◎リード・マイ・リップス(2001年 フランス 119分)
原題 Sur mes lèvres
英題 Read My Lips
監督 ジャック・オーディアール
◎難聴の女と前科者の男
それも、女エマニュエル・ドゥヴォスは30代で、男ヴァンサン・カッセルは20代。
不動産会社でつまらない仕事しか与えられない女が助手に雇った男との間に恋が芽生え、どちらも社会から疎外されているという傷をいたわり合うように関係を深め、しかも、仕事上の不満と正義をぶつけるように女は同僚の仕事をぶんどり横領を暴く半面、マフィアの親玉の金を横領するというせこい悪事もこなす。もちろんそれはふたりからすれば社会に対する復讐ということもあるんだけど、そこで味噌になっているのが、エマニュエル・ドゥヴォスが読唇術ができるってことだ。
この読唇術が、最初から中盤にかけてはまあまあ恰好な武器になるんだけど、佳境、ヴァンサン・カッセルの悪事が知れて監禁されてからは、ふたりにとってたったひとつの最後の頼みの綱になる。こうした展開は実に見事で、けっこうサスペンスフルだったりもする。小品とはいえ、上手に筋が練られてるし、なんとなく社会の暗部を突いているような感じもあったりする。
読唇術をあつかった映画はいくつかあるとおもうんだけど、これ、佳作だとおもうな。