狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

10.11イランタンカーへのミサイル攻撃はサウジの仕業と見せかけた偽イスラエルによるFalse Flag/Fake Israel attacked against Iranian oil tanker

2019-12-17 11:40:25 | イラン2012~2019
 ※ 本記事において幾つかの文献と画像を引用する事によって構成しておりますが、本記事により当方は収入を一切受け取っておりません。
 ※ I have made composition by borrowing some references and pictures in this article, but I don't receive the income at all by this article.


 
 
 
 

 出典:INDEPENDENT「Al Quds Day: Protesters burn flags and chant 'death to Israel' at annual rallies held across Iran」 
 



 
YouTube: Tehran confirms: Iranian oil tanker hit by two blasts in Red Sea
 2019/10/11
 
YouTube: At Sea: Iranian tanker crew safe after alleged missile blasts *STILLS*
 2019/10/14
 
YouTube: Tanker attack: Would Israel push Saudi-Iran war? (Full show)
2019/10/11
 
YouTube: Oil prices spike after Iranian tanker attack
 2019/10/11

 10.11イランタンカーへのミサイル攻撃はサウジの仕業と見せかけた偽イスラエルによるFalse Flag
  Fake Israel attacked against Iranian oil tanker


 イランの隣国イラクでは、10月に入ってからデモが行われ始めた。その抗議行動は、シーア派3代目イマーム・ホサイン殉教の40日忌=アルバインの行進開始とほぼ同時期に始まった。
 またイランでも、11月中頃から石油価格の上昇に伴うデモが行われ始めた。それら両デモをはじめ、中東のその他の国・地域、南米、東アジアの香港等のデモに共通して見られるのは、平和的に始まったデモがその後、西側欧米のグローバリスト、ネオコン、ネオリベラリスト、シオニスト、コミュニストと偽イスラエルに乗っ取られ、煽動されて暴動化し、騒乱状態となっている事が挙げられる。

 それらが行われている中での10月11日、イランのタンカーがアラビア半島の西、紅海のサウジアラビアの港湾都市ジッダから96キロ沖を航行中、2発のミサイル攻撃を受けた。
 公表されたビデオ映像によると、明らかなミサイル攻撃の損傷が見られる。

 今回の攻撃について、主流メディア(MSM)に取って代わるインターネットのオルタナティブ・メディアだけが「イスラエルがやった」と報じたのでは無い。
 本年6月、日本の安倍首相がイラン革命以来の40年で日本の現職首相として初めてとなるイランへの歴史的訪問を行い、先進7ヶ国の中では唯一の経験となるハメネイ最高指導者との会談が行われていた最中、日本のタンカーへの攻撃が行われた。その当事国の日本の各MSMマスコミも、そのニュース・ソースが大方、共通して共同通信のものであるものの、一斉に「イスラエルの関与」という見出しで報じた。その上で、最近イランがサウジアラビアへ融和姿勢を示していることから、偽イスラエルが両国の接近を妨害する為に攻撃をしたという関係筋の分析を掲載した。

 本年3月の、ニュージーランドのクライストチャーチに在る2つのモスクでの銃乱射事件の犯人についても、同様に殆どが共通してニュース・ソースが共同通信という事ではあったものの、日本のMSMマスコミは「イスラエルに渡航歴」という見出しで報じた。そしてまたその情報が、イスラエルの移民当局の発表を引用したものであり、わざわざ偽イスラエル自身の関与をほのめかす事を暴露した様な事から、現在の偽イスラエルの内部の分裂も伺える。

 もう今や、タンカー攻撃の被害に遭った当事国の日本をはじめ、世界の多くの人々が、中東での攻撃、テロ、暴動、騒乱に「偽イスラエルが関与」している事に気付いているのではないだろうか。

