さえとおしても画像を中継してくる全能の無人機にも弱点がある。
それは無人機は人工衛星との接続が必要と言うこと。
大気圏や宇宙が紛争の場になりうるということだ。
2011年、インド洋に浮かぶディエゴガルシア島にあるエリア51に似た施設では
米国宇宙漢詩ネットワークの分析官が地球の軌道を回る8000以上の人工物体を24時間体制で追跡しているそうだ。
もし、何者かが衛星システムを、たとえ部分的にであれ破壊しようとすれば、
世界は大混乱とパニックに陥ることになる。
さてロズウェル事件だが、著者はある技術者の証言を元に一つの推測をしている。
1947年にニューメキシコ州で起きたロズウェル墜落事故の残骸が
ネヴァダ砂漠の秘密の場所に運ばれたのが1951年だった。
エリア51の名前はそこに由来するらしい。
アメリカ政府は、エリア51の存在同様、ロズウェル事故が起きたことも否定し続けているが
実際に起きた事故であることは間違いないという。
1947年、ロズウェルに墜落した空飛ぶ円盤の残骸回収作業を指揮したのは軍の諜報機関。
墜落時に発見されたのは気体だけではなく、複数の遺体もあった。
もっとも遺体は宇宙人のものではなく、正規の飛行士のものでもなく
それはモルモットにされた人間だった。
パイロットにしてはひどく小柄で、子供のようにも見えた。
それぞれの身長は150センチにも満たず、全員がグロテスクに変形していたのだ。
巨大な頭に、大きすぎる異様な形の目。
彼らのうち二人は昏睡状態ながら、まだ息があったという。
技術者たちは次のような説明を受けた。
あくまで未確認情報ながら、この子供たちはヨーゼフ・メンゲレ医師(アウシュヴィッツなどの収容所で主に子供や小児症、双子たちにおぞましい実験的な外科手術を施した有名なナチの医学者)に誘拐された子供たちだ。と。
メンゲレはスターリンと取引して、ソ連で優生学の研究がひそかに続けたのだった。
では、なぜトルーマンはロズウェル事故の残骸を公開して、スターリンが邪悪な男だと告発しなかったのか?
アメリカも同じことをしていたからだ。
仕切っていたのは原子力委員会だったという。
スターリンがドイツ人から盗んだ技術は他にもあった。
空中静止と全身を繰り返す(ホバー・アンド・フライ)とステルス技術だ。
そんな技術の円盤と、異様な人々、まさに宇宙人ではないか・・・
一人の証言に基づく推論だし、真相は未だ闇の中~
この本が出版されるや、アメリカで物議をかもしたというのは十分頷ける。
公開されている情報は大海の一滴だ。
そうこうしている内に関係者は世を去ってしまう。
大統領さえ知らない事実が、どれほどあるのだろう。
日本にしても然り、官僚が押さえ込んでいる情報が山のようにあるに違いない。
アニー・ジェイコブセン:著 2011
田口俊樹:訳 2012 大田出版
世界でもっとも有名な秘密吉の真実--という副題通り。
ネヴァダ州の砂漠地帯に位置する軍事施設エリア51。
UFO墜落・宇宙人の遺体回収で知られる「ロズウェル事件」の舞台として有名で有るにもかかわらず、
現在も当局によってその存在は伏せられている。
調査報道ジャーナリストの著者は、極秘の開発計画に携わっていた物理学者への取材をきっかけに
エリア51に住み、勤務した30人以上から貴重な証言を得ることに成功。
その結果、冷戦下の軍事秘史が初めて明らかになった。
大統領さえも除外される厳重な管理体制のもと、いったい何が行われてきたのか?
