ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「裏閻魔」「陰の季節」「探偵ガリレオ」「雁の橋」

2012-10-24 09:50:05 | 
「裏閻魔」  中村ふみ 出版社 2011.3.10

 この出版社名、カジ? それともカイ? 初めて見る。
 ゴールデン・エレファント賞第1回受賞作というが、この賞も初めて知った。
 ついでに、この作家さんも初めてだ。

 1961年生まれ。秋田に暮らす専業主婦という。ほぉ~。
 27歳で結婚後、執筆活動開始。
 2000年以降より短編やライトノベルズが各賞で最終選考に残るようになったと。

 帯を引用しよう。

  時は幕末。長州藩士・一ノ瀬周は
  新撰組に潜入し瀕死の重傷から刺青師・宝生梅倖の秘技『鬼込め』で
  不老不死の〈呪い〉を纏う宝生"閻魔"に生まれ変わる。
  20歳から時を止めた姿で生きる刺青師の支えは
  心臓を喰らう殺人鬼"夜叉"から友人の遺児・奈津を守ること。
  "閻魔"と同じ『鬼込め』で自ら不老不死を得た"夜叉"と
  互いを鬩ぎ合う間柄は激しさを増し、
  渦中に人々の運命と情念を巻き込みながら
  明治から昭和への激動を辿っていく

 いつかは秘技を試してみたいと思う刺青師の前に瀕死の周が現れたのだった。
 鬼込めが上手くいくには、込められる人が心底そのことを望まなければならない。
 ”死にたくない”としか思わない状態の周はまさにうってつけだったわけだ。

 "閻魔"となった周は、青年の心を失わず、常に惑い、悩み、葛藤する。
 このあたりの描き方もなかなか。

 時代設定も良かったと思う。
 軽いタッチの文章が読みやすく、一気に捗った。

 妹から姉、そして母から祖母の年齢になる奈津。
 医師として自立し、暗黙裏に伝わる思いに応えられない閻魔。
 恋愛小説だよなぁ!


「陰の季節」 横山秀夫  文藝春秋  平成10.10.30

 横山さんは1957年生まれか・・・まだ50代半ばだ。
 休養宣言をしたのは何年前だったろう。
 完全に筆をおいたのか、エネルギーを溜めているのか・・・

 陰の季節は、1998年サントリーミステリー大賞佳作だったという。
 人事を行う警務科を扱っているのが異色。

 かつて読んだ小説同様、読みやすく、味がある。
 新たな復活を待ちたいものだ。

 
「探偵ガリレオ」 東野東吾 文藝春秋  平成10.5.30

 ガリレオシリーズの最初と思って読んでみたが、
 刑事である草薙が、当たり前のように湯川の助けを借りているから、
 どうも、もっと前があるような感じだ。

 こんな短編集だったんだ。
 テレビドラマになりやすいはずだ。

 最初にブラッドベリの『火星年代記』が出てきた。
 懐かしくなった。
 また、読もうか・・・


「容疑者Xの献身」 東野圭吾 文藝春秋  2005.8.30

 当時かなり話題になったものの読まず仕舞いだったので読んでみた。
 図書館で、約1時間かかった。
 読むのが遅くなったと再自覚。

 これもガリレオだったか~
 学生時代、互いに相手に不足はないと認め合った石神との
 「知」の攻防。
 
 それにしても、作者自身が科学を始め雑学的な知識がないと
 このシリーズは書けないと思う。
 たいしたもんだ。


「雁の橋」 澤田ふじ子 幻冬舎 2003.1.10

 秋田魁、熊本日日、中国、信濃毎日、北国、神戸、高知の各紙に連載したという。
 成る程、それぞれの江戸時代の京藩邸が出てくるのはそのためか。
 
 藩が根こそぎの断絶を目論んでいるらしい自宅から
 付き女中と小者を従えて出奔した小栗雅楽助。
 京都からの峠で追っ手に襲われ、たまたま出逢った立花師と
 その同門の、雄藩目付け役などに救われる。

 師の弟子になり、山中温泉で暮らすことになるが、
 その師が池坊の一派に暗殺される。

 花で結ばれた諸藩の武士や、逗留先の人々、
 登場人物がいかにもあったかい。

 凛とした少年の成長が、見事に描かれている。
 少年が秘さなくてはならなかった事実が豊臣に纏わるものだったとは
 作者も、よく考えたものだ。

 いつもながら、澤田さんの作品は気持ちよく読める。
コメント
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