 尤も、日本には憲法9条改正反対等と唱えて自衛隊をも否定しようとする「平和ボケ」している一般大衆も多く、その様な輩共に限って政治や社会問題には無関心であったり、「マネー第一」で就業中の仕事の他はレジャーやグルメの事しか頭に無い。その様な輩共は、日本からは遠く離れている中東地域についての出来事についてはピンと来ない状態に在る。日本のアキレス腱である石油の90%近くが中東のホルムズ海峡を通って来るにも関わらずにである。ウィークデーの仕事の他は愛車でプラプラ、チャラチャラとドライブしている連中は、その中東の石油が入って来なくなれば車も使う事も出来なくなる事すら解っていない愚民達が多いというのが現状となっているところである。

 10月11日のタンカー攻撃の後、原油価格は急騰し、一時1バレル60ドル超えた(その後下降した後、再び上昇して、12月15日現在64.93ドルとなっている)。
 
 イランはこの度、賢明にもサウジを非難する事はしなかった。一方、サウジ側はムハンマド・ビン・サルマーン皇太子はイランに対し対話を行う事への傾向を示しているものの、父親のサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王の方は相変わらず米国の「搾乳牛」であり続け、今回のイラン・タンカー攻撃を1ヶ月遡る9月14日のサウジアラムコ攻撃についてイランを非難した。

 米国に従うサルマーン国王がイランを非難しているものの、サウジアラムコ攻撃はイエメンのアンサール・アッラーによる報復攻撃であったのであり、イランは100%関与しなかったというのが事実である。

 武器支援を言うのであれば、中東地域をはじめ世界中の戦争やテロ、騒乱の全ては、西側欧米と偽イスラエルが関与したという事になる。イランは飽くまでも、サウジアラビアから侵略空爆攻撃を受けているイエメンのアンサール・アッラーの抵抗を支えているだけである。そのサウジの侵略攻撃には、米国、イギリス、フランス、ドイツ、偽イスラエルからの兵器が使われている。そしてイエメンは今や、ミサイルや無人航空機を自前で、国産で生産する事となっている。

 そのタンカー攻撃が行われた同日、米国はサウジアラビアへ米兵3,000人を増派すると発表した。
 米国内のグローバリスト、ネオコン、ネオリベラリスト、シオニストは、中東への介入・干渉を維持したい思いが有る。その一方では、「反グローバリズム」、「米国第一」を掲げるトランプ大統領派の「中東撤退」への意向が有り、それに絡んで偽イスラエルの「パニック症候群」の症状が出て暴発を起こす恐れが有る。その様な事の無い様に、偽イスラエルの中の極右への懐柔工作の意味でも有るのだろうか。

 それにしても、極右の偽イスラエルは「妬む」。昨年の5月、ネタニヤフ宅での安倍首相を招いたディナーに於ける、「テーブルの上に靴」を置いた事を思い出されたい。日本では家に入る時、靴を履いたままの土足で上がる事はせず、玄関で靴を脱いで上がる風習が有る程なのであるから、その「侮辱行為」は安倍首相をはじめ日本人にとっては相当、悔しく、腹が立ち、或いはショックを受けるものであったのである。しかも、そこら世間一般に於けるいじめやハラスメントとは異なり、国の首脳同士の公式な外交に於いてそれが行われたのである。

 10月11日
  以下、2019/10/12付・ParsToday日本「紅海でイラン所有のタンカーが爆発」より
   「紅海でイランのタンカーが爆発を起こし、ミサイル攻撃を受けたとの可能性が浮上しています。
   イラン国営タンカー会社の発表によりますと、イランの石油タンカーSABITYが11日金曜朝、サウジアラビアの港湾都市ジッダから96キロ沖で、30分間隔で2回攻撃を受けました。この攻撃は2発のミサイルによるものと見られています。
   今回の爆発で、タンカーの右舷側にある貯蔵タンクが0.5~1.5mに渡り損傷しました。
   なお、攻撃の実行犯やミサイルの飛来源に関してはまだ明らかになっていません。
   バーレーンに駐留する米海軍艦隊第5部隊のスポークスマンは、紅海でのイランのタンカーの爆発事故についてはすでに承知していることを明らかにしました。
   なお、このタンカーの乗組員は全員無事だったということです。」

