◎スターリングラード(2001年 アメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランド 132分)
原題/Enemy at the Gates
監督/ジャン=ジャック・アノー 音楽/ジェームズ・ホーナー
出演/ジュード・ロウ ジョセフ・ファインズ レイチェル・ワイズ エド・ハリス
◎ウィリアム・クレイグ『Enemy at the Gates』より
現在の地名はヴォルゴグラード。
その地で、1942年6月28日から1943年2月2日まで戦いがあった。世にいうスターリングラード攻防戦で、この映画はそこで行われた狙撃戦の実話が小説化され、それを映像化したってことになってる。
けど、この実話っていうのが微妙で、攻防戦において257名を射殺したっていうソ連の狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフと、ドイツの狙撃学校教官エルヴィン・ケーニッヒの息詰まるような戦いっていうふれこみなんだけど、実はソ連側にしかその資料はない。
そもそもドイツ側に狙撃学校はなかったし、ケーニッヒっていう少佐も確認できない。つまり、ザイツェフの名誉をつくりあげるための創作だったみたいなんだけど、どうやら、原作はそのでっちあげた資料をもとに書かれたんだろね。
こういうのはソ連ではありがちなことだったかもしれないけど、ヴァシリ・ザイツェフが実在している分、ちょっとかわいそうかもしれない。
ただ、だからといってこの映画がつまらないかといえば、そんなことはないし、映画としての出来は決して悪くない。ことに導入部分は圧倒的で、全編英語という違和感を吹き飛ばすくらいの凄さだ。
あ、それと、やっぱりジャン=ジャック・アノーで、レイチェル・ワイズの美しさ故に「オッケー!」と認めてしまう濡れ場は、上手だ。
ただまあ、ジュード・ロウとエド・ハリスの狙撃手同士が西部劇のように渡り合うのは、たしかにぴりぴりした緊張感はあったけど、すこしばかり都合よすぎな気もしないではない。
こういうところが、ソ連側の資料に頼ってしまった部分なのかもしれないね。