Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

『阿久津カンタービレ』炸裂!/朝日オープン将棋選手権 第2局

2007-04-20 01:15:39 | 将棋
日付が変わって昨日、表題の『朝日オープン将棋選手権 五番勝負 第2局』が行われましたね

結果は、71手までで挑戦者の阿久津 主税 五段が制し、このシリーズの戦績を1勝1敗の「ふりだし」に戻しました


羽生朝日オープン選手権者が後手番ですので、戦前の予想は、羽生選手権者が振り飛車となる…とのことでしたが、実際はその予想ははずれ、先手の挑戦者・阿久津五段が15手目に▲3四飛としました。

小生が将棋ファンになってから(まだ1年ちょっとですが…)は、あまり見たことのないのない、「横歩取り」になりましたね…。

その後、羽生選手権者が「中座飛車・4一玉型」にしました。
これも、小生が将棋ファンになったばかりの頃の『NHK将棋講座』で、当時講師を担当されていた屋敷 伸之 九段の講座『囲いの崩し方』でも登場した形です。

ちなみに、今日の大盤解説会の「聞き手」を担当された、鈴木 環那 女流初段が、この講座の「聞き手」でもあり、なんだか、小生には「縁」みたいなものを感じます。
小生の「勉強不足」の面が補えることと、ファンになりたての頃の講座で登場した「囲い」という点で、今日の対局の大盤解説会には、結果論ですが、参加してみたかった思いが強いです…

いずれにしても、あまり見かけない形になりましたので、羽生選手権者の指し手に対し、これを挑戦者の阿久津五段がどう立ち向かうか…「楽しみ」が増しましたね

そして、中盤戦…。

穏やかに進んでいた局面が、阿久津五段の49手目▲5六角で、一気に「開戦」したように感じました。その後の51手目▲3四歩にかけては、小生には、阿久津五段の「感性」から放たれた「強気の一手」に思えます。この地点は、先手の大駒が良く効いていて、後手が受けにくい形に見えます。

ここまでは、先手の飛車が「いかにも窮屈」でしたが、これで一気に働き出しましたね。素晴しい手ではないでしょうか?

しかし、相手は羽生選手権者です。
いきなり「自由」になった先手の飛車を、54手目△4四桂~56手目△3六桂と跳ねて、見事に仕留めます。
ただ、先手も▲3三歩成で「と金」ができているし、後手の2三の銀に角が当たっているので楽しみはあります。

そして60手目です。
羽生選手権者が、△4二金と逃げました。
この手を見て、すかさず阿久津五段が、61手目に▲4五角とします。

先手は既に銀を入手していますし、相変わらず2三のと金に紐がつく格好です。
しかも、この手は、仕留められた飛車を取り返す、素晴しい好手と小生は見ました。

49手目の▲5六角~51手目▲3四歩にかけてや、61手目の▲4五角といった、阿久津五段から放たれた手…これこそが、準々決勝の久保 利明 八段との対局の解説者であった井上 慶太 八段を「センス抜群」とうならせ、これを観ていた浦野 真彦 七段が「『阿久津カンタービレ』や」と絶賛した、『阿久津将棋』なのでしょうね。
(朝日新聞の3月21日の紙上で、棋譜と観戦記と共に、この様子が紹介されています。)

控え室でも『阿久津カンタービレ』という言葉が連発したようです。
ここで、持将棋となった久保八段戦で快勝した、『阿久津カンタービレ』が炸裂したといっても、過言ではないでしょうね

この手が奏功し、63手目に▲5四角として飛車の奪回に成功…これでほぼ、阿久津五段に戦局が傾きました。

そして、71手目の▲4五桂で後手玉に即詰みがあり、羽生選手権者の投了となりました。

結局、羽生選手権者の60手目の△4二金が敗着だったようです。
ここは先に△1五角とする方が、先手玉に速く迫れたようです。
挑戦者の阿久津五段も、この順では「こちらの負け」と読みきっていたそうです。
また、羽生選手権者が警戒した「▲8四桂」の利かされは、実は「残っている」ことが発見されたようです。