    イラン国営タンカー会社
     「今回被害を受けたタンカーは全体の状況が安定した後、ペルシャ湾に向かって航行中だ」

    イラン外務省のムーサヴィー報道官
     「地域での海洋汚染・環境破壊を初め今回の事件による責任はすべて、危険な挑発行動を行った実行犯にある」
     「また、「過去数ヶ月、紅海では今回以外にもイランのタンカーに対する一部破壊行為が行われている」


   「こうした中、中国外務省の耿 爽(こう そう)報道官は11日金曜、紅海で発生したイランのタンカー爆発事故に関係する各方面に対し、地域の平和と安全に向けて協力するよう呼びかけました。
   今回の事件を受け、世界市場での原油価格が2%以上上昇しています。
   ロイター通信によりますと、ヨーロッパ産原油の主要銘柄である北海ブレントは、2.3%値上がりして1バレル60ドル46セントに達し、米産軽油WTIも2.1%値上がりし、1バレル54ドル69セントで取引されています。」
  (以上、2019/10/12付・ParsToday日本「紅海でイラン所有のタンカーが爆発」より)

 
YouTube: تعرض ناقلة نفط إيرانية لهجومين قبالة ميناء جدة في البحر الأحمر
 イランの石油タンカーが、ジェッダの紅海港で2回の攻撃を受けた
 2019/10/11

  アメリカのエスパー国防長官が、サウジアラビアへ米兵3000人を増派すると発表した。

 10月12日
  イラン政府のラビイー報道官
   『「悪意のある勢力」が地域の緊張を高めるため実行した』
   「中東で安定が必要とされているとき、争いから利益を得て、平和を許さない勢力がいる」
   「衝動的な行動を控え真実を明らかにする。ひきょうな攻撃を計画した者に適切に対処する」


  イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記
   「海上での海賊行為や国際航路上での悪事は、必ずしかるべき回答を受けるだろう」
   「このような行動は、貿易船の往来の安全のかく乱を目的に行われている」
   「入手した情報や映像を分析した結果、この危険な挑発行為の糸口が判明している」
   「今回の事件に関する特別調査委員会も結成されている。調査報告が近く、最終的な措置決定に向けて関係責任機関に提出されるだろう」
   「(過去数ヶ月間、紅海でイランのタンカー「Happiness」、「HELM」に対し行われた破壊行為にも触れ、」国際海路の安全のかく乱は、世界経済にも懸念すべき危機をもたらすだろう」
   「挑発行為による結果の責任は、その首謀者と実行者、後方支援者が担うことになる」


 10月13日
  サウジアラビアのジュベイル外務担当国務相
   「われわれは全く関与していない」
   「結論を急ぐ前に何が起きたか突き止めよう」


  イラン港海事機関(PMO)が声明を出し、その中で、サウジアラビア当局が攻撃を受けたタンカーから送られた遭難電話を無視し、また、近くのサウジの軍艦からスクランブル発進された2機のヘリコプターが当タンカーに対して何の助けも与えずに10分後に戻った等と、サウジアラビア・ジッダの沿岸警備隊が当タンカーへの支援を拒否した事を述べた。

 10月14日
  イランのロウハニ大統領
   「攻撃を証明するビデオ映像を持っている」
   「テロ組織などの仕業でなく、他の国々の助けを得た国家による攻撃だった」
   「タンカーは別の船舶からのロケット弾で攻撃され、少なくとも2発被弾した」
   「まだ調査中だが、実行した国に対して返答なしのままということはない」


 
YouTube: Iran: Rouhani says there is video of rocket attack on Iranian tanker
 2019/10/14

 10月15日
  ナショナル・イラン・タンカー・カンパニー(NITC)は、石油タンカー「Sabiti」の船体への明らかにミサイル攻撃による損傷である事を示す新しいビデオ映像を公開した。NITCは、画像に見られる船舶の損傷からオイルが漏れていないことを証明していると述べた。
  またNIOCは、乗組員が安全であり、事故で負傷した人がいないことも前日までに確認した。

