WBAスーパーライト級タイトルマッチ
WBA王者アンドレアス・コテルニク選手(Andriy Kotelnik)に英国の新星アミア・カーン選手(Amir Khan)が挑む注目の一戦は英国マンチェスターで行われ、カーン選手がスピード差を生かした手数で上回る大差のユナニマス判定で勝利して新チャンピオンの座に就いています。(体格比較)
カーン選手の快勝でした。立ち上がりからスピードに乗ったジャブ、ワンツーでウクライナ人王者の先手を取り続けます。
高く掲げたガードで防御への高い意識を伺わせながら先に手を出して先に動く、というプランが明確に感じられるスタートで、このボクシングを12ラウンズ貫き通したカーン選手の明白な勝利でした。
コテルニク選手もカーン選手の打ち終わりに左フックや右ストレートのカウンターを狙いますが、カーン選手の回転の速い攻撃と早い足に後手を踏み続けます。時折良いタイミングでカーン選手を捕えかけるシーンがあったものの、手数の差が大きすぎました。
公式のスコアは1人が120-108、残る2人が118-111という大差3-0。シロート採点は116-112カーン。
CompuBox Punch Stats: Khan-Kotelnik, Maidana-Kotelnik
カーン選手の手数:878、ヒット170(19%)
コテルニク選手の手数:463、ヒット80(17%)
ある程度予想した通りの試合展開は、カーン選手陣営=ローチのプラン通りのものだったのでしょう。ローチにとってコテルニク選手のような攻防分離の選手は非常に攻略しやすい選手だったのかもしれません。
ただしカーン選手のこの日のボクシングはコテルニク攻略に特化したスタイルにも見えて、今後を考えると決して楽観視できる内容ではないと感じました。
この日のカーン選手は、とにかく早くパンチを出して早く動くという意識が強かったように見え、そしてそれは疲労が溜まるにつれてより顕著になっていました。
試合終盤は攻撃に威力はほとんど感じられずただ手を出すだけのものになっていたように見えました。
ポイントは取れるボクシングなのでしょうが、ボクシング界を担うと期待されるスターとしてみると物足りなさを強く感じてしまう内容でもありました。
ただまあ、コテルニクに明白に勝ったという事実は立派です。この日の経験を生かしより大きな力をつけていって欲しいです。
カーン選手は21勝(15KO)1敗。コテルニク選手は31勝(13KO)2敗1分。
試合動画(megavideo)
Khan is king of the world(PAT SHEEHAN/The Sun)
Khan outpoints Kotelnik!(fightnews)
Amir Khan Decisions Andreas Kotelnik, Wins WBA Strap(Mark Vester/boxingscene)
Khan king of the world(Tim Hobbs/SKY SPORTS)
REDEMPTION JUST THE START FOR KHAN(Mark Staniforth, PA Sport/Sportinglife)
KHAN GRATEFUL TO ROACH(Sportinglife)
カーン「今までで最高の気分だ。神と両親、ローチに感謝したい。チーム無しでは成し得なかった。(プロモーターのフランク・)ウォーレンにも感謝したい、今俺は世界チャンピオンだ。これから先ビッグファイトが待っているだろう。ローチの存在は非常に大きかった。ローチとそしてパッキャオの存在がこの日世界王座を獲得する事ができた大きな力になった。パッキャオとはただ話をするだけで違う世界に導かれたよ。」
フランク・ウォーレン「カーンが非常に落ち着いてプランを遂行していた姿に驚いたよ。彼がローチから多くを学んだ事は疑いの余地が無い。ディフェンスが目覚しく向上していた。何発かいいのを貰ってはいたが、ボクシングだからそれは当然だ。コテルニクは非常に強い王者だったよ。プロアマ通じてダウンした事が無いというその理由を今日見ることができた。今日のカーンを相手にすればほとんどのボクサーがストップされていただろうけど。(コテルニクはそうではなかった)」
ローチ「11回12回と少々疲れてはいたけれど、振り絞ってよく戦っていたよ。カーンにはまだ改善しなければならない部分は残されている。彼はまだ若い。まだまだ良くなる選手だよ」
Round-by-round report(Tim Hobbs/SKY SPORTS)
