WBAクルーザー級タイトルマッチ
明日スイスで5度目の世界ヘビー級王座獲得を目指す46歳の生きる伝説イベンダー・ホリフィールド選手(Evander Holyfield)。彼がプロ入り後初めて挑んだ世界タイトルマッチ、WBAクルーザー級王者ドワイト・モハメド・カウイ選手(Dwight Muhammad Qawi)との15回戦にハードな打撃戦の末にスプリットの判定を制した22年前の試合です。(体格比較)
クルーザー級時代のホリフィールド選手の試合は多分初めて見たと思うのですが、ワンツー左フックや左フック右ストレートなどのコンビネーションのシルエットはその後のヘビー級時代と変わらぬもので懐かしさを覚えます。
また、スタミナ無くなったか?効いたか?と感じさせる動きを一瞬見せるもののすぐに蘇って激しく反撃のパンチを繰り出していく熱いファイトも同じ。
この日も身長、リーチで大きく劣るカウイ選手が望む接近戦でも強気に打ち合いに応じていました。
試合の流れとしては、ホリフィールド選手が鋭く正確な攻撃で常に先手を取り、何度かカウイ選手のハードなブローでピンチに陥る場面を見せながらも手数とヒット数で明白に上回っての勝利、と見ました。
公式の採点結果は144-140,147-138ホリィ、143-141カウイの2-1。わたくしめのドシロート採点は144-141ホリィ。
カウイ選手というと後にカムバックロードを歩んでいたジョージ・フォアマン選手にストップされた試合を見ただけでその試合での印象が強かったのですが、この日のカウイ選手はクロスアームブロックを駆使したり巧みなカバーリング等でホリィ選手のパンチをうまく殺しながらグイグイプレスを掛け、重く強いブローを叩きつけていて、そのクラシカルなファイタースタイルから滲み出る強さと凄みは十二分に発揮していました。
後に何度も思い知らされるホリフィールド選手のハートの強さ、ライオンのようなスピリッツが発揮されたこの試合でしたが、それは王者カウイ選手のハードな攻撃があったからこそ引き出されたもので、両者の熱い戦いに拍手を送りたくなる熱戦でした。
こんな激闘をプロ12戦目のこの時から続けているホリフィールド選手が、その後20年以上プロのリングで戦い続けている、ってのは改めて驚異的です。
Dwight Muhammad Qawi vs Evander Holyfield I
さて、明日大巨人ニコライ・ワルーエフ選手の持つWBAヘビー級王座に挑むホリフィールド選手。
Weights From Switzerland!
両者の体重は、ワルーエフ選手310.75lbs(140.95kg),ホリフィールド選手214.25lbs(97.18kg)。体重差96.5lbs(43.77kg)
ワルーエフ選手はキャリアで最も軽い(?)体重で仕上げてきています。この体重がハードなトレーニングの結果なのか、あるいは体調を崩したものなのか、当日の動きを見るまでは判断しかねますが、たとえどちらであってもワルーエフ選手の有利は動かないでしょう。ワルーエフ選手の大差判定勝利と予想します。
46歳でいまだに戦い続けているホリフィールド選手の不屈の闘志は素晴らしいもので賞賛に値するものなのは確実。・・なんですが、前回の世界戦に敗れて以来1年以上リングに上がっていなかった彼がまたすんなりと世界戦を戦うことが出来てしまう事にちと疑問を感じてしまうのも事実。魅力的な選手が圧倒的に少ない現在のヘビー級のお寒い状況を現しているとも取れる今回のこの試合。ちと思いは複雑です。
ニコライ・ワルーエフ対ジョン・ルイズ(2008/08/30)
ニコライ・ワルーエフ対セルゲイ・リャコビッチ(2008/02/16)
ニコライ・ワルーエフ対ジャン・フランソア・ベルジェロン(2007/09/29)
ニコライ・ワルーエフ対ルスラン・チャガエフ(2007/04/14)
ニコライ・ワルーエフ対ジャミール・マクライン(2007/01/20)
スルタン・イブラギモフ対イベンダー・ホリフィールド(2007/10/13)
イベンダー・ホリフィールド対ルー・サバリース(2007/06/30)
イベンダー・ホリフィールド対ビニー・マダロン(2007/03/17)
イベンダー・ホリフィールド対フレス・オケンド(2006/11/10)
