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トランス

2013年11月17日 19時38分29秒 | 洋画2013年

 ◎トランス(2013年 アメリカ、イギリス 101分)

 原題 Trance

 staff 監督/ダニー・ボイル 脚本/ジョー・アハーン ジョン・ホッジ

     撮影/アンソニー・ドッド・マントル 美術/マーク・ティルデスリー

     衣裳・スタイリスト/スティラット・ラーラーブ 音楽/リック・スミス

 cast ジェームズ・マカヴォイ ロザリオ・ドーソン ヴァンサン・カッセル

 

 ◎魔女たちの飛翔

 陰毛のない絵画が好みっていう理由はいったいなんだったんだろう?

 単なるジェームズ・マカヴォイ演じる競売人の趣味ってわけでもないだろうに。

 もちろん、伏線になってるのはそのとおりで、

 精神療法士ロザリオ・ドーソンが陰毛を剃っているのはなんで?

 って観客に謎かけをするところでは十分に活きてる。

 このことで、

「あ、このふたり、初対面じゃなく、ほんとは前に関係があったんじゃない?」

 とかって察することのできる観客がどれだけいるのかわからないけど、

 中盤、実は、ジェームズ・マカヴォイがとんでもないギャンブル依存症で、

 その借金のためにゴヤの傑作『魔女たちの飛翔』を盗み出そうとしてるんだけど、

 さらに実は、マカヴォイはロザリオ・ドーソンの以前の恋人で、

 DVに苦しめられてたロザリオによって記憶を操作されてて、

 でも、失われた記憶の中でかすかに自分の顔だけ覚えてるように仕組まれ、

 自分の前にふたたび現れるように催眠を受けてたってなことがわかってくるにつれ、

 なるほど、陰毛はそういう伏線だったのかってわかる仕組みになってる。

 このあたり、複雑だよね。

 ただ、ほんとはゴヤの『裸のマハ』を競売にかけたかったんじゃないかと。

 だって、はじめて女性の陰毛が描かれた作品なんでしょ?

 もちろん『魔女たちの飛翔』は、魔女に翻弄される男たちが描かれてるわけで、

 物語そのままの見立てになってるのは、なんともいい。

 多少、偶然性に頼ったご都合主義が見えなくもないけど、

 物語に疾走感がある分、そういうのは気にならない。

 二重三重にどんでんが仕組まれてるのは、いいわ。


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