◇ナイトクローラー(2014年 アメリカ 118分)
原題/Nightcrawler
監督・脚本/ダン・ギルロイ 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演/ジェイク・ジレンホール レネ・ルッソ リズ・アーメッド ビル・パクストン
◇ソシオパスのパパラッチ
日本では反社会性パーソナリティ障害とかいうそうだ。そりゃあまあ、自分の成功のためなら多少の反社会的行為なんざ屁でもないとおもって意のままに行動してしまうような主人公なんだから、たしかにそうかもしれないね。
にしても、ギレンホールのパパラッチぶりはなかなか鬼気に迫ってる。
日本とアメリカの報道における姿勢については、もちろん差がかなりあるだろうけれど、事件現場に違法すれすれどころかあきらかに手を加えて撮影するなんてことはそうそう滅多にあることじゃない、とおもう。
で、この映画なんだけど、そんな人為的な違法行為なんざ屁でもないとおもってるソシオパスが物語をひっぱっていくわけだから、報道の迫真性が異常に増してしまうのは物語上、仕方ない。好いか悪いかということではなく、そういう設定なんだよね。
で、それがジェイクの言葉を借りれば『対象とフレームの境界を消していく』ってことになるんだけど、こうした主人公はもちろん喝采されない。佳境、自分の行為が犯罪的なものであると誰もが知っていながらもどうすることもできないジレンマを抱えたまま彼をさらに暴走させ、ついにはそうしたソシオパスどもの会社まで経営して、さらなる報道に勤しんでいくなんていう事態になっていくのはたしかにピカレスクとしてはありかもしれないけど、手放しでおもしろかったと拍手はできない。
そうした陰鬱なラストが、この映画をいまひとつメジャーにしきれないってことなんだろうね。
音楽はちょっとばかり暴力的ながらも、なかなかいい。