☆顔のないヒトラーたち(Im Labyrinth des Schweigens)
ちょっと驚きだ。半熟卵は頭をかるく叩き割ってスプーンでほじくりだすけど、かなり熱のとおったゆで卵も頭の方をスプーンの側面で叩き切り、まず切り取った上部の白身に塩をかけてほじって食べて、それから本体に挑む。これが1958年のフランクフルト・アム・マインの朝の風景だったんだろうか?
それはさておきこの1950年代の末という時期、西ドイツの市民はほとんどアウシュヴィッツを知らず、名称を知っていても普通の保護収容所だと信じて疑わず、武装親衛隊員の生き残りはあらかた職を得、中には禁止されているはずの教職にまでついていたってのは、いやいやいやまじにかなり驚きだ。
しかしこれは、検事総長フリッツ・バウアーと検事ヨハン・ラドマンによる1963年のフランクフルト・アウシュビッツ裁判をぼくたちがいかに知らずにきたかってことだよね。
それだけでも、このジュリオ・リッチャレッリ作品は価値があるな。