いずれにしても、勝敗が「紙一重」だったこと、そして、その戦局を読みきっての、阿久津五段の「好手の連発」が光った対局ではないかと思います。

本局は、小生にとっては経験があまりない戦形だったので、大変勉強になりました

第1局は羽生選手権者が、そしてこの第2局は、挑戦者の阿久津五段が快勝し、第3局以降も、両対局者の「持ち味」が発揮されることが期待できる、楽しみなシリーズになりましたね

次の第3局は、本シリーズの行方を占う、大事な一戦となりました
どちらが「先勝」して、ペースを握るのでしょうか?
その注目の第3局は、振替休日の30日に行われます。本当に楽しみです


最後に余談ですが、先日、竜王戦6組の準々決勝の糸谷 哲郎 四段と戸部 誠 四段の対局で、糸谷四段の「反則負け」があったようですね。

糸谷四段が、自分の取った駒を、自分の駒台に置いたまでは良かったのですが、自分の駒の指す位置を「間違え」たのが、その理由だそうです。

実は、糸谷四段は、小学六年生の頃にも似たケースで「反則負け」の経験をしています。

これも、朝日新聞紙上の、この『朝日オープン将棋選手権』の棋譜と観戦記事に載っていたのですが、この時は、自分の取った駒を、相手の駒台に乗せてしまって「反則負け」となったそうです。

この時の審判を担当していたのが、今期の準々決勝の阿久津五段と久保八段の対局の解説者だった井上 慶太 八段で、負けて大粒の涙をこぼした「糸谷少年」に、こう諭したそうです。

「ルールやから、仕方ないな…。ええやないか。プロになったら、これが伝説になるんやから。」

そして、やがてプロになり、新人王戦で優勝する活躍を、昨年度見せています。

今回の「反則負け」も、必ず後世に「伝説」となると思います。

なお、この第2局の記録係担当が船江 恒平 三段で、「反則」があった対局の記録係も担当していたそうです。
さらには、船江 恒平 三段の師匠が、小学六年生の「糸谷少年」を諭した井上 慶太 八段というのですから…偶然にしてはでき過ぎですよね

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6 Comments

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朝日オープン将棋選手権  (ディープインパクト)
2007-04-20 19:56:03
 横歩取りの将棋になりましたね。僕も昔は横歩取りの将棋を指していたのですが、後手の飛車の引き場所が8五に変わってから、訳がわからなくなってしまいました(笑)。最初は先手の飛車が窮屈そうだったから、後手がいいのかなと思ったけど、羽生さんに見損じがあったようですね。横歩取りの将棋で形勢が悪くなってしまうとさすがの羽生さんでも、粘りようがなかったですね。
 もしかした今シリーズ阿久津五段が勝つ様な気がします。羽生さんも37歳?だしもうそろそろ25才ぐらいのトップ棋士が数人出て来ないとね。
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Unknown (ssay)
2007-04-20 22:44:31
今、あきら竜王のブログにコメントして来たのですが、長文になってしまい、少し気まずい思いもしました。ぼくとしては、不特定多数に意見を発信するというよりも、竜王御本人に、私はこう思いますよと、参考にして頂きたかったのです・・・。前にも似たようなことがあったんですよね。「嫁が書く」の文中で、竜王の事を「君(きみ)」と呼んだら、コメント欄で竜王に対して君というのは失礼ではないか、みたいな。奥さん年上だし、全然問題ないと思いましたけど。奥様にとっては、渡辺明は、竜王であろうと、例え、二流の四段棋士であったとしても、ご自分の夫であるということに変わりはないと察するのです。
まあ、それは置いといて、将棋以外にもコメントしたい事沢山あります。サッカーとか。他にも、門外漢ですが、応援団のことも。将棋に例えると、駒の動かし方も知らないほど、応援団に関しては門外漢ですが、それ故、意外な意見が出るかも知れませんし。
読者のわがままをあえて述べさせて頂くと、1日に1エントリーに留めて欲しい。もう少し、短い文でまとめて欲しい。そうすると、コメントしやすくなります。いや、無茶な事言っているのは重々承知して居ります。Danchoさんが、語りたい事が沢山、心の泉から湧いて来ることもわかるのです。あくまで、参考意見です。逆に本文を抑え気味に書いて、コメント欄で意見を補足していくやり方だと、コメントも書き易いのかもしれません。
いや、ホント、あくまで参考でいいです。とりあえず、来年のユーロまで、ブログ続けて下さい。サッカーの話しましょう(笑)。と言う程、サッカーファンではないのですけどね。最近、全然見てません
返信する
朝日オープン戦 第2局 (Logical Space)
2007-04-21 00:52:21
阿久津五段が勝ちました。