 
YouTube: At Sea: Iran tanker company says no oil leak ongoing after alleged missile attack
 2019/10/15

 10月16日
  以下、2019/10/16付・共同通信『「イスラエル関与」の疑い強める イラン、タンカー爆発で』より
   「【テヘラン共同】サウジアラビア沖の紅海で11日、イランの石油タンカーが爆発を起こした事件で、イラン政府がイスラエルの関与を疑う見方を強めたことが16日、関係筋の話で分かった。事件当時の映像などを解析した初期段階の捜査に基づいており、さらに捜査を継続して実行者を特定する方針としている。
  イランは最近、サウジに融和的な姿勢を示している。関係筋は、両国の接近を嫌うイスラエルがこれを妨害するため、サウジ沖で攻撃を仕掛けたとの見方を示した。……」
  (以上、2019/10/16付・共同通信『「イスラエル関与」の疑い強める イラン、タンカー爆発で』より)

  「サウジアラビア沖の紅海で11日、イランの石油タンカーが爆発を起こした事件で、イラン政府がイスラエルの関与を疑う見方を強めたことが関係者の話で分かりました。タンカーに設置されたカメラの映像や、艦船の動きなどから判断したということです。イランは最近、サウジアラビアに融和的な姿勢を示していることから、両国の接近を妨害するため、攻撃を仕掛けたとしています。」
   (2019/10/17付・テレビ東京 BUSINESS ON DEMAND「爆発にイスラエル関与」より)

  イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記 (テヘランでロシアのアレクサンデル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使と会談)
   「わが国は、紅海でイランタンカーを襲撃した何者かに対し、彼らがその行動を後悔するような厳しい報復を行う」

 10月24日
  以下、2019/10/24付・ParsToday日本「パキスタン首相が、イランとサウジアラビアの関係におけるイスラエルの破壊的な役割を強調」より
   「パキスタンのカーン首相が、シオニスト政権イスラエルがイランとサウジアラビアの関係が破壊される主な原因であると述べました。
   タスニーム通信が24日木曜、報じたところによりますと、カーン首相は演説の中で、シオニスト政権イスラエルは、イランとサウジアラビアの間で戦争を開始させようとし、それにより地域における自国の利益を達成しようとしている、と述べています。
   カーン首相は、イランとサウジアラビアの友好関係を確立させようとするパキスタンのさらなる努力を強調し、この両国間の友好的関係の確立は、すべての地域諸国にとって有益である、と語りました。
 (以上、2019/10/24付・ParsToday日本「パキスタン首相が、イランとサウジアラビアの関係におけるイスラエルの破壊的な役割を強調」より)
 
 本ブログ過去の関連記事
  ・2019/07/11付:『現「偽」イスラエルの「妬み」:昨年、日本の安倍首相夫妻はネタニヤフ宅でのディナーで「侮辱」と「脅迫」を受けた/Netanyahu did PM Abe "insult" from "jealousy"』
  ・2019/09/03付:「正義イラン仕業と偽装し偽イスラエルとユダヤの奴隷米国による偽旗謀略 2019-まとめ/False Flag by Fake Israel & Jew's slave US pretended Iran」 ・・・または本ブログ右サイド「ブックマーク」
  ・2019/11/11付:「サウジアラムコ攻撃(1/9)イエメン・アンサール・アッラーが報復声明・・・イランは100%関与せず(1/2)/Houthis attacked Saudi, Iran didn't engage」
  ・2019/11/12付:「サウジアラムコ攻撃(2/9)イエメン・アンサール・アッラーが報復声明・・・イランは100%関与せず(2/2)/Houthis attacked Saudi, Iran didn't engage」
  ・2019/11/12付:『「ワンパターン」詐欺師ポンペオの常套手段:裏を取らずに即答「イランがやった」/"The same way":Swindler Pompeo's usual device are "Iran did"』
  ・2019/12/08付:「2019イエメン・アンサール・アッラーがサウジアラムコ報復攻撃-まとめ/Yemen Ansar Allah attacked against Saudi Aramco for retaliation」 ・・・または本ブログ右サイド「ブックマーク」