2008-12-20 12:31:54
こちらこそ、どうぞよろしくであります
ヘビーに上げて以降、特に初期段階ではスピードを生かした素晴らしい戦いを見せる一方、肩に力が入りすぎになる姿がよく見られましたよね。
前者がダグラスに勝った時や対ボウ第1戦の初回。後者がボウ第1戦2回以降。
ホリィはクルーザー級時代から結構打たせるハードな打撃戦ってのが多かったですし、ヘビー級に上げて以降もキツイ試合を何度もやっていました。
モーラーに敗れた後に一度引退を表明したときは、「ああ、あれだけ激闘続きだったからなぁ。お疲れ様」と心底思ったものでした。
その彼が今も戦い続けているってのはホント奇跡にすら思います。
まだやるんですかねぇ・・?w
クルーザー時代のホリフィールドは体の軸が中心にあってコンビネーションが自在にでるイメージですね。ヘビーに上がるとかなり前のめりでパンチを放つ事が多くなりましたが(SW級のモズリーにも同じ傾向が見られました)、体格差を埋めるためには仕方なかったんでしょうね。この頃から体に負担が大きいボクシングをしていたのに、今でも現役とは確かに驚異的です。
カウィは本当に懐に入るのが上手いですね。ジェイコブ・マトララ同様、もっとビデオを入手して研究したいです。
1万2500人収容のスイスの会場のチケットは売り切れているようですし、やっぱりホリィ選手の名前の効果は大きいようです。
勝てば最年長記録&5度目のヘビー級王座獲得という大快挙達成ですし
でもやっぱりWBAのデタラメぶりが引っかかりますよね
ビタリ選手の挑戦を認めたWBCも同様の団体自らの権威を失墜させるような姿勢・決定が多すぎて残念です。
まあ結構どうでもいいようにも感じてきてるんですがw 麻痺してるのかも?
>プクーさん
ジョンルイさんは強い(と思う)ですよw
ホリにとってワルは全盛期の力の7割ぐらい出せれば普通に何の問題も無く勝つことができる相手だと思うのですが、運動量が目に見えて落ちている最近のホリ選手の動きを見る限り難しいでしょうねぇ
>馬球1964さん
こちらこそはじめまして。
ボクシングは何が起こるかわからない、って出来事が先日のパック対デラ戦でも起きたばかり。ホリ選手にも奇跡を起こすチャンスは必ずあるはずです
ただこの試合は王者に圧勝してもらいたいとわたくし的には感じています。
(ワルさんあんまり好きじゃないんですがw)
>asikawaさん
この試合の時のデータでは5フィート8インチ半=171.45cmとの事ですね。
このクラスとしては本当に小さいですよね。
スピンクス弟に動きまくられてライトヘビー級タイトルを失って「ran like a chicken」
と言ったそうで、兄との対戦には期する物があったのかもしれませんね。
記事にも書いたとおり、ホリィ選手のクルーザー級時代の試合はほとんど見た記憶が無いので、今後機会があればどんどん見たいです。
+この試合のTV中継では「ジュニアヘビー級タイトルマッチ」と言ってましたょ
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/fd/ab4f885f328f53963a1f3e02ef08f79e.jpg
レオン・スピンクスなどをいとも簡単に打ちのめしてました。
ホリフィールドは試合後、脱水症状に陥ったらしいですが、
次戦以降は鬼神のような強さで、あっと言う間にクルーザー級を統一しましたね。
この頃はまだJrヘビー級と呼称していた団体もあったように記憶してます。
15回戦ってのも懐かしいです。
カウイ、懐かしいですね。昔の記憶が蘇ってきました。
その相手のホリフィールドがいまだに現役、そして明日世界戦を迎えるわけですから驚きの一言ですね。
常識的には厳しい戦いなのですが、最近の米国ヘビー級は低迷していますので、大きな話題の欲しいところでしょうか。
これがノンタイトル戦や、タイトル戦でも実績を残しての挑戦なら素直に応援できるんですけど
これで王座に復帰したらボクシングってスポーツの汚点になりそうですし(ファンの人ごめん)
この問題の本質は元王者を優遇しすぎるWBAのランキングだと思います
それにしても、ホリフィールドの体は凄いですね
46歳の体じゃないですよ