羽生三冠に勝つのは容易ではないでしょうに・・・。
すごいの1言です。

ここ、1年ぐらいは、中座飛車はあまりないですね。
2~5年前は、中座飛車ばかりでした。
なんだか、懐かしい感じがしました。

羽生三冠は、横歩取りの将棋を得意にしているので、負けたのはとても、悔しいと思います。

居飛車の将棋もいろいろあるので、どんな戦形が出て来るか楽しみです。
矢倉、角換わり、横歩取り、相掛かりなど・・・。
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コメント&ご指摘、誠にありがとうございます。 (Dancho)
2007-04-21 02:24:13
●ディープインパクトさんへ。

ご指摘の通り、横歩取りは、ちょっとしたミスが致命的になることを学んだ気がします。

本局は、短手数で決着しましたが、大変勉強になりました。

このシリーズ…楽しみが増した気がします。
自宅では、朝日新聞を購読しているので、棋譜&観戦記事も、本当に楽しみです。


●ssayさんへ。

大変貴重なご指摘、ありがとうございました。
謙虚に受け止め、改善していきたいと考えます。
お叱りを受けることも時には必要で、嬉しく存じます。

そもそもブログを始めたきっかけは、
「なるべく短い文章で、感じたことを読者の皆様に、正確に伝える力を身につける」
ということも一つとしてあります。

つい「贅肉」がついてしまい、長文となって、フォーカスがぼける…小生の悪い癖です。
是非、改善する方向で努力していきます。

結局、その努力は、小生自身にとってもプラスに作用します。読者の皆様にとってももちろんベターです。

今後とも、どうぞ温かく見守り、時には厳しく叱咤・激励を頂戴できましたら幸甚でございます。


●Logical Spaceさんへ。

一度、羽生三冠と佐藤棋聖・棋王の対戦成績を何かの拍子に拝見したことがありますが、横歩取りも多く指されていますよね。

観戦するファンとしては、楽しみが増した気がしますが、羽生三冠(選手権者)も、ここで勝てば防衛にリーチがかかるので、次の第3局は本当に楽しみです。

30日ですね。振替休日ですので、小生もネット観戦しながら、自分でやってみたいと思っています。
棋王戦第3局のように、情報交換できれば良いですね(笑)。

先ずは、貴重なご指摘も含め、コメントを頂きましたお三方には、心より、お礼まで。
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朝日オープン将棋選手権 第2局 (以心伝心)
2007-04-21 03:15:48
横歩取りのかなり激しい斬り合いの勝負でしたね。見応えありました。
でも、自分はほとんど横歩取りは指したことないです。変化が激しくてすぐ角道止めます。
1勝1敗ですが、羽生さんは番勝負を熟知しているので、まだ羽生さんが優位に思えます。

余談ですが、今エントリーに登場してきた井上8段の門下生の菅井竜也君(現奨励会初段)と以前将棋を指したことがあります。手合いは平手。
4年前の岡山市内の将棋クラブでした。その時彼はまだ小学生でした。
もちろん破れましたでもその将棋は今でも覚えています。

若手がどんどん台頭して盛り上げてもらいたいですね。
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コメントありがとうございます。 (Dancho)
2007-04-21 13:00:06
以心伝心さん、こんにちは。

先程、そちらにお邪魔して、コメントを残しました。
すれ違ってしまいましたね…(笑)。

現奨励会初段の方と平手ですか!!…
いやぁ~小生には雲の上の存在です。
これは、以心伝心さんに「指導対局」していただきたいですね~(笑)。

本当に、若手の棋士がどんどん台頭し、将棋界が盛り上がって欲しい…。
ファンとしても、そのためにはファンであり続けることでサポートしたいと思っています。
返信する

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