WBCスーパーフライ級タイトルマッチ
ニカラグアの4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス選手(Roman Gonzalez)にタイからのベテラン元王者 シーサケット・ソー・ルンヴィサイ選手(Wisaksil Wangek)が挑んだ一戦は米国ニューヨーク州で行われ、激戦の末にシーサケット選手が12回2-0判定で勝利する大番狂わせを起こしています。(体格比較)
スタートからパワフルな攻撃で出てくるシーサケット選手。サウスポースタイルからの左ストレートやボディ顔面へ向かう左アッパー、フックの力強さが目を引きます。パワーでややシーサケット選手が圧し気味の流れの初回、ロマゴン選手からノックダウンを奪う最高の立ち上がりを見せます。
このノックダウンはスリップ気味のものでロマゴン選手にとっては不運なものでしたが、2回以降いつも通りの正確な攻撃でペースを引き寄せていきます。右ストレートや左フック、アッパーなどを力みなく、身体の動き中から自然に、無理なく次々に繰り出されるロマゴン選手の攻撃。再三のバッティングによって負ったカットからの出血に悩まされながらも正確な攻撃で前進が身上のシーサケット選手を後退させる場面を作ったロマゴン選手が苦しんだものの確実に上回った12ラウンズ、だと私には映った試合でした。
Roman Gonzalez-Srisaket Sor Rungvisai - CompuBox Punch Stats
Powerpunches,Punchzone
しかし公式のスコアは114-112シーサケットが2人、1人が113-113ドローというマジョリティディシジョンでシーサケット勝利という意外なものでした。シロート採点115-111ロマゴン。
ロマゴン勝利と見た私ですし大いに驚いた大番狂わせですが、このオフィシャルの見方があってもいいとも感じたのも事実。終始シーサケットのパワーに手を焼いていたのは明らかでしたし、ダメージも結構被っていたように見えました。
ロマゴンが波状攻撃を見舞っていってもかつてのように圧倒しきれない、パワー不足に感じたのも前戦同様。使い古されすぎた言葉であまり使いたくはないのですが、あのロマゴンもついに階級の壁にぶち当たってしまったというのはこの2戦で明白になったのではないでしょうか。
井上選手を絡めた展開に胸を躍らせていたところでのこの結果は残念ではありますが、また別の楽しみが生まれたとも言えます。ロマゴン選手の今後、新王者シーサケットの今後、そして彼らに井上選手がどう絡んでいくのか見守っていきたいです。
シーサケット選手は42勝(38KO)4敗1分。ロマゴン選手は46勝(38KO)1敗。
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トータルヒットで上回りながら勝てなかった試合について。ちと古いデータしかないのですが
この古いデータによると、ドーシー対パエスの280、ルイスホリィ1の218に次ぐワースト3位。今回の試合は157多くヒットを奪ったロマゴンがマジョリティ負け。
悪名高いトニー対タイベリが149、サンタクルス対カサマヨールが117、カンピーヨ対シュメノフ2で101。
ただワースト1位のドーシー対パエスなんかは採点結果は納得できるものだったりしますし(見方は分かれるかもしれませんが)、138のズビク対チャベスJrなんかも同様。
スタッツだけで試合内容を決めつけることはできないという、当たり前のことの現れでしょう。
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Analysis: How Srisaket upset Chocolatito(Fightnews):公式スコアシート画像
4回終了時点で3者ともに38-37でシーサケット。だがここからロマゴンが追い上げて、8回終了時点で2者が75-75、1人(Waleska Roldan)が76-74ロマゴン。
ロマゴンにとって悲劇的だったのが、9回から11回までの3ラウンズをすべてシーサケットに振られていた点。(↑9回は倍近く、10回は倍以上のヒットをロマゴンは奪っていた)←とか言いつつ私も10,11をシーサケットに振ってた
最終回に臨む時点で105-102x2、104-103といずれもシーサケットがリード。最終回は3者がロマゴンを支持したが届かず判定を落とした。
Srisaket Sor Rungvisai vs. Roman Gonzalez – Results(Eric Baldwin/Boxing News 24):116-112Srisaket