 引用文献
  ・2019/10/12付・ParsToday日本:「紅海でイラン所有のタンカーが爆発」
  ・2019/10/12付・ParsToday日本:『シャムハーニー書記が警告、「国際海路の安全かく乱は、世界経済に懸念すべき危機をもたらす」』
  ・2019/10/13付・時事通信:「サウジ、関与否定=紅海のイランタンカー爆発」
  ・2019/10/13付・産経新聞:「イラン、タンカー攻撃でサウジ非難避ける」
  ・2019/10/15付・朝日新聞:『タンカー爆発「国家による攻撃」 イラン大統領が主張』
  ・2019/10/16付・ParsToday日本:『イラン国家安保最高評議会書記、「イランタンカーを攻撃した者に報復する」』
  ・2019/10/16付・共同通信:『「イスラエル関与」の疑い強める イラン、タンカー爆発で』
  ・2019/10/17付・テレビ東京 BUSINESS ON DEMAND:「爆発にイスラエル関与」
  ・2019/10/24付・ParsToday日本:「パキスタン首相が、イランとサウジアラビアの関係におけるイスラエルの破壊的な役割を強調」

 参考文献
 ・2019/10/13付・PRESS TV:「Iran rejects Saudi claims it wanted to help damaged oil tanker」

 関連文献
  ・2019/10/11付・Veterans Today:「Iranian oil tanker hit by two blasts in Red Sea」
  ・2019/10/11付・PRESS TV:「Iranian oil tanker hit by two blasts in Red Sea」
  ・2019/10/12付・PRESS TV:「Iran ready to hold talks with Saudi Arabia, with or without mediation: Foreign ministry」
  ・2019/10/13付・ParsToday日本:「視点;イラン・タンカーへの攻撃、地域での航行の安全かく乱計画の継続(日本語のナレーション付)」



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1 コメント

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Unknown (無飼)
2019-12-18 15:21:24
真善美の探究【真善美育維】

【真理と自然観】

《真理》
結論から言って, 真偽は人様々ではない。これは誰一人抗うことの出来ない真理によって保たれる。
“ある時, 何の脈絡もなく私は次のように友人に尋ねた。歪みなき真理は何処にあるのかと。すると友人は, 何の躊躇もなく私の背後を指差したのである。”
私の背後には『空』があった。空とは雲が浮かぶ空ではないし, 単純にからっぽという意味でもない。私という意識, 世界という感覚そのものの原因のことである。この時, 我々は『空・から』という言葉によって人様々な真偽を超えた歪みなき真実を把握したのである。


我々の世界は質感。
また質感の変化からその裏側に真の形があることを理解した。そして我々はこの世界の何処にも居ない。この世界・感覚・魂(志向性の作用した然としてある意識)の納められた躰, この意識の裏側の機構こそが我々の真の姿であると気付いたのである。


《志向性》
目的は何らかの経験により得た感覚を何らかの手段をもって再び具現すること。感覚的目的地と経路, それを具現する手段を合わせた感覚の再具現という方向。志向性とは或感覚を具現する場合の方向付けとなる原因・因子が具現する能力と可能性を与える機構, 手段によって, 再具現可能性という方向性を得たものである。
『意識中の対象の変化によって複数の志向性が観測されるということは, 表象下に複数の因子が存在するということである。』
『因子は経験により蓄積され, 記憶の記録機構の確立された時点を起源として意識に影響を及ぼして来た。(志向性の作用)』
我々の志向は再具現の機構としての躰に対応し, 再具現可能性を持つことが可能な場合にのみこれを因子と呼ぶ。躰に対応しなくなった志向は機構の変化とともに廃れた因子である。志向が躰に対応している場合でもその具現の条件となる感覚的対象がない場合これを生じない。但し意識を介さず機構(思考の「考, 判断」に関する部分)に直接作用する物が存在する可能性がある。