100人以上の関係者証言をもとに、大きな謎に包まれた秘密基地エリア51に内部に踏み込む。
超音速機爆撃機の開発をめぐるソ連との攻防、ロズウェル事件の真相、
核及び人体実験の知られざる事実など。
と、表紙の裏書にある。
事実関係を頭に入れるのに時間がかかり、少しずつしか読み進めなかった。
でも、実に読み応えのある内容。
第2次大戦が終わり、航空学を専門とするドイツ生れの科学者はアメリカやソ連に渡った。
双方の腕前を競う場になったのが朝鮮戦争だったわけだ。
相手の軍事設備を探るため、考えられなかったような高度を超音速で飛ぶ飛行機の開発が急がれた。
地球が眼下に見下ろせる宇宙開発もその一環といえる。
新しい滑走路を造ると目立つから、適切な地域が求められ、
平坦な干上がった湖、グルーム湖に定められた。
核実験施設に隣接していて、民間の目が届かないのも好都合だった。
主導権を争うCIAと空軍の確執は相当なものだったようだ。
それまで考えられないような高度を、信じられない速度で飛行する実験機は、
当然、公表されていない。
確かに、未確認飛行物体の報告が相次ぐわけだ。
ラジオドラマ〈宇宙戦争〉がパニックを引き起こした如く、
人々は異星人の襲来と思い、国民の大半は政府が地球外生命体の存在を隠そうとしていると考えた。
もうひとつの未確認飛行物体の現実、すなわち、目撃されたのは人間の手によってつくられた先進的な飛行機であるという現実についてはあまり考えようとしなかったのだ。
子供の頃、UFOをテーマにメディアが騒いでいた記憶がある。
ちょうどその頃に当たるわけだ。
核実験も繰り返し行われていた。
1964年までにエリア51付近で286発の核爆弾実験が行われたという。
その1年前、米ソは大気圏内と宇宙空間、水中での核実験を禁止する部分的核実験禁止条約に調印したため、
核実験は地下へと場所が移された。
その結果、1961年9月から1964年12月にかけて、162発という記録的な数の爆弾が、
ネヴァダ核実験場の地下トンネルとシャフトで炸裂し、その実験の半数近くで大気圏への
「偶発的な放射能漏れ」が発生する結果を招いた。
プルトニウムはじかに触れても致命的な影響があるわけではないという。
放射するのが透過力の最も弱いアルファ粒子であるため、体内への侵入は紙一枚、
あるいは皮膚一枚でも防ぎうる。さらに、口から取り込んでしまっても必ずしも命取りになるとは限らない。
プルトニウムはヒトにとっても動物にとっても、粒子が気道の置くまで達した場合にのみ致命的となる。
プルトニウムの粒子を吸い込んだりせず、プルトニウムが血流や骨にはいり込んだりしなければ、
プルトニウムだらけの環境で過ごすことになっても80代まで生きた人もいるわけだ。
しかし、放射能汚染についてつまびらかにされていない。
ミミズが移動させる土壌の量が半端でないという。
そうしたミミズを啄んだ鳥はどこにでも糞を落とす。
そうした社会責任ということには目を瞑っていた。
汚染は果てしなくということになる。
3.11後の日本ではどんな対策をとれるだろうか。
飛行速度マッハ2.8を超える実験機が高度25900メートルに近づくにつれ、決まって
小さな黒点が風防ガラスに出現したという。
なんとその正体は、ふたつの超大国の熱核爆弾合戦によってジェット気流のなかに吹き飛ばされ、
高層大気圏を循環し続けている昆虫の市外だったそうだ。
今もまだ、漂っているのだろうか。
ソ連がスプートニクを成功させたことも、秘密偵察機の開発を後押しした。
人工衛星と違い軌道に乗る必要性がなく、「意外性」と「情報収集の質の高さ」があるから。
ヴェトナム戦争が激化すると、偵察機の有益さが更に認められるようになった。
1966年、イスラエルに亡命したミグが運ばれてきてCIAはまたも価値ある外国の技術を掌中に収めた。