Srisaket Sor Rungvisai defeats Roman "Chocolatito" Gonzalez, wins junior bantamweight title(Dan Rafael/ESPN):117-109Gonzalez
'Chocolatito' suffers stunning defeat to Thai Srisaket Sor Rungvisai in bloody, brutal battle(Bob Velin/USA TODAY):116-110Gonzalez
Joe Cortez: The judges made a mistake, Chocolatito won the fight(Fightnews):ゴンサレスの6ポイント勝ち
Kevin Iole(Yahoo Sports)::115-110Gonzalez
Chocolatito Gonzalez falls in stunning upset(Patrick L. Stumberg/MMAmania):115-111Gonzalez
Srisaket Sor Rungvisai shocks Roman Gonzalez by majority decision(Scott Christ/Bad Left Hook):114-112Gonzalez
Pound-for-pound king 'Chocolatito' Gonzalez upset in stunning majority decision(Brian Campbell/CBS Sports):114-112Gonzalez
Harlod Lederman(HBO):114-112Gonzalez
【浜田剛史の目】ロマゴン敗北 戦い方も出血も…「全てが悪循環」(スポニチアネックス):114-112Gonzalez
Chocolatito vs. Sor Rungvisai - LIVE BoxingScene Scorecard(BoxingScene):113-113
カルロス・クアドラス対ローマン・ゴンサレス(2016/09/10)
ローマン・ゴンサレス対ブライアン・ビロリア(2015/10/17)
八重樫東対ローマン・ゴンサレス(2014/09/05)
ローマン・ゴンサレス対高山勝成(2009/07/14)
新井田豊対ローマン・ゴンサレス(2008/09/15)
ローマン・ゴンサレス対エリベルト・ゲホン(2007/11/03)
タイなら当たり前ですよ
アメリカだけど
かなり予想外の結果ですね。
ただ、前回、今回とも結果に関係なく内容的にはゴンザレスの限界が感じられるもので、この階級ではこれ以上やるのはキツイのが明白になったと思います。
今後どうするんでしょうかね。
今後はどうするんでしょうね。
PFPと呼ばれた男が階級の壁を感じてフライに戻すのも屈辱的な気がしますし。
体重苦で階級を上げたとは思えないので気の毒とは思います。
シーサケットの次戦はクアドラスですかね。その勝者に井上がアメリカで対戦だったら良いな。どちらが相手でも勝てると思います。
単純な比較は難しいですね
>Kさん
個人的にはそんな暗黙の了解は聞いたことがないですね。ラウンドごとの採点でほとんど差がないような場合にビッグネームのビッグネームにふさわしい振る舞いとか雰囲気に流される
なんてことはあるかもしれませんけれど。これは逆にあの強い○○がこんなに打ち込まれている!みたいな風に逆に作用する場合もあるとも感じます
>Unknownさん
とりあえず試合直後にはすぐにリマッチをやって俺のタイトルを取り戻すみたいに言っていたようですし、そういう方向で進むんじゃないでしょうか
わかりませんけれど
>GGGさん
上に書いた通りとりあえずはリマッチということなんじゃないですかね。
ロマゴンは強敵との戦いの連続が過ぎたようにも思えます。後付けですが
>まっからむさん
まだアジャストしきれていないところに馬力・パワーが凄いこの相手でしたからね。
初回のノックダウンとか、レフェリー・ドクターによっては止めてもおかしくなかった大出血とか、チャンスでバッティングで途切れた場面とか
いろいろとアンラッキーなことが重なった試合でもあった気がします。
それでもロマゴンが上回った試合だったと今も思っていますけど。
アナウンサーの外見の美醜が発言の影響力に差を生むようなもので。
ただ、それは明文化した瞬間に力を失う。建前上では、そうあってはならないからね。
よって、多くが共有している、こっちを勝たせたほうがいい(盛り上がるとか、気分がいいとか、儲かるとか)という、損得勘定が知らずに判断に影響を与えることを暗黙の了解と表現したのなら、、、まあ、間違いとは言えないと思います。
どの採点競技であっても、印象点が大きく左右してしまうっての難点なんでしょう。
個人的には引き分けと思いました
ロマゴン、、スーパーフライはキツそうですね