《思考》
『思考は表象である思と判断機構の象である考(理性)の部分により象造られている。』
思考〔分解〕→思(表象), 考(判断機能)
『考えていても表面にそれが現れるとは限らない。→思考の領域は考の領域に含まれている。思考<考』
『言葉は思考の領域に対応しなければ意味がない。→言葉で表すことが出来るのは思考可能な領域のみである。』
考, 判断(理性)の機能によって複数の中から具現可能な志向が選択される。


《生命観》
『感覚器官があり連続して意識があるだけでは生命であるとは言えない。』
『再具現性を与える機構としての己と具現を方向付ける志向としての自。この双方の発展こそ生命の本質である。』

生命は過去の意識の有り様を何らかの形(物)として保存する記録機構を持ち, これにより生じた創造因を具現する手段としての肉体・機構を同時に持つ。
生命は志向性・再具現可能性を持つ存在である。意識の有り様が記録され具現する繰り返しの中で新しいものに志向が代わり, その志向が作用して具現機構としての肉体に変化を生じる。この為, 廃れる志向が生じる。

*己と自の発展
己は具現機構としての躰。自は記録としてある因子・志向。
己と自の発展とは, 躰(機構)と志向の相互発展である。志向性が作用した然としてある意識から新しい志向が生み出され, その志向が具現機構である肉体に作用して意識に影響を及ぼす。生命は然の理に屈する存在ではなくその志向により肉体を変化させ, 然としてある意識, 世界を変革する存在である。
『志向(作用)→肉体・機構』


然の理・然性
自己, 志向性を除く諸法則。志向性を加えて自然法則になる。
然の理・然性(第1法則)
然性→志向性(第2法則)


【世界創造の真実】
世界が存在するという認識があるとき, 認識している主体として自分の存在を認識する。だから自我は客体認識の反射作用としてある。これは逆ではない。しかし人々はしばしばこれを逆に錯覚する。すなわち自分がまずあってそれが世界を認識しているのだと。なおかつ自身が存在しているという認識についてそれを懐疑することはなく無条件に肯定する。これは神と人に共通する倒錯でもある。それゆえ彼らは永遠に惑う存在, 決して全知足りえぬ存在と呼ばれる。
しかし実際には自分は世界の切り離し難い一部分としてある。だから本来これを別々のものとみなすことはありえない。いや, そもそも認識するべき主体としての自分と, 認識されるべき客体としての世界が区分されていないのに, 何者がいかなる世界を認識しうるだろう?
言葉は名前をつけることで世界を便宜的に区分し, 分節することができる。あれは空, それは山, これは自分。しかして空というものはない。空と名付けられた特徴の類似した集合がある。山というものはない。山と名付けられた類似した特徴の集合がある。自分というものはない。自分と名付けられ, 名付けられたそれに自身が存在するという錯覚が生じるだけのことである。
これらはすべて同じものが言葉によって切り離され分節されることで互いを別別のものとみなしうる認識の状態に置かれているだけのことである。
例えて言えば, それは鏡に自らの姿を写した者が鏡に写った鏡像を世界という存在だと信じこむに等しい。それゆえ言葉は, 自我と世界の境界を仮初に立て分ける鏡に例えられる。そして鏡を通じて世界を認識している我々が, その世界が私たちの生命そのものの象であるという理解に至ることは難い。鏡を見つめる自身と鏡の中の象が別々のものではなく, 同じものなのだという認識に至ることはほとんど起きない。なぜなら私たちは鏡の存在に自覚なくただ目の前にある象を見つめる者だからである。
そのように私たちは, 言葉の存在に無自覚なのである。言葉によって名付けられた何かに自身とは別の存在性を錯覚し続け, その錯覚に基づいて自我を盲信し続ける。だから言葉によって名前を付けられるものは全て存在しているはずだと考える。
愛, 善, 白, 憎しみ, 悪, 黒。そんなものはどこにも存在していない。神, 霊, 悪魔, 人。そのような名称に対応する実在はない。それらはただ言葉としてだけあるもの, 言葉によって仮初に存在を錯覚しうるだけのもの。私たちの認識表象作用の上でのみ存在を語りうるものでしかない。
私たちの認識は, 本来唯一不二の存在である世界に対しこうした言葉の上で無限の区別分割を行い, 逆に存在しないものに名称を与えることで存在しているとされるものとの境界を打ち壊し, よって完全に倒錯した世界観を創り上げる。これこそが神の世界創造の真実である。
しかし真実は, 根源的無知に伴う妄想ゆえに生じている, 完全に誤てる認識であるに過ぎない。だから万物の創造者に対してはこう言ってやるだけで十分である。
「お前が世界を創造したのなら, 何者がお前を創造した?」
同様に同じ根源的無知を抱える人間, すなわち自分自身に向かってこのように問わねばならない。
「お前が世界を認識出来るというなら, 何者がお前を認識しているのか?」
神が誰によっても創られていないのなら, 世界もまた神に拠って創られたものではなく, 互いに創られたものでないなら, これは別のものではなく同じものであり, 各々の存在性は虚妄であるに違いない。
あなたを認識している何者かの実在を証明できないなら, あなたが世界を認識しているという証明も出来ず, 互いに認識が正しいということを証明できないなら, 互いの区分は不毛であり虚妄であり, つまり別のものではなく同じものなのであり, であるならいかなる認識にも根源的真実はなく, ただ世界の一切が分かちがたく不二なのであろうという推論のみをなしうる。


