◇パール・ハーバー(2001年 アメリカ 183分)
原題/Pearl Harbor
監督/マイケル・ベイ 音楽/ハンス・ジマー
出演/ベン・アフレック ジョシュ・ハートネット ケイト・ベッキンセール ジョン・ヴォイト
◇1941年12月8日、真珠湾攻撃
21世紀最初のハリウッドの大作が、
「真珠湾」
ってのもなんだかな~って気がするんだけど、結局のところ、これ、恋愛映画なんだよね。
よく、ハリウッドが日本をあつかった映画を観た人が、
「あんな日本、ねーよ」
というのを聞くけど、実はぼくはあんまりそうはおもわない。
聯合艦隊の図式演習や会議がやけに象徴的な設定をされてるけど、これは、マイケル・ベイに限らず、まるでリアルじゃないことはわかってて、
「でも、この方がなんだか精神性をおもんじて日本的でかっこいいじゃん」
てな感じで演出してるんだろうと、なんとか贔屓目に思おうとしてるからだ。
てか、ハンス・ジマーの音楽いいし。
ただ、この映画が当時の若者の恋愛物だと百歩ゆずって観ても、ひとつだけ、賛同できないところがある。当時、真珠湾攻撃部隊が強襲したのはあくまでも敵の軍事施設で、民間人に対しての発砲は許されなかったし、市街地への攻撃も同様だった。
ましてや病院を狙えなんていう命令は絶対になかった、はずだ。
いや、実際、油槽すら破壊しなかったというアホさ加減もあるくらいで、攻撃部隊はひたすら港湾に停泊している敵艦と飛行場の機体を狙った。そんなものをぶっつぶしたところで戦争を有利に運べるはずもないし、実際のところ、輸送と通信基地を破壊し、敵の空母を沈めないかぎり、真珠湾攻撃は成功したとはいえなかったし、うがった見方をすれば、ルーズベルト以下の中枢は日本軍の奇襲をなにもかも知った上に、多少の犠牲を承知で、リメンバー・パールハーバーを演出したといってもいいくらいだ。
そういう歴史の背後に隠れているものを引っぱり出すんじゃなくて、いまだに、日本軍という、なにやらまるで異質なエイリアンでも襲来してきたかのように、物語を展開させていくのはどうしたものだろうっておもうんだよね。
ただ、まあ、映像は見事だったし、迫力は十分だった。これは、認めなくちゃいけない。
マイケル・ベイ、凄いわ。