◎ナチスの愛したフェルメール(Een echte Vermeer)
なるほど、ハン・ファン・メーヘレンがいかにしてフェルメールの絵に酷似した作品を描いたのかって話ね。
300年前の顔料だとおもいこませるための絵の具というか樹脂を調合してゆくときに、Symphony No. 7 : Allegretto on Spotify. Ludwig van Beethoven が掛かるんだけど、これ、使いやすい曲なんだろうなあ。この四半世紀、なんべんもBGMにされてる。
ま、それはともかく、邦題はちょっとちがうな。
ユルン・スピッツエンベルハーは熱演してるけど、残念なことに顔が徐々に薄らいでいく。見慣れてないせいもあるんだろうけど、そこへいくと、ちょっと崩れた印象はあるけど、リゼ・フェリンは強烈だね。ナチの制服を裸体に羽織ってモデルになっているとき『愛の嵐』をおもいだしたけど。
よくわかるのは、結局のところ、自分の描いたものを褒められたらそれを破り捨てることなんてできないってことだよね。とはいえ、フェルメールとおもわせて金を稼ごうとした時点で、どう言い逃れようとも贋作なわけで、当時の裁判でフェルメールの絵には価値があるがメーヘレンの絵には価値はないのだと断定されるのは妥当だったんじゃないかって気もする。たとえ、それが現代では別な価値基準で独立した作品になっているとしても、動機を変えることはできないものね。