【真善美】
真は空(真の形・物)と質(不可分の質, 側面・性質), 然性(第1法則)と志向性(第2法則)の理解により齎される。真理と自然を理解することにより言葉を通じて様々なものの存在可能性を理解し, その様々な原因との関わりの中で積極的に新たな志向性を獲得してゆく生命の在り方。真の在り方であり, 自己の発展とその理解。

善は社会性である。直生命(個別性), 対生命(人間性), 従生命(組織性)により構成される。三命其々には欠点がある。直にはぶつかり合う対立。対には干渉のし難さから来る閉塞。従には自分の世を存続しようとする為の硬直化。これら三命が同時に認識上に有ることにより互いが欠点を補う。
△→対・人間性→(尊重)→直・個別性→(牽引)→従・組織性→(進展)→△(前に戻る)
千差万別。命あるゆえの傷みを理解し各々の在り方を尊重して独悪を克服し, 尊重から来る自己の閉塞を理解して組織(なすべき方向)に従いこれを克服する。個は組織の頂点に驕り執着することはなく状況によっては退き, 適した人間に委せて硬直化を克服する。生命理想を貫徹する生命の在り方。

美は活活とした生命の在り方。
『認識するべき主体としての自分と, 認識されるべき客体としての世界が区分されていないのに, 何者がいかなる世界を認識しうるだろう? 』
予知の悪魔(完全な認識をもった生命)を否定して認識の曖昧さを認め, それを物事が決定する一要素と捉えることで志向の自由の幅を広げる。予知の悪魔に囚われて自分の願望を諦めることはなく認識と相互作用してこれを成し遂げようとする生命の在り方。


《抑止力, 育維》
【育】とは或技能に於て仲間を自分たちと同じ程度にまで育成する, またはその技能的な程度の差を縮める為の決まり等を作り集団に於て一体感を持たせること。育はたんなる技能的な生育ではなく万人が優秀劣等という概念, 価値を乗り越え, また技能の差を克服し, 個人の社会参加による多面的共感を通じて人間的対等を認め合うこと。すなわち愛育である。

【維】とは生存維持。優れた個の犠牲が組織の発展に必要だからといっても, その人が生を繋いで行かなければ社会の体制自体が維持できない。移籍や移民ではその集団のもつ固有の理念が守られないからである。組織に於て使用価値のある個を酷使し生を磨り減らすのではなく人の生存という価値を尊重しまたその機会を与えなければならない。

真善美は生命哲学を基盤とした個人の進化と生産性の向上を目的としたが, 育と維はその最大の矛盾たる弱者を救済することを最高の目的とする。
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