Khan confirms potential with impressive victory(Brian Doogan/The Ring)
Amir Khan New WBA Light-Welterweight King - Puts On Master-Class Against Andriy Kotelnik(James Slater/East Side Boxing)
Yes He Khan, Amir Captures a World Title at The MEN(Oli Smith/BoxingScene)
An Impressive 'Khan' Job: Amir Wins 140 Title From Kotelnik(Michael Woods/The Sweet Science)
Amir Khan-Andriy Kotelnik: The Post-Fight Report Card(Cliff Rold/BoxingScene)
Khan Willing To Give Hatton a Shot, Says Roach(Mark Vester/boxingscene)
ローチがSKYのインタビューでカーンの次の相手がハットンになる可能性について答えたという記事。(SKYSPORTSによるインタビュー動画)ローチは前向きな様子。というかローチはパッキャオ対ハットン戦の前から、パッキャオがハットンをKOし、その後にハットンはカーンと英国の超スーパーファイトを戦うことになるだろうと予言(?)していたりします。(その時の記事)
Warren Tells Ricky Hatton To Avoid Khan, Retire Now(Mark Vester/boxingscene)
↑ローチはハットン戦に前向きのようですが、ウォーレンはこれに反対しているようです。ハットンの前のプロモーターでもあるウォーレンはハットンは引退した方が良いと考えてるそうです。ウォーレン曰く、ハットンにはもう炎は残っていないし、今現在ハットンが患っているという原因不明の病の問題についても言及。この病ってのはハットンの暴飲暴食癖によるもの、と多くの人に囁かれているもののようです。
写真
Amir Khan v Andreas Kotelnik(The Sun)
daylife
コテルニク対カーン直前情報
アンドレアス・コテルニク対マルコス・マイダナ(2009/02/07)
アンドレアス・コテルニク対木村登勇(2008/09/13)
ギャビン・リース対アンドレス・コテルニク(2008/03/22)
スレイマーヌ・ムバイエ対アンドレアス・コテルニク(2007/03/10)
アミア・カーン対マルコ・アントニオ・バレラ(2009/03/14)
アミア・カーン対オイシン・ファガン(2008/12/06)
アミア・カーン対ブレイディス・プレスコット(2008/09/06)
アミア・カーン対マイケル・ゴメス(2008/06/21)
マーチン・クリスジャンセン対アミア・カーン(2008/04/05)
アミア・カーン対ゲーリー・セントクレア(2008/02/02)
アミア・カーン対グラハム・アール(2007/12/8)
アミア・カーン対スコット・ロートン(2007/10/06)
ウイリー・リモンド対アミア・カーン(2007/07/14)
アミア・カーン対ステフィ・ブル(2007/04/07)
アミア・カーン対モハメド・メドジャディ(2007/02/17)
WBA王者アンドレアス・コテルニク選手(Andriy Kotelnik)に英国の新星アミア・カーン選手(Amir Khan)が挑む注目の一戦は英国マンチェスターで行われ、カーン選手がスピード差を生かした手数で上回る大差のユナニマス判定で勝利して新チャンピオンの座に就いています。(体格比較)
カーン選手の快勝でした。立ち上がりからスピードに乗ったジャブ、ワンツーでウクライナ人王者の先手を取り続けます。
高く掲げたガードで防御への高い意識を伺わせながら先に手を出して先に動く、というプランが明確に感じられるスタートで、このボクシングを12ラウンズ貫き通したカーン選手の明白な勝利でした。
コテルニク選手もカーン選手の打ち終わりに左フックや右ストレートのカウンターを狙いますが、カーン選手の回転の速い攻撃と早い足に後手を踏み続けます。時折良いタイミングでカーン選手を捕えかけるシーンがあったものの、手数の差が大きすぎました。
