◇ザ・ロフト(2014年 アメリカ、ベルギー 108分)
原題 The Loft
監督 エリク・ヴァン・ローイ
◇ハリウッド・リメイク版
リメイクのそのまたリメイクだそうな。
英語ではない国の映画がハリウッドでリメイクされることはままあることだけれども、2008年にベルギーで撮られた作品を2010年にオランダでリメイクされて、それを今度はハリウッドでリメイクしたっていうんだから、同じ筋立てで言語だけちがう映画が3本存在することになったってことになる。
興味深いのは、ハリウッド版はセルフ・リメイクで、つまり、監督のエリク・ヴァン・ローイがみずからハリウッドに乗り込んで撮り上げてる。ちなみにオランダ版の監督はアントワネッテ・ベウメルっていう人らしい。リメイクされた2本は共に出演者がなんとなく似てて、かなり最初のベルギー版が意識されてる。すごい影響力だ。
で、肝心の話なんだけど、そんなに凄いって感じはしないものの、たしかにサスペンスフルではある。なんせ、仲間内でロフトを持って内緒の時間を過ごすなんてのは、男だったら誰もが憧れるようなシチュエーションなわけで、でも、そうしたうまい話ってやつは最後にはとんだしっぺ返しが来るもんと相場が決まってたりもする。案の定、この5人もそうなる。っていうより、その男のひとりの愛人が全裸のまま手首を手錠でベッドに繋がれ、さらに反対の手首は切られ、そのおびただしい血の中で死んでるってことになれば、こりゃもう大変だ。薬を飲まされて眠らされたにせよ、手首から流れる血のおびただしさを見れば、これは生体反応があったことは明らかで、眠ってるうちに死んじゃったのねと考えるのが妥当なはずなのに、物語はなんだかそうじゃないように考えていく。え、まじ?とおもったりするんだけど、これが最後のどんでん返しに繋がるわけなんだよね。
とはいえ、次から次へと「実はこれはこういうことだったんだよね」と謎として提示されていたわけでもない新事実が明らかになっていくのはどうなんだろね。知的好奇心をそそられるより前に情報をつきつけられる感じがしないでもないけど、まあ、人間関係についてはちょっとした伏線をちりばめてあったりして、そういうところ細かい脚本だったとはおもうんだな。
それなりにおもしろかったけど、ちょっと惜しい。そんな感じだ。