ということも付記しておこう。
ヴェトナム戦争が膠着状態に陥っている中、オックスカートに初任務が下された。
嘉手納基地からの出発だったという。
CIAは、1974年までにエリア51の実権を空軍に明け渡していた。
1974年から1999年までの25年間、エリア51でおこなわれた無人機計画で
CIAと空軍が協力しあうことは稀だったが、2000年の冬に変化が訪れた。
CIAが暗殺を画策しているある謎のテロリスト――アフガニスタンに住む
オサマ・ビン・ラディンが標的のプロジェクトで連携することになったのだ。
国務省は、2001年2月の時点で暗殺を許可していたが、民間人殺傷の可能性があり
CIAはこの計画を断念した。
そこに9.11が起こり、空軍はCIAの協力の必要性を悟る。
CIAの無人機は空軍の戦場司令官に資格映像を提供し、空軍はそれを使って特定の個人をリアルタイムで狙う。
その力は対テロ戦争の舞台がイラクへと拡大した時に発揮されることとなる。
あの爆撃はまさにゲームさながらだったことを思い出す。
ただ、夜の闇の中でも、煙や雲さえとおしても画像を中継してくる全能の無人機にも弱点がある。
それは無人機は人工衛星との接続が必要と言うこと。
大気圏や宇宙が紛争の場になりうるということだ。
2011年、インド洋に浮かぶディエゴガルシア島にあるエリア51に似た施設では
米国宇宙漢詩ネットワークの分析官が地球の軌道を回る8000以上の人工物体を24時間体制で追跡しているそうだ。
もし、何者かが衛星システムを、たとえ部分的にであれ破壊しようとすれば、
世界は大混乱とパニックに陥ることになる。
さてロズウェル事件だが、著者はある技術者の証言を元に一つの推測をしている。
1947年にニューメキシコ州で起きたロズウェル墜落事故の残骸が
ネヴァダ砂漠の秘密の場所に運ばれたのが1951年だった。
エリア51の名前はそこに由来するらしい。
アメリカ政府は、エリア51の存在同様、ロズウェル事故が起きたことも否定し続けているが
実際に起きた事故であることは間違いないという。
1947年、ロズウェルに墜落した空飛ぶ円盤の残骸回収作業を指揮したのは軍の諜報機関。
墜落時に発見されたのは気体だけではなく、複数の遺体もあった。
もっとも遺体は宇宙人のものではなく、正規の飛行士のものでもなく
それはモルモットにされた人間だった。
パイロットにしてはひどく小柄で、子供のようにも見えた。
それぞれの身長は150センチにも満たず、全員がグロテスクに変形していたのだ。
巨大な頭に、大きすぎる異様な形の目。
彼らのうち二人は昏睡状態ながら、まだ息があったという。
技術者たちは次のような説明を受けた。
あくまで未確認情報ながら、この子供たちはヨーゼフ・メンゲレ医師(アウシュヴィッツなどの収容所で主に子供や小児症、双子たちにおぞましい実験的な外科手術を施した有名なナチの医学者)に誘拐された子供たちだ。と。
メンゲレはスターリンと取引して、ソ連で優生学の研究がひそかに続けたのだった。
では、なぜトルーマンはロズウェル事故の残骸を公開して、スターリンが邪悪な男だと告発しなかったのか?
アメリカも同じことをしていたからだ。
仕切っていたのは原子力委員会だったという。
スターリンがドイツ人から盗んだ技術は他にもあった。
空中静止と全身を繰り返す(ホバー・アンド・フライ)とステルス技術だ。
そんな技術の円盤と、異様な人々、まさに宇宙人ではないか・・・
一人の証言に基づく推論だし、真相は未だ闇の中~
この本が出版されるや、アメリカで物議をかもしたというのは十分頷ける。
公開されている情報は大海の一滴だ。
そうこうしている内に関係者は世を去ってしまう。
大統領さえ知らない事実が、どれほどあるのだろう。
日本にしても然り、官僚が押さえ込んでいる情報が山のようにあるに違いない。