公式のスコアは1人が120-108、残る2人が118-111という大差3-0。シロート採点は116-112カーン。
CompuBox Punch Stats: Khan-Kotelnik, Maidana-Kotelnik
カーン選手の手数:878、ヒット170(19%)
コテルニク選手の手数:463、ヒット80(17%)
ある程度予想した通りの試合展開は、カーン選手陣営=ローチのプラン通りのものだったのでしょう。ローチにとってコテルニク選手のような攻防分離の選手は非常に攻略しやすい選手だったのかもしれません。
ただしカーン選手のこの日のボクシングはコテルニク攻略に特化したスタイルにも見えて、今後を考えると決して楽観視できる内容ではないと感じました。
この日のカーン選手は、とにかく早くパンチを出して早く動くという意識が強かったように見え、そしてそれは疲労が溜まるにつれてより顕著になっていました。
試合終盤は攻撃に威力はほとんど感じられずただ手を出すだけのものになっていたように見えました。
ポイントは取れるボクシングなのでしょうが、ボクシング界を担うと期待されるスターとしてみると物足りなさを強く感じてしまう内容でもありました。
ただまあ、コテルニクに明白に勝ったという事実は立派です。この日の経験を生かしより大きな力をつけていって欲しいです。
カーン選手は21勝(15KO)1敗。コテルニク選手は31勝(13KO)2敗1分。
試合動画(megavideo)
Khan is king of the world(PAT SHEEHAN/The Sun)
Khan outpoints Kotelnik!(fightnews)
Amir Khan Decisions Andreas Kotelnik, Wins WBA Strap(Mark Vester/boxingscene)
Khan king of the world(Tim Hobbs/SKY SPORTS)
REDEMPTION JUST THE START FOR KHAN(Mark Staniforth, PA Sport/Sportinglife)
KHAN GRATEFUL TO ROACH(Sportinglife)
カーン「今までで最高の気分だ。神と両親、ローチに感謝したい。チーム無しでは成し得なかった。(プロモーターのフランク・)ウォーレンにも感謝したい、今俺は世界チャンピオンだ。これから先ビッグファイトが待っているだろう。ローチの存在は非常に大きかった。ローチとそしてパッキャオの存在がこの日世界王座を獲得する事ができた大きな力になった。パッキャオとはただ話をするだけで違う世界に導かれたよ。」
フランク・ウォーレン「カーンが非常に落ち着いてプランを遂行していた姿に驚いたよ。彼がローチから多くを学んだ事は疑いの余地が無い。ディフェンスが目覚しく向上していた。何発かいいのを貰ってはいたが、ボクシングだからそれは当然だ。コテルニクは非常に強い王者だったよ。プロアマ通じてダウンした事が無いというその理由を今日見ることができた。今日のカーンを相手にすればほとんどのボクサーがストップされていただろうけど。(コテルニクはそうではなかった)」
ローチ「11回12回と少々疲れてはいたけれど、振り絞ってよく戦っていたよ。カーンにはまだ改善しなければならない部分は残されている。彼はまだ若い。まだまだ良くなる選手だよ」
Round-by-round report(Tim Hobbs/SKY SPORTS)
Khan confirms potential with impressive victory(Brian Doogan/The Ring)
Amir Khan New WBA Light-Welterweight King - Puts On Master-Class Against Andriy Kotelnik(James Slater/East Side Boxing)
Yes He Khan, Amir Captures a World Title at The MEN(Oli Smith/BoxingScene)
An Impressive 'Khan' Job: Amir Wins 140 Title From Kotelnik(Michael Woods/The Sweet Science)
Amir Khan-Andriy Kotelnik: The Post-Fight Report Card(Cliff Rold/BoxingScene)
