◇気球クラブ、その後(2006年 日本 93分)
staff 脚本・監督/園子温 撮影/谷川創平
音楽/荒井由実 主題歌/畠山美由紀『翳りゆく部屋』
cast 川村ゆきえ 永作博美 西山繭子 江口のりこ 安藤玉恵 深水元基 長谷川朝晴
◇荒井由実の『翳りゆく部屋』が主題
なにかをモチーフにして別な作品を仕上げるというのは、
これまでにも多くの人達がそうしてきたし、
これからも多くの人達がそうしていくだろう。
その時代にはその時代の感覚みたいなものがあって、
とくに歌や映画の場合は、
そこに登場している人物たちと同じような年齢や境遇で、
その作品を観たとき、ことにそれが青春期だった場合、
その物語は自分の青春の1ページと重なったりする。
荒井由実は、ぼくにとっては高校時代の記憶と共にときどき蘇る。
だから、
この映画の場合、時代は多少ちがうんだけど、
ああこんな家にみんなで棲んでたことあったな~とかおもうし、
風船が天井にいくつも上がってるのを見ると、
そういえば僕の下宿も風船で埋もれたことがあったな~とかおもったりする。
ただ、赤い風船はやっぱり5つ浮かんでるようにしてほしいなとかもおもったりした。
なぜって、ぼくはそういう時代の人間だからだ。
だから、
この映画に出てくる連中は、ぼくよりもずっと下の学生たちだから、
どうしても相容れない感覚がある。
川村ゆきえはたしかに魅力的だけど、
なんだかはすっぱな感じの設定で、あんまり魅力的な描かれ方じゃなかった。
それはほかの男たちはとくにそうで、低俗さと調子の良さが空回りする空虚さっていうのか、
そういう演出がほどこされてるような気がして、ちょいと引き気味だったかも。
ただ、妙に自主製作映画っぽいところがたくさんあって、
そうしたところは、それなりに懐かしかったりした。