Khan Willing To Give Hatton a Shot, Says Roach(Mark Vester/boxingscene)
ローチがSKYのインタビューでカーンの次の相手がハットンになる可能性について答えたという記事。(SKYSPORTSによるインタビュー動画)ローチは前向きな様子。というかローチはパッキャオ対ハットン戦の前から、パッキャオがハットンをKOし、その後にハットンはカーンと英国の超スーパーファイトを戦うことになるだろうと予言(?)していたりします。(その時の記事)
Warren Tells Ricky Hatton To Avoid Khan, Retire Now(Mark Vester/boxingscene)
↑ローチはハットン戦に前向きのようですが、ウォーレンはこれに反対しているようです。ハットンの前のプロモーターでもあるウォーレンはハットンは引退した方が良いと考えてるそうです。ウォーレン曰く、ハットンにはもう炎は残っていないし、今現在ハットンが患っているという原因不明の病の問題についても言及。この病ってのはハットンの暴飲暴食癖によるもの、と多くの人に囁かれているもののようです。
写真
Amir Khan v Andreas Kotelnik(The Sun)
daylife
コテルニク対カーン直前情報
アンドレアス・コテルニク対マルコス・マイダナ(2009/02/07)
アンドレアス・コテルニク対木村登勇(2008/09/13)
ギャビン・リース対アンドレス・コテルニク(2008/03/22)
スレイマーヌ・ムバイエ対アンドレアス・コテルニク(2007/03/10)
アミア・カーン対マルコ・アントニオ・バレラ(2009/03/14)
アミア・カーン対オイシン・ファガン(2008/12/06)
アミア・カーン対ブレイディス・プレスコット(2008/09/06)
アミア・カーン対マイケル・ゴメス(2008/06/21)
マーチン・クリスジャンセン対アミア・カーン(2008/04/05)
アミア・カーン対ゲーリー・セントクレア(2008/02/02)
アミア・カーン対グラハム・アール(2007/12/8)
アミア・カーン対スコット・ロートン(2007/10/06)
ウイリー・リモンド対アミア・カーン(2007/07/14)
アミア・カーン対ステフィ・ブル(2007/04/07)
アミア・カーン対モハメド・メドジャディ(2007/02/17)
打たれ強さに不安があるだけに、今後の防衛戦もまだまだ気は抜けませんね。
可能性は低いでしょうけど、嶋田vsカーン期待してます。
ポイント的には圧勝でしたが、見ていてかなりヒヤヒヤする内容でもあって、素直に「新スター誕生!」と言い切れない内容だったように私は感じました。
ただデラホーヤも最初はしょぼかったですし、ローチが言っているようにまだまだ若く可能性を残している選手で、この段階でコテルニクに勝った事は高く評価できるとも思います。
今後に期待です。
>ssさん
この日の快勝はスタイル的相性と的確なプランによるものだったと思います。
マイダナに勝ったコテルニクに大差で勝利したカーン。
よってマイダナよりカーンが上とは単純にいかないのがボクシングの面白いところだと思いますし、マイダナとやればカーンは倒されて敗れてしまうと私は想像します。
次どうするんでしょうねぇ。マイダナとやるんでしょうか。実現するのなら非常に楽しみではありますが・・
カーンはまだ若いので、穴はありそうですが今後の活躍には期待してます。
コテルニクはもっと強引に行けば楽な展開で勝てたようにも見えたんですが、それができないのがコテルニクのスタイルなんでしょうねぇ。
コテルニクとしてはカーンの攻撃ほとんど全てをブロッキングで防いでいましたから負けた気がしていないのでは?
、プランだったんだなぁとおもいます。デラホーヤがいなくなりパッキャオも現役生活は短いとおもわれます。なのでスターが必要なのだとおもわれますが今後本当にスターになれるのか、まだまだ未知数ですね。
カーンがコテルニクに挑戦すると聞いた時は、クラスを上げて強いコテルニクに挑戦とはずいぶん思い切ったことすんな、と驚いたものでしたが
よくよく考えてみると、ガードの上をまず打たせるコテルニクはカーンにとって非常にやりやすい相手でした。
試合をやると聞いて想像すれば気付く事ですが、それにいち早く目をつけて試合をセットしてしまうローチとウォーレンはやはりプロフェッショナルです。